BI製品紹介:日本オラクル
Oracle BIが実現する「3つのリアルタイム」と「BI標準化」とは
2011年6月に新バージョンの出荷が開始された「Oracle BI」。モバイル対応や基幹システム連携、導入早期化のための仕組みを実装・強化することで、「BI標準化の実現」を訴求する。
連載インデックス
- マイクロソフト:「Microsoft SQL Server 2008 R2」+「Excel 2010」が目指すセルフサービスBI
- SAS Institute Japan:BIを超えた分析力を企業文化に根付かせる「SAS Enterprise BI Server」
- クリックテック・ジャパン:独自の連想技術でインメモリ処理を実現する超高速BI「QlikView」
- 日本アイ・ビー・エム:「Cognos 10」に見た、ビジネスアナリティクス(BA)を成長戦略に掲げるIBMの本気度
- SAPジャパン:インメモリ型DBやiPhone対応で「誰でも使えるBI」を目指した「SAP BusinessObjects BI 4.0」
- マイクロストラテジー・ジャパン:BIの基本をきっちり提供、最新モバイルにも対応する「MicroStrategy 9」
- ウイングアーク テクノロジーズ:現場で自在にデータ分析、全社利用を前提に作られた国産BI「Dr.Sum EA」
オラクルがBI標準化の実現にこだわる理由
2010年10月に出荷された「Oracle Business Intelligence 11g」では、ユーザーインタフェースを刷新するとともに、地図情報連携による分析の強化、ダッシュボードやスコアカードから業務プロセスやWebサービスを直接実行する機能の実装などが行われた。また、「Oracle Fusion Middleware」や「Oracle Database」との統合・連携によるパフォーマンスやセキュリティの向上などが図られている。それまでのオラクルのビジネスインテリジェンス(BI)製品は、裏側で動く仕組みがマニアックなために「技術者好みのBI」というイメージが強かったが、Oracle Business Intelligence 11gの投入によって経営層やエンドユーザーも納得のBIへと大きくモデルチェンジした形となった。
そして、2011年6月に出荷を開始した「Oracle Business Intelligence R11.1.1.5」(以下、Oracle BI)は、企業内で進行しつつある「BI標準化ニーズ」に対応することで、さらに全社網羅的な情報活用基盤を目指した製品となっている。日本オラクルがBI標準化の実現にこだわる理由について、「部門ごとにデータウェアハウス(DWH)やデータマート(DM)を作り、バラバラのBIツールを導入するといった、データ分析や経営判断の足かせになることを避けるため」と語るのは、日本オラクル EPM/BI事業統括本部 ビジネス推進本部 ビジネス推進部 シニアセールスコンサルタント 枇榔貴子氏だ。
企業内のデータにアクセスできる全社共通のBI基盤の構築
BIツールを複数抱えている企業も存在する現状、ツールが異なるとメタデータも異なるためにBIがサイロ化し、社内の情報が可視化できない。また、IT部門は異なるツールをメンテナンスしていくための手間とコストが積み上がってしまう。
「BIツールを標準化することで企業全体を透過的に可視化し、同時に全社を網羅するメタデータを用意することで、企業内に散在するさまざまなタイプのデータにアクセスできる全社共通のBI基盤の構築を提案しています」。それを踏まえ、Oracle BIは以下3つのリアルタイムを実現できると強調している。
- 経営環境やビジネスの変化をタイムリーに受信、発信、把握する「リアルタイム検知」
- 的確な意思決定のためのシナリオをシミュレーションする「リアルタイム判断」
- 機会損失や余剰コストを抑制してビジネスを最適化させる「リアルタイム実行」
以下では、これらのリアルタイム性を支えるOracle BIの基本機能について紹介する。
iPhone/iPadでの運用で時間や場所を問わない情報アクセスを可能に
1番目の「リアルタイム検知」では、マイクロ秒オーダーでのレスポンスや大量トランザクションのリアルタイム処理によるサービスレベルの安定化を追求したインメモリデータベース製品「Oracle TimesTen」が貢献する。このOracle TimesTenを前段に配置し、後段にDWHを高速化するサーバ/ストレージアプライアンス「Oracle Exadata」を配置することで、トランザクションデータを超高速処理し、より膨大な明細データをリアルタイムに検索するインフラが実現できるという。
また、Oracle BIはiPhoneやiPadでのモバイル運用にも対応。PC利用時のWebブラウザと変わらないインタフェースで基幹データとDWHなどのマルチソース情報のリアルタイム分析、変動要因を変えながらシミュレーションを行うシナリオ分析、基幹システムの直接実行など、時間や場所を問わない情報アクセスが可能になった。
さらに、業務プロセス管理(BPM)とBIとの壁を取り払い、プロセス横断的な情報の最適化を実現するために、アダプターを介して多様な業務アプリケーションを情報分析に適したスキーマに展開できるテンプレート群「Oracle BI Applications」(以下、BI Applications)も実装している。「PeopleSoft Enterpriseアプリケーション」や「Oracle E-Business Suite」(Oracle EBS)、「Siebel CRM」などの他、SAPのオンライン分析処理システム「SAP Business Information Warehouse」(SAP BW)用のアダプターなども用意しており、事前定義済みの直感的に操作できる分析アプリケーションを活用できる。なお、BI Applicationsはモバイルからでも利用可能だ。
