BI製品紹介:ウイングアーク テクノロジーズ
現場で自在にデータ分析、全社利用を前提に作られた国産BI「Dr.Sum EA」
難しい、遅い、面倒といった理由で利活用率の上がらないBI。ほぼ事前準備なしにデータを高速分析できる独自のエンジン開発でその課題を解決した「Dr.Sum EA」。日本の業務スタイルに合わせた国産BIの実力とは。
連載インデックス
マイクロソフト:「Microsoft SQL Server 2008 R2」+「Excel 2010」が目指すセルフサービスBI
SAS Institute Japan:BIを超えた分析力を企業文化に根付かせる「SAS Enterprise BI Server」
クリックテック・ジャパン:独自の連想技術でインメモリ処理を実現する超高速BI「QlikView」
日本アイ・ビー・エム:「Cognos 10」に見た、ビジネスアナリティクス(BA)を成長戦略に掲げるIBMの本気度
SAPジャパン:インメモリ型DBやiPhone対応で「誰でも使えるBI」を目指した「SAP BusinessObjects BI 4.0」
日本企業では現場で自主的にデータを集計・分析できるBIが望まれる
大企業はもとより、中堅・中小企業においてもビジネスインテリジェンス(BI)の活用が広がり始めている。しかし、高い、難しい、遅い、面倒といった理由で導入に二の足を踏むケースや、単なる定型ティングツールにとどまって、BI本来の利活用が思うように進んでいないケースも多い。
帳票開発、帳票運用ソリューションで知られるウイングアーク テクノロジーズが、もう1つの事業の柱に据えるBI製品の「Dr.Sum EA」シリーズでは、日本の業務スタイルや仕事の進め方にマッチした、「現場の業務担当者が日常的に使えること」を目指したBI開発が行われている。
「日本人は器用なので、データを加工して業務に活用する潜在的能力や感覚を持つ人は多いと思っています。また、日本企業では担当する業務の種類が多岐にわたるため、現場が自主的に工夫できる範囲は広く、自在にデータを集計・分析できるBIは非常に役に立つのではないでしょうか」。そう語るのは、ウイングアーク テクノロジーズ 営業本部 製品戦略部担当兼、1stホールディングス 代表取締役社長付の小島 薫氏だ。
一般的なBIの場合、データ活用を阻んでいる要因の1つとして、IT部門に依頼する手間と時間と、思った通りのものが出てこないストレスが挙げられる。しかし、ボトムアップの文化を持ち、現場の改善によって企業体質を強化している多くの日本企業では、自分で必要なデータをいつでも簡単に見ることができるようになれば、極めて高い業務効率をもたらすと小島氏は言う。
「データを可視化すれば事実が見え、事実が見えれば正しい意思決定が可能になります。現場でデータ活用を進め、生産性や売り上げ、利益の向上などの価値を生み出せることがDr.Sum EAコンセプトです」
従来のBIの常識を変える多次元高速集計エンジン
Dr.Sum EAはそのコンセプトを実現するために、さまざまな技術が盛り込まれている。その最大の特徴が、同社が独自に開発した多次元高速集計エンジンである。
リレーショナルデータベース(RDB)をエンジンとする一般的なOLAP製品では、集計を高速化するためにキューブの作成や階層設計、インデックス作成などの事前準備が必要になる。しかし、その準備に時間や工数がかかるため、ユーザーからのリクエストが多くなるとバックログが積み上がり、IT部門の業務を圧迫することも多かった。
Dr.Sum EAではさまざまなユーザーから寄せられるリクエストごとに多次元高速集計エンジンがリアルタイムにキューブ生成・集計を行うため、事前準備は不要だという。事前にキューブを作らず、データを高速に分析できる理由は、RDBなどの一般的なデータベースと異なり、集計や検索のための専用データベースエンジンとして設計されており、データを行単位ではなくカラム単位で管理するカラムストア型データベースを採用しているためだ。
また、データを格納する際に集計しやすい形にコンパクトに加工する独自技術により、大量のカラムが入っていても担当コードや地域コードなどの共通な値を重複排除して小さい値に置き換え、読み込む量を少なくしているという。
