Kinect活用法をシミュレーション
Windows 8とKinectの統合がもたらす8つのシナリオ
Kinectに対応するとウワサされるWindows 8だが、一体何の役に立つのか? 企業のITに役立ちそうな用途を8つ考えてみた。
かつてないスピードで売れている家庭用電化製品端末としてギネス世界記録に認定されたMicrosoft Kinectについて、今さら詳しい紹介は必要ないだろう。カメラとモーションセンサーを内蔵したハードウェアに、非常にスマートなソフトウェアを搭載したこのテクノロジーの用途としてすぐに思い浮かぶのはゲームだ。しかし、IT管理やシステム管理での利用方法は不明なままだ。
うわさによると、Kinectの業務利用が検討されているという(参考:ゲームコントローラー「Kinect」にビジネス用途の可能性はあるか?)。Windows 8のスクリーンショットには、“人物検知(Detect Human Presence)”の言及がある新しい「センサー」コントロールパネルが収められていた。映画「2001年宇宙の旅」に登場するHAL 9000は喜ぶだろう。
KinectとWindows 8はIT管理にどのような変革をもたらすだろうか? ここでは、思い付くシナリオを8つ紹介したい。
シナリオ1:ジェスチャーによるNOC管理
現在の静的なネットワークオペレーションセンター(NOC)を、アラート、通知、ステータス更新機能から成る動的な“オーケストラ”に変えられるもしれない。マエストロたるIT担当者が全ての機能を管理できる壁面型コンピュータにジェスチャーを送って、このオーケストラを指揮する。映画『マイノリティ・リポート』が描いたような夢を、ITで実現できる。
シナリオ2:顔認識によるセキュリティ
Kinectのカメラは最先端の顔認識技術を採用している。この技術のおかげで、「Dance Dance Revolution」や「Michael Jackson:The Experience」などのXbox 360ゲームに必要な、全身の動きをキャプチャーするユーザーインタフェースを実現できている。また、認証の副次的要素としても利用できる可能性がある。2要素認証の「ユーザーが所有している何か」と「ユーザーが知っている何か」の他に、「ユーザー自身を示す何か」となる生体認証の要素をプラスできる。
シナリオ3:カメラとログオン機能の統合
シナリオ2の認証への応用は、また別の興味深い未来に自然とつながる。ログオン自体をただ座るだけで実行できるようになるかもしれない。インターネット上では、「My PC Knows Me」というWindows 8の新機能がうわさされている。これは、ユーザーがPCに近づくとPCがユーザーを検知し、PCの前に座るとログオンプロセスが開始されるという機能だ。将来はこの自動ログオンまたは再開機能と高速なユーザー切り替え機能が組み合わされ、いすに座る程度の動作でログオンができるようになるかもしれない。
シナリオ4:素早いログオンとログオフ
ログインとログオフは、ほとんどのナレッジワーカーにとっては比較的気にならないプロセスだ。しかし、日々の業務に非常に高速なログオンとログオフを必要とするユーザーもいる。医師をはじめとする医療従事者がその典型的な例で、ログオンやログオフ時の待機時間をゼロに近づけることを目的とした新しいソフトウェア市場さえ誕生している。
Kinectの顔認識と他のログオンテクノロジーの組み合わせは、このような特殊な業界では重宝がられるかもしれない。例えば、医師が画面を見るだけでコンピュータのユーザーインタフェースが起動し、スムーズに処置を続けられるようになるだろう。
シナリオ5:アラートやメッセージングのパーソナライズ
KinectとWindows 8の統合によって、画面を見るという単純な動作(と、その後に続くデータ交換)で、さらに進化したアラートやメッセージングを体験できるようになるかもしれない。
各所にキオスクのようなシステムが設置されている、未来のとある事業所を想像してみよう。そこでは、デスクから離れているユーザーが、そのユーザー宛てに送られたメッセージやアラートを公共施設にあるディスプレーを使ってセミプライベートに確認できる。ユーザーがディスプレーを見るだけで、ディスプレーにはそのユーザーに関係のある情報が表示される。ユーザーが目をそらすと、情報は画面から消える。
これこそ、場所を問わないインスタントメッセージングだ。Microsoftのユニファイドコミュニケーション(UC)プラットフォームとKinectを使用することで、通知、アラート、その他のメッセージ配信の在り方が、セミプライベートインタフェースを利用して変革されるかもしれない。
シナリオ6:どこでもビデオ会議
シナリオ5と同じ利用形態は、Kinect対応スクリーンを利用した場所を問わないビデオ会議の可能性にもつながる。数十年も前からビデオ会議が将来のトレンドになるといわれているが、いまだにほとんど利用されていない。普及の障壁の1つがユーザーインタフェースであることはほぼ間違いない。ビデオ会議に参加する手順だけでも、電話をかけるよりずっと面倒なのだ。
Kinect対応の世界では、スクリーンを見る程度の動作で、ビデオ会議を開始できるだろう。次回、会議に出席する同僚をつかまえなければならないときは、手近のスクリーンをのぞき込んで相手の名前を呼べばいい。
シナリオ7:タブレットの統合
特に単なるタッチ操作によるコンピューティング以上の使い方を実現できるという点で、タブレットはKinectのテクノロジーから恩恵を受けられる。現時点では最上位のタブレットでも、基本的に“読む”ことが中心の端末だ。タッチコンピューティングでは必然的にそうなるのだが、人間工学的な配慮がないことで利用方法は限られている。ジェスチャーベースのユーザーインタフェースをコンピューティングインタフェースに採用することで、タブレットの可能性を飛躍的に引き出せる。
シナリオ8:ジェスチャーによる認証
これも、認証プロセスの在り方を変え得るシナリオの1つだ。キーストロークの組み合わせ(パスワード)は認証要素の1つ「ユーザーが知っている何か」を提示するメカニズムとして長年使用されてきたが、これはハッキングされるリスクがかなり高い。しょせんは2次元の文字列なので、そこそこ高性能のコンピュータを使えば、コンピュータ処理によって簡単にクラックできてしまう。では、これと同じ処理によって、ユーザーごとに異なる3次元の一連のジェスチャーを認識しようとしたらどうだろう。適切なテクノロジーがあれば、ジェスチャーが見られていても(ユーザーが“パスワードを入力する”ところを第三者が見ているなど)、別のユーザーによって同じジェスチャーを再現はできないだろう。
以上のシナリオはWindows 8開発のうわさに基づくものもあれば、空想に近いものもある。それでも、Kinect対応となるWindows 8でのユーザーインタフェースの変更によって、Windowsの斬新な使い方を考えられる世界が開かれるだろう。
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