東京五輪で増えるサイバー攻撃、「自社は無関係」と考えてはいけない理由東京五輪に備えるセキュリティ対策【前編】

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の裏側で、多くのサイバー攻撃が仕掛けられると専門家は予想している。その中でも「サプライチェーン攻撃」「Webサイトへの攻撃」に注意すべき理由とは。

2019年11月12日 05時00分 公開
[大久保 心織TechTargetジャパン]
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 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(東京2020大会)開催を目前に控える日本。オリンピック開催国を狙ったサイバー攻撃が過去に多発していたことから、日本もその標的になる可能性が高いことを、政府やセキュリティベンダーなどが予測している。その危害が及ぶ範囲は、国や大会の運営組織だけでなく一般企業も含まれる。企業に迫る脅威と、実施すべきセキュリティ強化策について、複数のセキュリティベンダーの専門家に話を聞いた。

「自社は関係ない」では済まないサプライチェーン攻撃

 大規模なイベントの開催に伴い、取引自体の数だけでなく、複数の企業が関わる場面も増えることが予想される。業務委託先の企業や子会社など商流に関わる企業を足掛かりとし、委託元の企業を狙う「サプライチェーン攻撃」は、取引の増加を受けて企業が懸念すべき脅威の一つだ。攻撃者は関連企業の業務システムやメールシステムなどへの不正ログイン、社内LANへの侵入などをきっかけに、本命である標的企業への攻撃の端緒を探る。

 サプライチェーン攻撃は独立行政法人の情報処理推進機構(IPA)のレポート「情報セキュリティ10大脅威 2019」において、組織を対象とした脅威の4位に初めてランクインした。このことからも、サプライチェーン攻撃には一層注意を払うべきだと言える。委託元が大企業であっても、攻撃の侵入口にされる委託先は中堅・中小企業である場合が少なくない。加えて部品の調達や製造、流通、販売など、さまざまな業種の企業が商流を形成している。そのため「中堅・中小企業だから狙われない」「自社は関係ない」という考えは成り立たず、あらゆる企業が危機意識を持つべきだ。

サプライチェーン攻撃で狙われる五輪関連組織トップ4

 東京2020大会に際しては、特に以下の業種に携わる組織や企業がサプライチェーン攻撃の標的になる恐れがあると、専門家は口をそろえる。

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