まる分かりIT基礎解説「ファイアウォール」
読めば分かる! 次世代ファイアウォール
2010年は、次世代ファイアウォール元年といえるほど各社から新製品がリリースされた。今後求められるファイアウォール機能を整理しながら、現時点における各社ファイアウォールの特徴を紹介する。
次世代ファイアウォールに求められる機能
「何が違う? ファイアウォールと次世代ファイアウォール」では、従来のファイアウォールが持つ機能を復習しながら、近年各社からリリースが相次ぐ「次世代ファイアウォール」と呼ばれる製品の特徴をまとめた。
そこでも説明した通り、現在のインターネットの利用スタイルは、既存のファイアウォールで制御することは難しい。ここでは、あらためて次世代ファイアウォールに求められる機能について考えてみたい。
なお本稿の後半では、ベンダー各社から提供されている次世代ファイアウォールの特徴を順番に紹介する。
Webアプリケーションの制御
すべてのベンダーに共通していえるのが、アプリケーションの制御を行うのが目的ということである。これらは何が違う? ファイアウォールと次世代ファイアウォールで説明した通り、Webアプリケーションを個別に制御できる必要がある。製品の中には、単純にWebアプリケーションの許可/拒否だけではなく、帯域制御ができる機能を持っているものもある。
また、単純にアプリケーション(例えばSkype)をまとめて扱うのではなく、Skypeの中の通信を細かく分け、メッセージの送受信は許可するがファイルの送受信は許可しないといった具合に、アプリケーションを細かく分けて制御できるものもある。
アプリケーションの可視化
アプリケーションを制御するためには、まずそのネットワークにどういったアプリケーションのトラフィックが流れているのかを把握する必要がある。アプリケーションが分からなければ、アクセスルールを作ることはできないからだ。
可視化機能としては、ユーザーの閲覧状況をリアルタイムに表示する方法や、ある一定期間の情報を基にフィルタリングを掛ける方法がある。また可視化をするためには、アプリケーションを識別することが前提になるが、それだけではなく、その通信を誰が行っているかも把握する必要がある。例えば、Active Directoryと連携することで、どのユーザーがどういったアプリケーションを利用しているかも同時に識別可能となる。
さらに、アプリケーションの中を流れるコンテンツも識別できるとより有効だ。例えば、Flashを利用した動画を帯域制御したい場合、動画を登録できるWebサイト(アプリケーション)を個別に制御するよりは、Flashでの動画配信というくくりで制御した方が管理者にとってはメリットが多く管理も容易であることは明らかだと思う。
すなわち、アプリケーションの識別では、「アプリケーション」「コンテンツ」「ユーザー/グループ」の3点を識別できる方がより利用しやすいといえる。
これらの情報を識別することにより、誰が、どういったアプリケーションで、どのようなデータを流しているかを管理者は理解、把握できる。
どの機能に注目すべきか
では、実際に機器を選定する場合にはどういった機能に注目するべきだろうか。まず制御したいアプリケーションに対応している、または要望を出した場合に対応してもらえるかどうかが重要になってくる。特にほぼすべてのベンダーは海外で開発を行っているため、海外のアプリケーションの多くには対応しているが、日本特有のアプリケーション(例えば、mixiやニコニコ動画など)に対応しているかは、製品選定時に非常に重要なポイントとなる。
また、先に説明したようにアプリケーションをより細かく制御したい場合には、アプリケーション内の機能ごとに通信を識別、制御できるかという点もポイントとなる。
次に、ユーザー/グループでの制御ができるかというのも、運用時に必要となる場合が多い。例えば、YouTubeなどはマーケティングツールとしても利用されるため、マーケティングにかかわるユーザーは利用できる必要があるが、それ以外のユーザーには禁止したり帯域制御を行いたいという要望があると思う。そうした場合には、ユーザーおよびグループでのアクセスルールを設定できる必要がある。
最後に可視化について考える場合には、アプリケーションでのトラフィックだけではなく、ユーザーごとのアプリケーション利用量を把握するために「アプリケーションごと」「ユーザーごと」「コンテンツごと」といったようにフィルタを設定できる機能があった方が便利である。
加えて、対応しているプロトコル数やゲートウェイアンチウイルスなど、UTM(統合脅威管理)機能を持っているかという点も考慮するとよいだろう。やはり、アプリケーションの上を流れる脅威を防御するというのは非常に重要なポイントである。そして、アプリケーションの識別を行うために遅延が発生してしまっては、VoIPやストリーミングの利用にストレスを感じるので、そういった目に見えにくい点も注意すると失敗しにくい。
