マクロで捉える OpenStackソリューション選定【最終回】
OpenStackに深入りする前に読んでおきたい3つの論点(1/3 ページ)
クラウド構築ソフトウェア「OpenStack」の活用を検討するときに押さえておきたい論点を、「技術」「市場」「人材」という3つの切り口でまとめた。
枝葉にとらわれず、俯瞰的に「OpenStack」を理解しようという当連載(マクロで捉える OpenStackソリューション選定)も、いよいよ最終回である。今回は締めとして、OpenStackの活用を検討する際に押さえておきたい論点を、「技術」「市場」「人材」という3つの切り口でまとめたい。
技術:コアへのフォーカス
第1回「“マルバツ表”だけでは分からない、OpenStackディストリビューション選びのコツ」でも述べたが、OpenStackは現在、コア機能とそれ以外の分離を進めている。これを「Big Tentアプローチ」と呼ぶ。
コアとして定義しているのは、「Nova」(仮想サーバ管理)、「Swift」(オブジェクトストレージ)、「Neutron」(ネットワーク管理)、「Cinder」(ブロックストレージ管理)、「Keystone」(認証)、「Glance」(イメージ管理)の計6つだ。それ以外の機能は緩くOpenStackという大きなテントの中に入ることとなった。
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OpenStackの導入のコツ
OpenStack事例
OpenStackは「Amazon Web Services」(AWS)の背中を追い掛けてきた。AWSが機能を追加するたび、OpenStackでも類似機能の開発プロジェクトが生まれる。その繰り返しだった。AWSはパブリッククラウドのリーダーであり、追加される機能の背景には顧客ニーズが存在する。なので、OpenStackのアプローチは悪くない。
問題は、OpenStackのコアを十分に安定させる余裕がなかったことだ。その原因の1つが肥大化である。
AWSは2006年に「S3」(オブジェクトストレージ)、「SQS」(メッセージキュー)、「EC2」(仮想サーバ管理)といった、その後コアとなる機能でサービスを開始し、時間をかけて安定させた。機能の数が急増したのは2010年を過ぎてからだ。
一方で、OpenStackが生まれたのは2010年。登場して間もなく、AWSの激しい新機能ラッシュを見せつけられたわけである。「シンプルにじっくりやりましょう」と言える状況ではなかった。そして機能は増え続け、見通しが悪くなり、統合開発、試験、品質担保が重荷になっていく。
OpenStackユーザーの裾野を広げるためには、品質をより高める必要がある。コア機能への注力は、品質向上につながるだろう。
なお、品質に加え、このフォーカスは他にも好影響があると考えている。それは、商用製品や他OSSとのエコシステム形成である。
これまで何でもOpenStackの中でやろうとしたことで、OpenStackの外にいるプレイヤーの対応意欲を削いでしまった感は否めない。労力の重複を考えると、それは他に任せた方がよかったのかもしれない。また、既に実績のある他のツールを用いて使いやすくした方が、ユーザーは喜ぶかもしれない。
例えば筆者はHashicorpのオーケストレーションツール「Terraform」を使ってOpenStack上のリソースを構成することが多い。OpenStackのオーケストレーション機能「Heat」を明示的に使うことはあまりない。OpenStack以外のクラウドも使っているし、HeatよりもTerraformの方が手になじむからだ。
もちろん、コア機能以外を否定するものではない。選択肢があることが、ユーザーにとっての価値ということだ。
その意味で、OpenStackの「Magnum」(コンテナオーケストレーション)は象徴的なプロジェクトになるとみている。
コンテナ技術の事実上標準になりつつある「Docker」の関連ツールは、拡充が著しい。Magnumは「Docker Swarm」など他コンテナオーケストレーションツールと連係するよう作られているが、今後その重複範囲が広がる可能性は大いにある。成長するOpenStack外のエコシステムと、うまく役割分担するかじ取りに期待したい。
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マクロで捉える OpenStackソリューション選定
当連載はエンタープライズ、中でもベンダーの協力を得てOpenStack環境を構築しようと検討しているユーザー企業を対象に、「どのような観点でベンダーを選定し、協力関係を作り上げ、活用するか」をテーマに、実践的な情報をお伝えしたい。主な対象は、OpenStackそのものを提供するディストリビューションやアプライアンスである。
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