BI製品紹介:アシスト
「WebFOCUS」が目指す理想のBI「カスタマーダイレクトBI」とは
一部の専門家だけでなく、社員の誰もが必要な情報をリアルタイムに活用するオペレーショナルBI。それをいち早く提唱したのが「WebFOCUS」だ。そして、その理想はカスタマーダイレクトBIに向けられている。
オペレーショナルBIを最初に目指したWebFOCUS
コンピュータのパフォーマンス向上や意思決定情報への戦略的投資の促進によって、2000年代前半に第2次ブームともいえるビジネスインテリジェンス(BI)への回帰が行われると、データウェアハウス(DWH)のリアルタイム化やリアルタイムBIなどが話題となった。
アシストが提供する「WebFOCUS」は、米国ニューヨークに本社を構える独立系ベンダーのInformation Buildersが開発し、1997年に販売を開始した歴史のあるBIソフトウェアだ。海外では7260ライセンス(2010年12月末)が出荷されている他、国内ではアシストが総販売代理店となって企業・自治体・学校などに約1000件(2011年7月現在)導入されている。
今では多くの製品が概念として「オペレーショナルBI」をうたっているが、この言葉は元はInformation BuildersがWebFOCUSの独自性を説明するために用い、日本においてはアシストが商標登録を行っている。では、このオペレーショナルBIとは何を意味するのだろうか。
BI製品紹介連載インデックス
- 「Microsoft SQL Server 2008 R2」+「Excel 2010」が目指すセルフサービスBI
- BIを超えた分析力を企業文化に根付かせる「SAS Enterprise BI Server」
- 独自の連想技術でインメモリ処理を実現する超高速BI「QlikView」
- 「Cognos 10」に見た、ビジネスアナリティクス(BA)を成長戦略に掲げるIBMの本気度
- インメモリ型DBやiPhone対応で「誰でも使えるBI」を目指した「SAP BusinessObjects BI 4.0」
- BIの基本をきっちり提供、最新モバイルにも対応する「MicroStrategy 9」
- 現場で自在にデータ分析、全社利用を前提に作られた国産BI「Dr.Sum EA」
- Oracle BIが実現する「3つのリアルタイム」と「BI標準化」とは
UIを固定化せず業務に応じてカスタマイズ可能に
「一部の経営層や専門家だけが独占するのではなく、現場の社員やパートナー、顧客まで、あらゆる人がいつでも、どこでも、必要な情報をリアルタイムに活用するためのBIを実現するプラットフォームがオペレーショナルBI」と説明するのは、アシスト 情報活用ソフトウェア事業部 事業部長の上村雅豊氏だ。同氏はオペレーショナルBIに必要な要素として次の3つを示す。
- 特別なトレーニングなしで誰もが直感的に使えるシンプルな操作性
- ニーズに合わせてExcelやPDFなどで提供し、活用できる
- どのようなデータソースのデータでもシームレスかつリアルタイムに活用できる
「これまでのBIは使い方を特別に習得しなければならないほど複雑であるが故に、全社員のわずか10%しかBIを活用していない。結果、企業の情報資産の約8割が活用されていないといわれている。この課題を解決するためには、ユーザーが見たい形で情報を提供することが必要で、WebFOCUSはユーザーインタフェースをあえて固定化せず、業務に応じてカスタマイズすることができるようになっている」(上村氏)
オペレーショナルBIからカスタマーダイレクトBIへ
2010年から海外では開発元のInformation Buildersが“Customer Facing BI”、日本ではアシストが「カスタマーダイレクトBI」と表現して、もう一回りBIの裾野を広げようと活動している。「カスタマーダイレクトBI」とは企業内だけでなく、その活用範囲をパートナーや自社の顧客への情報提供にまで広げるものだ。
| 従来のBI | オペレーショナルBIおよびカスタマーダイレクトBI | |
|---|---|---|
| 利用者 | 経営者、部門担当者、アナリスト | 経営者、部門担当者、アナリスト、会社員、顧客、パートナー |
| 利用目的 | 情報分析(OLAP) | リアルタイムリポーティング |
| 利用規模 | 小規模 | 小規模~大規模 |
| 対象データ | DWH、キューブ | DWH、キューブ、業務データ、アプリケーションデータ他 |
| ユーザー教育 | ツールの利用方法習得が必要 | ツールの利用方法習得が不要 |
| インタフェース | ツール独自のインタフェース | 企業ごと、業務ごとに自由に作成 |