まずは、どの機能が必要なのかを考慮して、必要な機能を提供できるものはどれかを検討する必要がある。
代表的な次世代ファイアウォール製品
以下、各社から提供されている次世代ファイアウォールを順に紹介しよう。
| 製品名 | WatchGuard XTM シリーズ |
|---|---|
| 画像 |
「XTM 1050」 提供:ウォッチガード・テクノロジー・ジャパン
| 説明 | 脅威の防御にクラウド型のレピュテーションサービスを導入した製品。レイヤー7ファイアウォール機能の追加により、アプリケーションの制御が可能 |
|---|---|
| 製品紹介ページ | http://www.watchguard.co.jp/products/xtm-main.html |
| 製品名 | NSA シリーズ/NSA E-Class シリーズ |
|---|---|
| 画像 |
「SonicWALL NSA E7500」 提供:ソニックウォール
| 説明 | 独自のRFDPI技術により、すべてのパケットをDPI(ディープパケットインスペクション:認識)できる製品。次世代ファイアウォールとして、脅威の防御に加えてアプリケーションの可視化と防御が可能 |
|---|---|
| 製品紹介ページ | http://www.sonicwall.com/japan/products/products_nsa.html |
| 製品名 | PAシリーズ |
|---|---|
| 画像 |
「PA-4060」 提供:パロアルトネットワークス
| 説明 | Active Directoryと連携し、ユーザーIDにひも付いたWebアプリケーションの利用状況を可視化・分類できる製品。潜在的な脅威を発見、防御することも可能 |
|---|---|
| 製品紹介ページ | http://www.paloaltonetworks.jp/solutions/ |
| 製品名 | FortiGateシリーズ |
|---|---|
| 画像 |
「FortiGate-3040B」 提供:フォーティネットジャパン
| 説明 | 独自ASICによる高速処理が特徴のセキュリティアプライアンス製品。UTM機能に加えて、アプリケーション制御機能を搭載している |
|---|---|
| 製品紹介ページ | http://www.fortinet.co.jp/products/fortigate/ |
| 製品名 | Firewall Enterprise version 8 |
|---|---|
| 画像 |
「Firewall Enterprise version 8」 提供:マカフィー
| 説明 | クラウド技術を活用した次世代ファイアウォール製品。アプリケーションの可視化と制御が可能 |
|---|---|
| 製品紹介ページ | http://www.mcafee.com/japan/products/firewall_enterprise.asp |
まとめ
2010年は、次世代ファイアウォール元年といえるほど、各社からアプリケーションの可視化と制御に注力した製品がリリースされた。当面は、さまざまなアプリケーションへの対応や使いやすさなどに注力していくと思われるが、今後は10Gbps対応など高速なネットワークに対応した製品も増えていくことが予想される。
各社の次世代ファイアウォールが出そろい、2011年はアプリケーションレイヤーでのファイアウォールが一般的になるのではないだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Excel至上主義」の終わらせ方 丸2日の手作業地獄から情シスと現場を救うには
-
2
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
3
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
4
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
5
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
6
「AI時代の統合基盤・エンタープライズAI管理」に関するアンケート
-
7
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
8
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
9
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
10
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー