5つの留意点を説明
本当は良いことずくめのハイブリッドクラウド、基本の「き」
クラウドコンピューティングにまつわるプライバシーやコスト、セキュリティなどの問題が活発に議論されている。メリットとリスクのバランスを一番よく取れるのはハイブリッドクラウドである。
米TechTargetが実施した最新のクラウド調査「Cloud Pulse」では、クラウドコンピューティングを利用している企業のうち、「ハイブリッドクラウド」の導入企業が39%を占め、「プライベートクラウド」は22%、「パブリッククラウド」はほぼ同じで40%となっている。だがハイブリッドクラウドを構築、管理する最適な方法については、まだ理解が始まったばかりだ。本稿では、ハイブリッドクラウドの留意点をあらためて確認する。
1.ハイブリッドクラウドの管理
効果的なハイブリッドクラウドを構築するためには、パブリッククラウドとプライベートクラウドを最も相性のいい同士で組み合わせる必要がある。ただし、いくら慎重に選択しても、完璧な調和までは見込めない。選んだクラウド間の違いが大きければ大きいほど、ハイブリッドクラウド環境の管理は難しくなる。ただしクラウド専門家のマーク・シナカ氏によれば、近年ハイブリッドクラウドの導入が広がりつつあることから、今後は管理技術の成熟に期待できるという。
「有象無象が乱立するクラウド市場だが、今後、IT部門が企業向けのベストプラクティスに従い、データをロックダウンして管理するようになれば、質の悪い事業者は淘汰されていくだろう」とシナカ氏は指摘し、ハイブリッドクラウドの管理戦略策定に際しての留意点をまとめている。
2.ハイブリッドクラウドはクラウドバースティングとDRにも有効
クラウドバースティングとDR(災害対策)には多大なコストが掛かる場合が少なくない。ハイブリッドクラウドは、この両方の戦略をまとめて実装するための絶好の機会となる。クラウドバースティングとは、プライベートクラウドやデータセンターの一時的な負荷増大に対応するために、必要に応じてパブリッククラウドに処理を移行させる方法のこと。またDRまたはフェイルオーバーでは、停電などの災害に備えて社内データのコピーを別の場所に保管し、データのセキュリティを確保する必要がある。クラウド専門家のトム・ノレ氏によれば、ハイブリッドクラウドはクラウドバースティングとDRの両方に対応でき、なおかつ両戦略を最大限に活用できる理想的なモデルになり得るという。
3.ハイブリッドクラウドは「パブリック対プライベート」の議論の着地点
クラウドのメリットについては、「パブリッククラウド対プライベートクラウド」という図式で語られることが多い。パブリッククラウドはスケーラビリティと柔軟性を提供し、IT管理者を繰り返しの手作業から解放する。一方、プライベートクラウドは企業にセキュリティと制御を与える。「どちらにもメリットがある。企業にとって、ハイブリッドクラウドは単なる通過点ではなく目的地だ」。米TechTargetのインタビューで、米BMC Softwareの最高技術責任者(CTO)、キア・ベニア氏はそう語った。
4.ハイブリッドクラウド環境の実現方法
ベニア氏が指摘するように、ハイブリッドクラウドが企業の目的地だとして、では一体、どのようにすればこの目標に到達できるのだろうか。米Cloud Technology Partnersの上級副社長、デビッド・リンチカム氏は、企業が本番環境でパブリッククラウドとプライベートクラウドを統合する方法について概略を示す。ただし同氏によれば、今日、真のハイブリッドクラウド環境を構築できている企業はまだほとんどないという。
「プライベートクラウドとパブリッククラウド間の自動移行機能には期待できる。ただし、この技術はまだ新しく、幾つかトレードオフを伴う。ハイブリッドクラウドがまだそれほど広まっていないのもうなずける。だが、期待できる機能であることは確かだ」と、リンチカム氏は語る。
5.ハイブリッドクラウドの基本
結局のところ、要は基本だ。専門家はハイブリッドクラウドの管理方法や活用方法など各種の戦略を議論しているが、多くの企業はまだスタートラインに立ったばかりであり、まず必要なのは基本的な理解だ。前出のシナカ氏はハイブリッドクラウドの基本をあらためて確認した上で、セキュリティ、パブリッククラウドとプライベートクラウドの接続、異種クラウド間の移植などの問題を解説している。
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