「一般的なデータウェアハウス製品と比較して、数倍から十倍を超える高速性を高く評価いただいています。大容量データを項目の複雑な組み合わせで高速集計できるのは、独自開発の純国産データベースエンジンならではの大きな強みです」
サーバライセンス方式によるライセンス費用の削減
さらに、Dr.Sum EAはサーバライセンスで利用できるため、クライアントライセンス方式のように利用者が増えるごとにライセンス費用が積み上がることがないのも大きな特徴といえる。
加えて、きめ細かなアクセスコントロールを可能にしていることもBIにとって重要な要素だ。Dr.Sum EAでは、テーブルやカラムごとをはじめ、リポート、ダッシュボード、メニュー、ユーザーごとにデータやコンテンツへの参照権限を設定できるため、表示するメニューや初期表示するダッシュボード画面を制御するとともに、ユーザーのニーズに合わせた画面提供が可能となっている。
また、誰が、いつ、どのテーブルの、どの項目を、どのような条件で参照したかなどの監査ログを記録する一方で、128ビット暗号化技術を搭載し、JavaアプレットやActiveXなどのモバイルコードも使用しないため、安全性・監査性の高い運用を実現させている。
エンジン、UI、データ統合機能を網羅するDr.Sum EA
製品としてのDr.Sum EAシリーズは、大きく分けて、心臓部となる高速集計・検索エンジン部と、ユーザーインタフェース部、データ統合・更新部の3つで構成されている。
Dr.Sum EA エンジン
エンジン部分は、取り扱うデータの規模によって4つのラインアップが用意されている。いずれも前述の多次元高速集計エンジンの技術によって、開発工数の軽減と高速性・柔軟性の確保を両立している。
| エディション | 特徴 | スケール | 分散並列処理 |
|---|---|---|---|
| Dr.Sum EA One | 中小企業や部門利用などの小規模向け。低価格 | 1000万件まで | なし |
| Dr.Sum EA Premium | 中堅・中小企業向けのデータ高速集計。短期構築可能 | 2000万件~1億件まで | マルチビュー |
| Dr.Sum EA Premium Plus | 中堅~大企業の大規模データの高速処理 | 1億~5億件まで | マルチビュー |
| Dr.Sum EA Enterprise | 大企業での複数サーバによる大規模データ集計 | 1億~5億以上 | マルチビュー、マルチサーバ |
また、Dr.Sum EAエンジンにはMicrosoft Excelインタフェースが標準でバンドルされており、使い慣れたExcel操作で自由にデータ集計、検索、OLAP分析を行うことができる。1億件のデータも約10秒(※)で集計が完了する実力を持っているという。集計に必要な項目をドラッグ&ドロップ、ドリルダウン、ドリルスルーすることも可能で、項目の組み合わせや条件は保存して共有できる。各営業所が毎日同じ定義でデータ集計・分析する場合に便利だ。
※ウイングアーク テクノロジーズでの実測数値であり、全ての場合において保証する数値ではない。
Dr.Sum EA Datalizer
インタフェース部の製品の1つ。Excelで集計、リポート作成、OLAP分析を行う「Dr.Sum EA Datalizer for Excel」と、Webブラウザで定型リポートやデータ検索画面をノンプログラミングで作成・登録できる「Dr.Sum EA Datalizer for Web」、さらに複雑で高度なマルチリポーティング機能やExcelの集計表をより見やすく自動生成して高精度なPDF出力で実現する機能を追加した「Dr.Sum EA Datalizer Professional for Web」、それら3製品の統合版でパーソナライズ機能やキャッシュ機能などを加えた「Dr.Sum EA Datalizer Expert」など、全4ラインアップをそろえる。
| ラインアップ | クライアントインタフェース | 自由設計 OLAP分析 |
定型出力 データ検索 |
Datalizer間定義互換 | マルチ集計 | フィルタ機能 | PDF出力 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Dr.Sum EA Datalizer Expert | Excel/Web | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| Dr.Sum EA Datalizer Professional for Web | Web | ― | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
