大手ITベンダーの買収によるBI製品の統合が進む中、専業ベンダーとして業種別分析ソリューションを強みとするSAS Institute Japan。BIの限界を超える同社のビジネスアナリティクス(BA)とは何か。
分析ソフトウェアとサービスを提供する米SAS Institute(以下、SAS)は、1976年に設立。米国ノースカロライナ州キャリーを本拠地に世界50カ国以上、約400拠点に1万1100人以上の社員を抱える。2009年の売上高は23.1億米ドルで、34年間連続で増収増益を達成する非上場企業である。大手ベンダーの買収によるBI(Business Intelligence)専業企業の再編が続く中、独立系ベンダーの立場を堅持する異色の存在でもある。その強さの源は、売上高の平均23%もの金額をR&Dに継続投資していることにあるといわれている。
創業者の1人で、現CEOのドクター・ジェームズ・グッドナイト氏が学生だった1960年代に、天候や土壌などの条件が農作物の生産性にどう影響するかを分析するため、同じ創業者のアンソニー・バール氏が開発したSAS(Statistical Analysis System:統計分析システム)を改良したことが同社の発展の基礎となり、その後メインフレームやミニコンに対応することで1980年代に一気に普及した。現在、国内市場では大企業を中心に官公庁や大学などで幅広くSAS製品が利用されている。
SASは創業以来、「分析することでデータから知見を得て、業務に生かすこと」をポリシーとしており、BIではなく“Business Analytics(BA)”という表現を強調している。その理由について、SAS Institute Japan ビジネス開発本部 プラットフォームグループ 部長の池本洋信氏は次のように説明する。
「BIという言葉が普及したことで、本来の意味が陳腐化してしまったように、現在の一般的なBIツールは基本的にリポーティングツールでしかなく分析ツールになっていない製品が多いと感じています。“インテリジェンス”だけではなく、もっと大きな意味での“アナリティクス”という性格を強調したかったため、当社ではあえてBAと表現しています」(池本氏)
いわゆる一般的なBIツールの領域というのは、定型リポート(何が起きたのか)、非定型リポート(どこで何が起きたのか)、検索ドリルダウン(問題の発生個所はどこか)、アラート(何をすればいいのか)といった、情報の「見る」から「知る」までが限界だったが、SASはさらにその上の統計分析(なぜ起きたのか)、予測(その傾向で今後はどうなるのか)、予測型モニタリング(次に何が起こるのか)、最適化(最善・最適な対処法とは何か)といった「プロアクティブな『予見力』まで提供します」(池本氏)。
それを製品化したのが、SASがこれまで培ってきた業務知識を企業の経営課題解決に活用する業務別・業種別のアプリケーション群である。
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