CIOはストレージのコストと複雑さに窒息寸前Column

ストレージのコストと複雑さは現実問題としてある。だが、専門家は、問題は単に、自社に必要なものが何かを理解し、それを入手するにはどうすべきかを理解できるかどうかだと言う。

2006年10月19日 00時00分 公開
[Kate Evans-Correia,TechTarget]

 企業のCIOはストレージの危機にさらされている。だが、そうした危機の多くは彼らが自ら招いている。

 確かに、ストレージのコストと複雑さは現実問題としてある。それを否定する企業人を見つけるのは難しいだろう。コンプライアンスなどの法的な規制に加え、データの増殖により、企業はデータ保持の悪夢に苦しめられ、まるでその悪夢から目覚めることができないかのようになっている。

 だが、ストレージは必ずしも企業を締め付けるわけではない。専門家によれば、問題は単に、自社に必要なものが何かを理解し、それを入手するにはどうすべきかを理解できるかどうかだという。

 民間の刑務所運営企業、コレクションズコーポレーション・オブ・アメリカのエンタープライズ技術担当上級ディレクター、ブラッド・ウッド氏は次のように語っている。「まだストレージリソース管理(SRM)ソリューションを何も導入していない企業が存在する。そうした企業はストレージの複雑さに圧倒されている」

 ウッド氏は、セキュリティベンダーのシマンテックのSRMパッケージを使用している。同氏によれば、SOX法により、コレクションズのストレージインフラには常に膨大な要求が寄せられている。厳しい規制への対応を迫られ、コンプライアンスのための大規模なデータ保持ポリシーを備える企業として、コレクションズは、新たにストレージアレイを追加するだけで終わり、というわけにはいかなかったという。

 「もっと早くSRMを検討しておくべきだった。出遅れたのは、かなりの痛手だった」とウッド氏。

 「実際、多くの企業はこの問題から目をそらしている」とディスクベースストレージ製品プロバイダー、マイクロネットテクノロジーのマーケティング担当ディレクター、ジョー・トルピアーノ氏は語っている。あるいは、より高額なソリューションを導入する余裕ができるまで、計画を後回しにしているケースもあるという。同氏によれば、残念ながら、「ストレージ計画なしで業務を進めている企業は、タイヤなしで車を運転しようとしているようなものだ」という。

 ストレージ分野のコンサルティング会社、ストレージIOグループの創業者で上級アナリストのグレッグ・シュルツ氏も同意見だ。同氏によれば、多くのCIO、特に中小企業のCIOは、これまで通りに事業を遂行するわけにはいかないことにようやく気付いた段階にあり、まだこの問題に正面から取り組んではいない。

 その理由を理解するのは容易だ、とシュルツ氏。以前ならば、単にストレージを買い足せばよかったが、今ではストレージといっても単にバックアップだけの問題ではない。CIOは、帯域幅、スケーラビリティ、管理、保存、保持についても考えなければならない。そして技術も、ネットワーク接続ストレージ(NAS)やストレージエリアネットワーク(SAN)、Fibre Channelなど、さまざまだ。

 「人々はさまざまな技術に囲まれ、動きが取れなくなっている」とシュルツ氏。同氏によると、世の中には、複雑なのはストレージソリューション自体だとの誤解があるが、実際には、ストレージの購入の方がよほど複雑な問題だという。

 世の中にはそれほど難しくないソリューションもある、とシュルツ氏。では、何が問題なのだろう?

 「大半の中堅企業のCIOは、ソリューションの考案に専念できるほどのリソースも専門知識も持ち合わせていない。彼らが自分たちで航行できるよう、ベンダーが支援する必要がある」と同氏。

 火災安全プロバイダーのファイアーマテリアルグループ(FMG)のCIO、チャールズ・ブラウン氏は、次のように語っている。「世の中には、あまりに多くの情報が出回っている。ベンダーも、技術もだ。情報が多すぎると、皆を萎縮させかねない」

 ブラウン氏によると、FMGが大事なパートナー(大手コンピュータリセラーのCDW)を見つけられたことは、同社のストレージ拡張において大きな役割を果たしたという。「われわれは、全力を尽くしてくれそうな、十分な奥行きと幅と帯域幅を持つベンダーを探した」と同氏。

「何もしないこと」の高い代償

 CDWのデータストレージのスペシャリスト、ジョシュ・ハワード氏は次のように語っている。「事業継続計画の欠如はダイレクトにストレージのコストに関連付けられる」

 「ストレージにこれほどコストが掛かる理由の1つに、企業が依然としてバックアップを従来の見方でとらえているという点がある。まずは、これまで当たり前だった方法から離れることだ」と同氏。

 専門家らも、IT予算やITスタッフに制限があるなかでの中規模企業の奮闘ぶりを評価しないわけではないという。それでも、ストレージの要件を解決すれば、企業は自分たちのニーズと予算に見合った多数の選択肢を見つけられるはずだ、と専門家らは指摘している。

 「わたしは、非常にうまくやっている人たちもたくさん見てきている。そうした人たちは、冗長性を犠牲にすることなく、予算を最大限に生かしている」とハワード氏は語っている。

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