| Dr.Sum EA Datalizer for Web | Web | ― | ○ | ○ | ○ | ○ | ― |
| Dr.Sum EA Datalizer for Excel | Excel | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ― |
Dr.Sum EA Visualizer
インタフェース部のもう1つの製品。20種類を超える多彩なグラフ機能とレイアウト設定によりDr.Sum EAエンジンで集計されたデータを見える化し、経営状態を把握するための経営コックピットや情報共有ダッシュボードを、マウス操作によるノンプログラミングで構築する。集計結果のチャート表現だけではなく、リアルタイムなドリルダウンによる詳細把握や原因分析も行える。
Dr.Sum EA Connect
データ統合・更新部の製品。複数のデータソースから分析、リポート作成に必要なデータ加工、クレンジング、統合を行いながら、インポートできる環境を提供する。複数のRDB、Excelや電子メールなどの業務データ、Salesforce CRMなどに対してもノンプログラミングで接続でき、ロジックアイコンを配置して線でつなぐだけで、詳細なデータフロー定義を容易に設定できる。
Dr.Sum EA DataLoader
データ統合・更新部の2つ目の製品。対象データソースからDr.Sum EAエンジンのテーブルに高速にアップロードするアップデートローダー機能と、基幹データベースのテーブルとDr.Sum EAサーバ上のテーブルとを複雑なプログラミングを行うことなく同期更新する機能を搭載する。
Dr.Sum EA MotionBoard
Dr.Sum EAのデータ可視化や集計・分析、情報共有を行うダッシュボード用アプリケーション。一般のBIのダッシュボードのように開発時にチャートの種類や見せ方が固定されておらず、集計結果をユーザーレベルで自由に棒チャート、円チャートなどに切り替え、担当エリアへの絞り込み、地域レベルで店舗単位の状況の表示、明細までへの堀り下げなど、ユーザーの自由な思考をさまざまな切り口から表示する機能を持つ。
また、移動平均や回帰曲線などでの傾向把握や、時系列予測機能、データ入力機能のほか、検索機能の強化、プッシュ型の情報提供が可能となるアラート機能、任意エリアのPDFファイルへの出力、ファイルの共有なども可能となっている。
経営会議の場で経営層の情報活用にDr.Sum EA MotionBoardを利用したという事例や「使ってみたい」という要望が多く寄せられているという小島氏は、「使う人の役割や業務に応じて分析・集計・共有などのパーツをさまざまに用意しているので、ITリテラシーの高い人から現場担当者などのITビギナーまで、自由に使ってもらえる。自分なりのデータ活用が広がるツールです」と説明する。
クラウド版やスマートフォン/タブレット端末対応も視野に
今後、ウイングアーク テクノロジーズは協業関係にあるNECと共に、Dr.Sum EAの拡張性やデータ処理能力、関連システムからのデータ収集機能などを強化する予定だ。従来の約10倍の処理能力が求められる大規模BIシステムにも対応できるよう、性能検証を実施していくという。
さらにこれからの製品展開として、小島氏は、「新バージョン(バージョン4)のリリースに向けて機能強化を進めつつ、将来的にはクラウド対応やスマートフォン/タブレット端末対応なども行っていくつもりです」と述べている。今後純国産BIがどのように進化していくのか、期待したいところだ。なお、ウイングアーク テクノロジーズでは、Dr.Sum EAを理解してもらうために、集計・分析のデモンストレーションだけでなく、実際にその場でデータベース構築から画面設計までを行うセミナーを定期的に開催している。30日間の無償使用期間の利用も併せて、BIが自社の課題解決にどのように有効かを検討してみるのもいいだろう。
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