その一例がKDDIである。2006年に同社は、法人顧客約7000社がWeb上で利用するau料金管理サポートサービス「Bross.」(Billing Report and data Output Support Service)を構築し、その請求データや通話明細のダウンロード、データ集計、最適料金プランの試算まで行うリポート作成/分析機能にWebFOCUSを採用。請求データのダウンロードとリポート作成システムが別の仕組みとなっていた既存システムの課題を改善した。中でも、リポート機能をシステムの一部として組み込めたことが採用の大きな理由になったという。
アシスト 情報基盤販売推進室 企画部 課長の寺田 和歌子氏は、「通常のBIツールの場合、外部のアプリケーションにリポート機能を組み込むには認証が必要であったり、インタフェースのカスタマイズにも自由度が求められるため、構築は容易でない。一方、WebFOCUSはBI機能の開発ツールとしても活用しやすい構造を持っているため、エンベデッドシステムとしてB2Bのサービスに利用されているケースも多い」と語る。
また、Bross.のように社外ユーザーにもBI機能を使えるようにするとなるとライセンスの問題が気になるところだ。その点、WebFOCUSでは、ユーザー数が25人まで、50人まで、100人までの3種類の部門サーバライセンスと、ユーザー数無制限のCPUライセンスを用意し、ニーズに合ったライセンス選択できるようになっている。さらに、今後サーバライセンスにはユーザー無制限の汎用検索ライセンスを低価格で提供していく予定だという。「導入した企業の利益にもつながるようになることがカスタマーダイレクトBIの目的であり、他のBIと大きく異なる点といえる」(寺田氏)
WebFOCUSを構成する製品ラインアップ
さまざまなユーザーニーズを満たすため、WebFOCUSには以下のような個別製品がラインアップされている。
| 製品ラインアップ | 概要 |
|---|---|
| WebFOCUS Maintain | Web ベースのデータ更新アプリケーション開発ツール |
| インフォアシスト | ユーザーによるフレキシブルなリポート作成 |
| モバイル連携 | スマートフォンやタブレット端末からのリポート参照 |
| アクティブレポート | オフラインでの分析 |
| 帳票オプション(List Creator連携) | オーバレイ帳票などレイアウトが複雑な帳票開発 |
| Googleマップ/GISアダプター | 地図を使ったビジュアル分析 |
| クイックデータ | Excelアドインツール |
| ビジュアルディスカバリ | グラフやデータシートの相関分析 |
| Performance Management Framework(PMF) | KPIダッシュボード分析 |
| WebFOCUS Flex連携 | Flexと連携したビジュアルアプリケーション |
| リソースアナライザ | アプリケーションの利用状況をロギング |
| レポートキャスタ | リポート配信の自動化 |
| Webサービス連携 | Webサービスの配信/Webサービスデータの読み込み |
| セキュアコンポ | GUIベースでのユーザー認証/認可 |
| WebFOCUS DataMigrator | ETLの自動化とDWHの構築 |
| WebFOCUS高速サーバ | 高速DWHサーバを組み込み、検索レスポンスを向上 |
ユーザーの評価が高い機能として、例えばExcelなどMicrosoft Office製品との親和性が挙げられる。旧バージョンのExcelで作成したファイルからでも明細データの出力や精緻なリポートに形式化することができ、かつピポットテーブルやマクロ連携が可能となっている。PowerPointにリポートやグラフを埋め込むことも可能だ。
また、「WebFOCUS Flex連携」では、Adobe Flexテクノロジーと連携することでPDFの中にFlashを埋め込み、分析軸ごとにグラフがインタラクティブに変化し、視覚効果の高いリポートをPDF上で表現できる。
さらに、「WebFOCUS Maintain」という機能では、Webで参照したリポートと同じインタフェース上で、数値を変更するシミュレーションやデータのエントリーを実行することができる。iPad上からダイレクトにデータベースを更新することできるアプリもサポートしている。
ユーザー本位のリポーティングシステムを開発するDeveloper Studio
一方、オペレーショナルBIで重要なのが、ユーザーが使いこなせるリポーティングシステムを開発するための効率の良い開発環境である。WebFOCUSの開発ツール「Developer Studio」はユーザーインタフェースを自由に作成し、容易な操作でBI初心者でも開発効率を改善できるよう工夫されている。また、検索対象のデータソースが複数存在していても、Developer Studioをインタフェースとして開発が行えるため、専門的な知識を必要とせずに開発の標準化を図ることができるという。
