診療所向け電子カルテ製品紹介:メディカルアイ
地域医療連携のポータルを目指すクラウド型電子カルテ「医歩ippo」
診療情報の外部保存の解禁を受け、既存の電子カルテに情報の公開機能を追加するケースが多い。一方、複数の医療機関による情報共有を前提として開発された電子カルテも登場してきた。
メディカルアイは、経済産業省の「地域見守り支援システム実証事業」、総務省の「諸外国におけるEHRの現状および課題に関する調査」など、医療・介護分野におけるコンサルティングの実績を持つ(関連記事:地域医療再生に向けた国家戦略とは?)。メディカルアイ 代表取締役 山口典枝氏は「地域の医療連携や遠隔支援など、新しい医療・介護モデルを実現する上で必要なツールを提供するために開発した」と、同社の電子カルテサービス「医歩ippo」の開発経緯を説明する。
連載インデックス
いつでもどこでも使えるASP型電子カルテ「セコム・ユビキタス電子カルテ」
使いやすさにこだわった電子カルテ「SimCLINIC T3」
モダリティとのデータ連携に強みを持つ電子カルテ「TOSMEC TRINITY」
Mac OS/Windowsの混在も可能な電子カルテシステム「MindTalk」
将来の地域医療連携にも対応する電子カルテ「HOPE/EGMAIN-CX」
紙カルテからの段階的導入が可能な電子カルテ「AI・CLINIC EV」
カルテ表示のスピードが速いMac OS専用電子カルテ「WINE STYLE」
SaaS形式でも活用できる低コスト電子カルテ「DolphinPro」
診療所のIT化を統合的に支援する「Doctor-SEED i」
情報共有を前提として開発された電子カルテ
医歩ippoは、インターネットVPN経由で電子カルテ機能を提供し、データセンターのデータベースに情報を保存するクラウド型サービス。関西電力のグループ企業であるケイ・オプティコムのデータセンターを利用している(関連記事:クラウドコンピューティングが変える医療の未来)。
医歩ippoは「過去の診療歴」「診療入力」「入力補助」の3つの画面を基本構成とする。処方や処置、検体などの入力パターンを登録でき、診察内容の入力作業を簡素化する。また、過去の情報を参照しながら、マウスクリックによってその内容を反映できる。さらにシェーマ図や画像の取り込みも可能で、紹介状などの文書作成もテンプレートを活用できる。
山口氏は「医歩ippoが提供する機能は、ある程度絞り込んでいる。メニューや機能を豊富に備えた電子カルテを使っていたり、手厚いサポートを求めたりするユーザーには物足りない部分があるかもしれない」と説明する。機能を多く搭載するためにはその分の開発や保守の負荷が掛かり、それが導入・運用コストに影響する。「診療所のIT化では価格面がネックとなるため、なるべくコストを抑えて導入できるようにした」という(関連記事:電子カルテ市場調査リポート(診療所編) 診療所における電子カルテ導入促進の鍵は?)。
医歩ippoの導入価格はサポートの度合いにより異なるが、山口氏によると「初期費用が平均50万円で、月額利用料金が4万6000円から」という(最小構成の場合、ハードウェア端末の費用は含まれていない)。外注検査会社とのデータ連携に関する設定などを経て、2週間ほどで導入可能だ。また、システム障害に備えたデータの二重化、災害時対応としての遠隔バックアップ機能(オプション)も提供している。
山口氏は、医歩ippoの特徴として「医療機関だけでなく、看護師や介護スタッフに至るまで、多職種における情報連携の機能を強化している点」を挙げている。
医歩ippoは診療所や病院、看護ステーションなど複数施設における情報共有基盤としての利用が前提に開発されている。医歩ippoではアクセス権限を設定した上で看護師や院内スタッフなどもカルテ情報を参照できる。山口氏は「カルテや紹介状、指示書・意見書といった情報を共有することで、医療スタッフ全体の業務の効率化が図れる。また、院外からでも全てのカルテ情報にアクセスでき、例えばノートPCやiPad端末から情報を参照したり、入力したりすることが可能」と説明し、「医師の自宅や訪問診療先でもカルテ情報を参照・入力できるため、緊急対応時や在宅医療にも適している」。
山口氏は「診療所の診療情報は日常的な医療・健康管理のベースになる。その情報を蓄積して、関係者間で共有することが重要」と説明する。急性期医療ではより専門的で高度な医療行為が実施され、その診療情報は医師や一部の医療スタッフに限られる。一方、診療所では慢性疾患や在宅医療の継続的なケアの記録や管理が求められ、医療・介護に従事する関係者だけでなく患者自身やその家族とも情報共有が必要になる場合が多い。
医歩ippoでは患者本人もしくはその家族の合意を得て開示先を設定しておくと、複数の施設で担当患者の日常的な看護や介護の記録、管理が可能になる。複数施設の利用に当たっては、3カ所まではVPNクライアントの導入のみで追加料金は不要だ(関連記事:患者状態に応じた多様な診療を可能にするクリニカルパスの実現へ)。
グループウェア基盤との連携
メディカルアイは医歩ippoと併せて、地域の調剤薬局や保健所などを含めた多職種における情報共有を可能にするグループウェア基盤「医歩ippoグループウエア」を提供している。医歩ippoグループウエアは、患者ごとの掲示板を介して多職種間の情報を共有できるツールだ。患者ごとのスケジュール管理や情報交換や意見の場である掲示板などを設定して情報を共有する。
また、医歩ippoのカルテ情報をURLでリンク連携することで、詳細な情報をカルテから参照することも可能。さらに在宅患者のケアにおける克明な情報などを蓄積していくことでナレッジライブラリとして共有できる。それらの情報を共有することで、地域連携のポータルツールとしても展開できるという。
例えば、地域住民を対象に健康情報を管理する「健康カルテ」として、自治体が導入している事例もある。北海道栗山町が2010年12月、「医歩ippo住民カルテ」の本番運用を開始している。健康診断や検診結果、予防接種、保健師の健康指導の記録などをデータセンター上に保存し、地域住民の健康情報を一元管理する。過去の検診結果や相談内容を参照することで、住民サービスにも役立てるという。
今後の展開として、山口氏は「電子カルテ情報の共有範囲をより拡大できるよう、グループウェアを中心に他社システムとの連携機能を充実させたい」と語る。
| 項目 | 詳細情報 |
|---|---|
| システム構成 | インターネット接続が可能なPC端末など |
| 費用(税込み) | サポート対応により異なる。最小構成の場合、初期費用が平均50万円、月額利用料金が4万6000円~ |
| 入力方法 | ペンタブレット、マウス、キーボード |
| 保守体制 | リモートメンテナンスなどのアフターサービスを利用できる |
| レセプト機能の有無 | あり(ORCA) |
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