セキュリティ担当者のメンタルヘルスを守る6つの方法【前編】
「燃え尽き社員」を生まないリーダーの心得は? まずは新入社員の意欲に応える
相次ぐサイバー攻撃と人材不足によって、セキュリティ担当者は過剰な業務を強いられている。どうすれば過労による「燃え尽き」を防げるか。
情報セキュリティ業界では人手不足が深刻化している。ニュースメディア「Cybercrime Magazine」を運営するCybersecurity Venturesは「セキュリティ業界で不足している求人数は最大350万件に達する見込み」と予測する。対策を講じなければ、セキュリティ担当者は過剰な業務量に疲弊し、燃え尽きてしまう恐れがある。
この状況に追い打ちをかけるように、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)が始まって以来、サイバー攻撃が活発化している。企業はセキュリティチームの増員に取り組みつつ、スタッフの燃え尽きを防ぐためにも人材管理の手法を見直す必要があるだろう。その具体的な方法について、6つのアイデアを紹介しよう。
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企業が取り組んでいるメンタルヘルス支援
相次いでいるサイバー攻撃について詳しく
1. 新入社員向けの研修を充実させる
大学でITや情報セキュリティを専攻していた新入社員も、1~2年の実務経験がある従業員も、新たな知識を得たいという強い思いを抱いているものだ。こうした旺盛な知識欲に応えることで、企業側にとってもメリットがあることが明確になっている。筆者が所属する情報セキュリティコンサルティング企業のNetSPIでも同じだ。NetSPIは毎年、新しく採用した情報セキュリティ部門の人材に対して6カ月間の研修プログラムを実施し、スキルアップに力を入れている。研修の内容は、社内外の教育講座や技術実習、ジョブシャドーイング(従業員に同行してその仕事を観察する、米国では定着した教育手法)や配置転換など多岐にわたる。長い目で見ると、こうした従業員への投資は企業に恩恵をもたらす。
2. 人材と仕事内容のマッチングを図り、目標とメンターを設ける
従業員のモチベーションを保つためには、個人の能力をフルに発揮するのに必要な要素の把握が欠かせない。筆者が自らの経験から言えるのは、仕事内容が本人にとって興味深くやりがいを感じるものであれば、燃え尽きの可能性が下がるということだ。
例えばセキュリティの専門職は一般的に好奇心が強く、聡明(そうめい)で、作業手順が厳格に決められた仕事よりも“正解のない”課題に取り組むことを好む。一方で、こうした人たちの対極にあるのが、いわゆる「品質保証(QA)テスター」だ。指示に従い、仕事を細かいところまで正確にこなすことが好きなタイプだ。もちろんどちらが良い悪いということではなく、企業は両方の人材を確保することが望ましい。
リーダーはあらゆるタイプの従業員の燃え尽きを防ぐために、それぞれの興味関心とマッチした担当分野や仕事を割り振る必要がある。さらに、チームの成長を促すための投資をしながら、個々のメンバーに対し、スキルを磨き上げることの支援も重要だ。「特定の分野を深く掘り下げる」や「対応できる分野の幅を広げる」など、従業員の個性に応じて向き不向きがあるはずだ。全ての従業員の力を引き出す方法として、適材適所を考えた目標設定とキャリアプランの作成が挙げられる。
上記に加え、正式なメンタープログラムを設けることも効果的だ。セキュリティの専門職は、どちらかといえば内向的な性格の人が多いため、チーム以外のところで、同じ分野のエキスパートと関係を築くのに苦労するケースがある。筆者の実体験を振り返っても、職場の同僚とキャリアパスについて相談したり、第三者としての意見を聞いたりするとき、ネガティブな反応を恐れて話すことにためらいを覚えた記憶がある。チーム以外のところに正式なメンターがいれば、躊躇(ちゅうちょ)せずに話し、さまざまなアドバイスを得られるだろう。そのため、メンター制度の価値は非常に大きいと考えられる。
中編は3、4番目のアイデアとして、プロジェクトマネジャーの役割の新しいとらえ方やインセンティブの扱い方を紹介する。
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