「HTMLコンポーザ」機能は、ユーザーインタフェースとなるHTMLを自由にレイアウトすることができ、ドロップダウンリストなどフォームの自動生成やリスト値の動的取得、タブページの作成などの開発工数を大幅に削減する。
「レポートペインタ」機能では、さまざまなデータを抽出し、クロス集計表やランキング表、ドリルダウンリポートなどを作成する。Excelマクロ連携、仮想カラムの作成の他、リポーティングに特化した開発スクリプト「WebFOCUSスクリプト」によるIF THEN ELSEなどの条件分岐処理やLOOP処理、変数処理、中間ファイル出力による二次加工(HOLD機能)などの複雑な処理を可能にする。
SQLスクリプト資産を再利用して100本ものリポートを順次移行
また、既存のSQLリクエストをそのまま流用できる「SQLパススルー」は、SQLファイルのインポートやエクスポート、リポート加工、ストアドプロシジャの実行の他、SQLスクリプトの編集といった開発を効率化する機能だ。
対応しているデータソースの種類の豊富さやネイティブのアダプターの種類が多いのもWebFOCUSの特徴で、データベースのディクショナリ情報をマスターファイルとして取り込むことでデータベースの種類を意識せずアクセスを可能にしている。
それを生かしたのが山崎建設だ。同社は管理会計などを始めとする基幹システムが老朽化したことで、システムを新しく自社開発。それに伴い旧基幹システムに付随するBIツールのリプレースを検討し、WebFOCUSを選択している。新基幹システムの本番稼働に合わせるために厳しいスケジュールとなったが、既存のSQL資産を活用できたことで開発工数を大幅に削減できたため、導入からわずか2週間で本番環境への移行を完了している。その際、約100本のリポートをGUIで設計して順次WebFOCUSへと移行した。インタフェースも従来の形で新リポートを提供できたため、ユーザーの業務効率を落とすことなく移行に成功したという。
「WebFOCUSはこうした開発の内製化が可能なため、ユーザーから追加のリクエストが発生してもすぐに対処でき、既存のSQL資産を生かしつつ工数も削減するので、コスト削減というメリットも得られる」(寺田氏)
犯罪発生率を49%減少させたリッチモンド市警察
さらに、海外の事例だが、米国ヴァージニア州リッチモンド市警察では、WebFOCUSで「犯罪予測/防止システム」を構築している。IBMの統計解析ソフト「IBM SPSS」やESRIの地図情報システム「ArcGIS Server」などと連動させ、過去の逮捕歴、犯罪者の動機、公共イベントで起きる犯罪の日時や天気、ロケーションなどを現在の状況と比較分析することで犯罪発生率を予測。その結果、犯罪が発生しそうな場所を絞り込み、計画的に警備を配置できるようになったことで犯罪発生率は49%減少し、市民からの911コール(緊急通報)数も減ったという。このシステムは、2007年にGartnerの「Business Intelligence Excellence Award」を受賞している。
フロントのBIツールのみならずバックエンドのシステム構築までサポート
アシストでは過去40年近くに渡って企業の情報活用を支援してきたノウハウを、BIの総合コンセプト「Ashisuto Enterprise BI Suite」(AEBIS:えびす)として取りまとめ、2010年から展開している。企業内外の複数システムに散在するデータを「つなぐ」「ためる」「生かす」の3つの視点で捉え、フロントとなるBIツールの提供だけでなく、バックエンドのシステム構築までを視野に、情報を蓄積・管理しビジネスにどう生かすかを総合的に支援していくソリューションだ。寺田氏は、「ツールの特性をトータル的に知り尽くした当社だからこそ提供できるソリューション」と強調する。
具体的には、システム間のデータ連携が標準化されデータ加工/ロードが自動化されたバックエンド(つなぐ)、業務要件の変化に強く、信頼性と高速性を実現できるデータベース(ためる)、誰でも必要なときに必要な情報を活用でき、柔軟性に富んだフロントエンド(生かす)の3つのシーンで、アシストが取り扱う製品を選択し、コンサルティングサービスと併せて提案する。それに並行してアシストではサポートセンターも充実させ、WebFOCUS専任で20数人、BI専門のエンジニアを含めると100人以上の規模でスタッフをアサインしているという。
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