加えて、Oracle BIは標準の「Oracle Mapviewer」に加え、今回新たにGoogleマップにも対応することで、グラフと地図の連動機能や地図上での色別表示機能を向上させた。
将来を予測するシミュレーションをBIツールから実行するEssbase
2番目の「リアルタイム判断」では、旧Hyperionが開発し、買収後にオラクルがXOLAP(次世代型ハイブリッドオンライン分析処理モデル)を搭載することで、リアルタイム性を向上させた多次元データベース「Oracle Hyperion Essbase」(以下Essbase)が活用される。Microsoft Excelを使用した多次元分析や、蓄積された過去の情報から原因分析を行うだけでなく、為替や原油価格などの変数を変化させながら、BIツールで容易に将来予測を実行できるようにすることがEssbaseの最大の特徴だ。
枇榔氏は、「将来に向けたビジネスシナリオを幾つも用意しておくことで、現在どのようなオペレーションを行えば無理・無駄なく実行可能なのかを想定しながらシミュレーションを繰り返し、最適な着地点を見いだしていけるようになります」とアドバイスする。
また、複数のデータソースを仮想的に統合し網羅的な分析を行う「Common Enterprise Information Model」という機能では、Oracle BI、Essbase、スコアカードなどのメタデータを統合することによってデータ分析のタイムラグを解消し、経営層も現場の担当者も同じデータソースを使ってKPI分析が可能になるという。
Actionable BIによる思考を止めないシームレスな連携を実現
そして、3番目の「リアルタイム実行」を支援するのが「Actionable BI」と呼ばれる機能だ。分析結果に基づいて次のアクションを促すアクションフレームワークという機能を活用し、異常値が発信された場合に基幹業務の具体的な画面にBIが誘導し、即座にオペレーションを行うといった、BIと基幹システムのシームレスな連携が可能になる。例えば、市場の変化によって在庫発注のフォーキャストを見直す警告が表示された場合に、Oracle EBSの在庫発注画面に自動的に遷移し、発注単位を変更することも可能となる。また、BIツールの画面から基幹システムのデータを直接アップデートする「Write Back」機能を実装することで、基幹システムに移動してデータを書き換える必要もない。
加えて、Oracle BIは構築スピードも通常とは大きく異なる。一般的なBIツールの導入アプローチは、データソース群からのデータ抽出(ETL処理)、DWHの構築、DM構築、そしてBIツールの導入といった段取りを時間かけて行う。一方、Oracle BIは先に可視化を実現し、その後、統一化されたメタモデルからData Mart Automationという機能でDWH/DMの自動構築を実現できるので、BIを短期間で使い始められ、BI活用のハードルを低くすることができるという。
サポート環境とパートナー育成を強化
その他、Oracle BIの拡張機能としては、特別なスキルを持たない業務部門のユーザーでも非定型分析リポートを簡単に作成できる「BI Composerウィザード」の搭載や、64ビットプラットフォームに対応したBIの管理者専用ツールの拡張、スコアカードなどのKPIの追加や変更が容易になったKPIエディタの拡張などが行われている。
さらに、オラクル製品をインストールした企業に対し、パッチアドバイスやシステムヘルスチェックなどを行うサポートサービス「My Oracle Support」も適用されるようになった。プロアクティブなサポートやシステム構成情報の共有、アップグレード支援などのメンテナンスサポートが受けられる。
枇榔氏は、「日本企業はPDCAサイクルをP(計画)からD(実行)、C(評価)、A(改善)へと進む中で、Aの結果を再びPにつなげてうまくサイクル化できない企業は多いのではないでしょうか。それをEssbaseによるシミュレーションやActionable BIによってPDCAを最適なサイクルにすることができます。これこそがOracle BIの強みであり、スピード経営にもつながると考えています」と説明する。
なお、日本オラクルでは、2012年のBI市場シェアトップ獲得を目標に、パートナー企業との協業(Oracle EPM/BI Partner Committee)強化を打ち出している。その1つに、Oracle BI Foundation SuiteとEssbaseの2つのプロダクトを対象に、パートナー企業のBIエンジニアを新たに500人育成するためのキャンペーンを実施するという。具体的には、業種別ハンズオンセミナーや機能紹介セミナー、Oracle University-Oracle BI Course、上級エンジニア向けセミナーなどが行われる予定だ。また、パートナープログラム「Oracle PartnerNetwork Specialized」の中核となる認定制度「Specialization」も設けられている。ユーザー企業からの推薦も必要なSpecializationの取得は非常に難しいことで知られている。国際的に通用するBIエンジニアを社内に育成することは日本オラクルのパートナー企業にとって有効な差別化戦略となるだけでなく、ユーザー企業にとっては今後のBIシステム環境を任せるSIerを見極める上での1つの指針、かつ安心感につながることだろう。
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