製品選定前に読んでおきたい基礎技術 ハイパーコンバージド編
ズバリ、ハイパーコンバージドを導入する3つのメリット
ITインフラのキーテクノロジーとして注目を集めているハイパーコンバージドの概要と、導入で得られるメリットについて紹介する。
現状、ITサービスを稼働させる基盤となるインフラは、オンプレミスによって自社でハードウェアやミドルウェアを保有する形態と、「Amazon Web Services」(AWS)や「Microsoft Azure」に代表されるクラウド基盤を利用する形態の大きく2つの実装方式が主流になる。
オンプレミスの場合はセキュリティポリシーや性能などを自由に設計できる半面、導入後の管理や拡張に手間が掛かる。一方、クラウドを利用する場合は手軽である半面、データの保護や通信コストに不安が残る。そこでクラウドのような手軽さとオンプレミスの堅牢(けんろう)性を併せ持つ、ハイパーコンバージドインフラに期待が集まっている。
併せて読みたいお薦めの記事
製品選定前に読んでおきたい基礎技術 ストレージ編
理想的なクラウド基盤を構築する方法
ハイパーコンバージドの内部構成
ハイパーコンバージドのハードウェアは、一般的なIAサーバと同等のコンポーネントで構成されている。だがその内部には、ユーザー企業が各コンポーネントをより簡単に利用できるよう、さまざまな技術を採用している。
一般的なオンプレミスのインフラシステムが外部ストレージと呼ばれる専用のハードウェアで共有データ領域を確保していたのに対し、ハイパーコンバージドは外部ストレージを使用しない。これがハイパーコンバージドのアーキテクチャ最大の特徴だ。
具体的にハイパーコンバージドはSoftware Defined Storage(以下、SDSと略す)と呼ばれる技術によって、複数のサーバ内蔵ディスクを1つの大きな共有データ領域として構成する。また自動階層化機能によって、データを高速SSD(ソリッドステートドライブ)や大容量HDDへ適材適所に配置し、高いIOPS(1秒当たりのI/O)性能と大容量の共有データ領域確保を両立する。
ハイパーコンバージドの3つのメリット
ハイパーコンバージドを導入することで、さまざまなメリットを享受できる。ここでは代表的な3つのメリットを紹介する。
1つ目は、スモールスタートを実現しつつ、ビジネスの拡大に合わせてスケールアウトができる点だ。可用性と性能を維持しつつ、外部ストレージを仮想的に実装するハイパーコンバージドは、サーバの最小構成は3台程度から、要件に合わせて数十台以上まで拡張できる(最小/最大構成は、製品によって異なる)。
2つ目は、主要なコンポーネントがサーバに限定され、構成がシンプルな点だ。ハイパーコンバージドのハードウェアコンポーネントは一般的にサーバ筐体のみ。ユーザー企業はサーバ間の通信網を準備するだけで、すぐに仮想化基盤を構築できる。
3つ目は、運用の簡易性だ。仮想化基盤の構築が設置からわずか数時間で完了するだけでなく、システムの増強時にも最小限のオペレーションで済み、運用工数が飛躍的に効率化できる。
ハイパーコンバージドで検討すべき項目
最後に、ハイパーコンバージドを採用する際に検討すべきポイントを3つ紹介する。
1つ目は、実装されているハイパーバイザーの種類だ。現状ハイパーコンバージドに実装されているハイパーバイザーには、VMwareの「VMware vSphere」やMicrosoftの「Hyper-V」、Nutanixの「Acropolis Hypervisor」に代表される独自製品などがあるが、ベンダーによって実装可能なハイパーバイザーは異なる。利用する環境に合わせて、事前に確認しておく必要がある。
2つ目は拡張性だ。ハイパーコンバージドは製品によってスケールアウト可能な台数に上限があるため、システムの最終的な規模感を見越した製品選定が必要になる。
3つ目はシステム要件だ。一般的にハイパーコンバージドのサーバ間通信には、10ギガビットイーサネット(10GbE)を利用するが、イーサネットスイッチはハイパーコンバージドの製品に含まれていないケースが多い。そのため既存のネットワークが10GbEでない場合は、別途準備が必要になる。また、サーバの実装提供方式は主に高集積型とラックマウント型があり、高集積型のサーバを採用する場合は、200V電源が必要になるケースがある。こちらも併せて注意が必要だ。
この他の項目としては、Microsoft Azureのようなクラウドサービスと連係する製品や、可用性担保のためのバックアップやレプリケーション機能を有する製品があるため、要件に合わせて検討してほしい。
ITインフラの効率化や標準化は、年々その速度を増している。進化に付いていけるよう、本稿の内容が皆さまの一助になれば幸いだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
製品選定前に読んでおきたい基礎技術
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」攻略ガイド:効率的に落札するためのポイントを徹底解説 -
製品資料
[株式会社うるる] 入札情報に特化した「販路拡大」「効率化」のためのサポートツールとは? -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] 公共入札に成功する企業と失敗する企業の「5つの違い」 -
製品資料
[日本ビジネスシステムズ株式会社] 専門家が教える、Microsoft 365の「テナント統合/分離」を成功に導く秘訣 -
製品資料
[rakumo株式会社] Microsoft 365での情報埋没を防ぐ、社内ナレッジを資産化する情報ポータル活用
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
2
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
3
「テザリング依存」に潜む落とし穴 “遅いVPN”を解消するネット構築術
-
4
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
5
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
6
AI導入が失敗する“真犯人”は現場のマニュアル 7割が陥る「標準化」のわな
-
7
Claude利用8割のGMO、AI人材の評価軸が「トークン管理」に変わった
-
8
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
9
被害額は過去最高額 それでも「サイバー犯罪者が捕まらない」3つの理由
-
10
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
-
10
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー