クラウドサービスは多様化が進む
注目6社のクラウド管理ツールを紹介 コンテナやハイブリッドIT環境の管理がもっと楽に?
コンテナやオープンソース、ハイブリッドクラウドといった技術が普及し、これらを管理するためのツールの需要が高まっている。こうしたニーズに応えようとする新興企業のサービスを紹介する。
10年前には熱心なクラウド支持者たちでさえも、今日のクラウドの急速な普及、そしてそれに伴う多彩なITサービスを予想していなかった。普及の勢いはいまだに衰えることなく、クラウドコンピューティングを手掛ける新たなベンチャー企業が次々と生まれている。
3人のアナリスト(Enterprise Strategy Groupのダン・コンデ氏、Constellation Researchのホルガー・ミューラー氏、451 Researchのウィリアム・フェローズ氏)が、2017年に特に注目すべきクラウドコンピューティングの新興企業について意見を述べた。彼らによると、これらの企業はクラウドの導入や管理に関してそれぞれ異なる分野をターゲットとしているが、いずれも新たな潮流を生み出す可能性を秘めているという。
本記事で紹介する6社のベンチャー企業の技術は、企業のIT管理者にとってどのような意味を持つのだろうか。
Apcera
「Apcera」は、クラウドアプリケーションとレガシーアプリケーションの両方に対応したコンテナ管理プラットフォームだ。
「開発元であるApceraの最大の特徴は、ポリシーコントロールに重点を置いているという点だ。アプリケーションを本番環境に導入する際には、それを管理する手段も必要になるからだ」とコンデ氏は説明する。Apceraの目標は、同社のベーシックなコンテナ管理システムにポリシーコントロール機能を組み込むことだ。つまり、ポリシーを後から付け加えなくても済むようにすることだ。
「同社がレガシーアプリケーションもサポートするのは、それらが一夜にして消滅することがないのを知っているからだ」とコンデ氏は付け加える。Apceraの支配株主は通信機器メーカーのEricssonだ。
Aviatrix
複数のパブリッククラウドとプライベートクラウドをハイブリッド方式に組み合わせて利用したいと考えている企業は多い。だが、それを実現する上で障害となるのがネットワークの問題だ。最近では、クラウドコンピューティングの新興企業に解決策を求めようとしている企業もある。
Aviatrixは、複数のクラウドプラットフォームにまたがるネットワークを開発している。プラットフォーム間での整合性を維持することにより、IPアドレスの重複といった問題が起きないようにしている。同社は企業が社内LANをパブリッククラウドに拡張するのを支援するだけでなく、マルチクラウド対応のセキュリティと暗号化機能を備えた「Aviatrix Gateway」も提供している。
「同社は、企業がいずれ遭遇する問題に対して現実的な解決策を提供する」とコンデ氏は話す。
HashiCorp
コンデ氏によると、HashiCorpは「DevOps」とクラウドの連係を支援するオープンソースツールを開発する企業だ。同社のツールを使えば、クラウドインフラを構築するのに不可欠なプロセス(プロビジョニング、コンテナの稼働、アクセスコントロールなど)を管理できる。
「これは他社と異なるアプローチだ。考え方としてはUNIXのコマンドに近い」とコンデ氏は語る。
HashiCorpのツールは包括的なプラットフォームではなく、それぞれ特定の機能に特化している。例えば、「Packer」ツールはマシンイメージやコンテナイメージを作成するのに使用し、「Vault」ツールはトークンやAPIに対するアクセスコントロールを管理するのに役立つ。
「これらのオープンソースツールはいずれも有名だが、同社の名前は知られていない。つまり、これらのツールの多くにエンタープライズエディションが存在するという事実があまり知られていないということだ」(コンデ氏)
ミューラー氏は「HashiCorpのツールは、急速にクロスプラットフォームプロビジョニングの標準になりつつある」と指摘する。
Mesosphere
Googleの「Kubernetes」のようなOSレベルやアプリケーションレベルのコンテナ管理ツールは開発者の間で既に広く知られているが、コンデ氏によると、こうしたツールだけでは必ずしも十分ではないようだ。Mesosphereは、ビッグデータやコンテナをサポートするモダン(現代型)アプリケーションの管理に不可欠なサービスを提供している。具体的には、データセンターのリソースを単一のプールに集約するサービスやコンテナのオーケストレーション、ロードバランシングなどだ。
「プラットフォームがこういったサービスを提供すれば、IT部門は各種サービスをDIY式に組み立てる苦労から解放される」とコンデ氏は話す。
また、Mesosphereはオープンソースソフトウェアの「Apache Mesos」の商用版も販売している。「これはモダンアプリケーション用のOSを新たに定義するものだといえる」(コンデ氏)
2017年に注目すべきは価格よりもサービスの多様性
クラウドはコモディティ化と価格の低下が進むと一般に考えられているが、451 Researchのフェローズ氏らによる調査報告書「2017 Trends in Cloud Transformation」によると、実際にはその逆の方向に進んでいるようだ。今後、クラウドプロバイダーの差別化の要因となるのは、価格ではなくクラウドサービスの多様性だという。
Platform9
Platform9は、「OpenStack」やKubernetesをベースとして企業のプライベートクラウドを管理する完全管理型サービスを提供している。「このサービスを利用すれば、DIY方式での面倒な管理抜きでクラウドをオンプレミスで運用できる」とコンデ氏は話す。
Platform9は設立当初、管理型OpenStackのプロバイダーとしてスタートしたが、その後、Kubernetesなどのプラットフォームの管理も手掛けるようになった。「ユーザー企業が面倒だと思う部分をSaaS(Software as a Service)として提供し、パブリッククラウドに置けないコンポーネントを管理できるようにするというのは斬新な発想だ」(コンデ氏)
Weaveworks
451 Researchのフェローズ氏によると、Weaveworksは「Weave Cloud」という製品でコンテナ管理の簡素化を実現する。マイクロサービスの開発者は、アプリケーションを作成するのに必要な機能や要素を容易に連係できるという。
Weaveworksのサービスは、Amazon Web ServicesやMicrosoft(「Microsoft Azure」を提供)、Googleおよび多数の独立系コンテナ技術プロバイダーが提供するコンテナサービスと競合する。同社はGoogle傘下のベンチャーファンドから多額の出資を得ており、使いやすさと開発者の立場を重視した同社のサービスは生産性向上につながるとしている。例えば、「Amazon EC2 Container Services」にコンテナを配備するのも比較的簡単だという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社フィックスターズ] 組み込み開発特有の課題も解消できる「AI活用」の秘訣とは? -
事例
[株式会社ビザスク] 「新規事業」事例集:大手企業はどのように想定顧客ヒアリングを行っているのか -
市場調査・トレンド
[株式会社ビザスク] 質の高い「仮説検証インタビュー」を実施するためのポイント -
事例
[株式会社ビザスク] 富士フイルムの新領域参入に学ぶ事業創出 「畑違い」でもビジネス化できる方法 -
事例
[株式会社ビザスク] 三菱電機 上席執行役員に学ぶ、未来を切り開く「新事業創出」の実践方法
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
2
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
3
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
4
鹿島建設のDXを阻む「10年前のAWS」 安全性と自由度を両立したモダナイズ
-
5
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
6
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
7
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
8
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
-
9
Microsoft 365の「テナント統合・分離」問題 手戻りのない道を選ぶ秘訣とは?
-
10
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
3
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
8
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー