あらためて問われるデータセキュリティの重要性
被害者は2万7000人 銀行顧客情報の流出はなぜ起きたのか
英Barclays銀行から2万7000人分の顧客情報が流出した。2011年に廃止した事業部門に関連したデータだという。古いデータであっても外部に流出すれば大きな問題へと発展する。データの安全性と管理性を見直す必要がある。
英国のデータ保護および金融規制当局は、英Barclays銀行が2万7000人分の顧客情報を流出させたとの告発を受け、同行に対する調査を開始した。
この情報流出を報じた英紙The Mail on Sundayは、Barclays銀行の2000人分の顧客ファイルを確認している。
内部告発者によると、同紙に見せた顧客ファイルはサンプルであり、実際に盗難に遭ったのは最大2万7000人分、金額にして約135万ポンドに相当する顧客データベースだという。この告発者は、匿名の悪徳ブローカーの会社からファイルを売ってくれと渡されたと述べている。
こうした個人データは犯罪者に買われ、投資詐欺に利用される。この告発者はこう話している。「この手の不正な取引はシティ(ロンドンの金融街)で横行している。被害が広がる前に公表しようと思った」
流出した個人情報
告発者によると、この悪徳会社は既に手に入れた情報を悪用し、およそ1000人に詐欺を働き、実在しないレアアース(希土類)金属への投資話を被害者に持ち掛けた。
2012年12月~2013年9月にかけて、個人情報ファイルがこの悪徳ブローカー集団の手に渡り、彼らはその名簿を使って被害者に勧誘の電話をかけていたという。
報道では、このファイルは廃止されたBarclays銀行のフィナンシャルプランニング事業部門に関連したものと伝えられている。ファイルには、顧客の氏名、住所、電話番号、パスポート番号、国民保険番号、預金額、扶養家族の情報が含まれていた。
同事業部門は、1万2000人以上の顧客に投資ファンドを不正に販売したとして、770万ポンドの制裁金および最大5900万ポンドの補償金の支払いを命じられ、2011年に閉鎖されている。
顧客情報の保護を「最優先」
Barclays銀行は、(同事業部門の)当時の全ての顧客情報が流出したわけではないと主張しているが、ファイルが盗まれたいきさつについては内部調査を開始している。また、影響を受けた全顧客に連絡を取る予定だという。
同行は次のように述べている。「できるだけ早く顧客と連絡を取り、個人情報の安全を確保できることも説明する。最優先とすべきは顧客情報の保護であり、当行はこの問題を極めて深刻に受け止めている。これは犯罪事件であると考えており、われわれは犯人の割り出しに向けて当局の調査に協力する」
「当行は現実的なあらゆる対策を講じていることを全ての顧客に今一度説明し、顧客の個人情報および金融資産情報は依然として最大限保護され、安全であることを保証する」(Barclays銀行)
規制当局の思惑
Barclays銀行には、上限のない罰金を命じる権限を持つ英金融行動監視機構(FCA)と、最高50万ポンドの罰金を命じる権限を持つ英情報コミッショナー事務局(ICO)から制裁金が科せられる。
FCAの広報担当者は英紙The Guardianに次のように述べた。「Barclays銀行がわれわれに接触してきた。同行と協力して、何が起きたのか、また顧客はどのような対策を取る必要があるかを正確に理解するつもりだ」
同広報担当者は次のように続けた。「この事件を受けて、全ての企業は、データの安全の確保と正しい取り扱いについて適切な手順を設けておくことが重要であると再認識しているはずだ」
古いデータの保存に伴う危険
英セキュリティ企業Penturaの代表、スティーブ・スミス氏はこう語る。「今回の件から、廃止した事業や閉鎖した支店の古い顧客データでさえも、悪人の手に渡ると実質的な価値をもたらすことが分かった」
「このような機密性の高いデータを抱える企業にとっては、個人情報保護の方針を定め、データが初めて作られたときから、保管期間を通してデータが処分されるまで、その情報にアクセスできる人間を制限することが不可欠だ」(スミス氏)
「これが、今回のような情報漏えいを防ぐ唯一の方法であり、情報流出の原因を突き止め、脆弱性を直ちに解消できる」(同氏)
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