【連載コラム】医療ITの現場から
クラウド解禁は地域連携ネットワークを加速させるか
最近、地域連携ネットワークへの参加を目的として電子カルテの導入を検討する診療所が増えてきた。しかし、実際には参加メリットを把握できないまま検討する医師が少なくないようだ。
2010年2月、厚生労働省のガイドライン改正により、診療録などの医療情報を外部データセンターに保存するクラウドコンピューティングの採用が認められました。これを受けて「地域連携ネットワーク」が急速に進むことが期待され、注目が集まっています(関連記事:なぜ、医療クラウド市場は急速に拡大しているのか?)。地域連携ネットワークにはさまざまな定義がありますが、一般的には「病院間の連携」「病院と診療所との連携」「診療所間の連携」など、ある地域の医療機関をネットワークで結び、その情報共有の仕組みを電子化することが挙げられます(関連記事:地域医療の問題解決を支援する情報ネットワーク)。さらに今後は「医療と介護の連携」という、より包括的なケアを実現する試みが進んでいます。今回から2回にわたり、診療所が地域連携に参加するメリットなどを紹介していきます。
政府が進めているから参加しなくてはならない?
最近、将来の地域連携ネットワークに対応するために電子カルテを導入するという診療所の声をよく聞くようになりました(関連記事:将来の地域医療連携にも対応する電子カルテ「HOPE/EGMAIN-CX」)。しかし、実際にヒアリングを進めると、地域連携ネットワークに参加することのメリットを十分に理解しないままま、「政府が主導で進めているから、当然参加しなくてはならない」と漠然と考えている医師が少なくないようにも感じています(関連記事:地域医療再生に向けた国家戦略とは?)。
電子カルテ関連コンテンツ
地域連携ネットワークに参加するメリットは?
診療所にとって地域連携ネットワークは何でしょうか。また、それによって病院とどのような連携が取れるのでしょうか。
近年、診療所には、政府のさまざまな指針からも読み取れるように「かかりつけ医」としての役割が期待されています。地域の患者の最も身近な存在として、患者を常に見守り、異常があれば適切な病院に橋渡しする役割が重要視されています。
また、これまでの病院と診療所の連携では、手術や精密な検査が必要な場合は診療所の医師が近隣の病院に患者を紹介してきました。そして、紹介を受けた病院が手術や検査を行い、必要に応じて入院手続きをしたり、退院時に逆紹介として診療所を紹介するというクリニカルパスが一般的になりつつあります(関連記事:患者状態に応じた多様な診療を可能にするクリニカルパスの実現へ)。
この診療所から病院へ、そして病院から診療所へという流れを電子化することでよりスムーズに行うという試みが「地域連携ネットワーク」といえます。診療所がその連携に参加することでどのようなメリットがあるかを考えてみましょう。
(1)紹介患者の経過をリアルタイムに知ることができる
診療所にとっては、紹介した患者が病院でどのような検査や手術を受けているのか把握でき、その後の経過をリアルタイムで知ることができれば、かかりつけ医としても非常に安心できます。
(2)高額医療機器の共同利用で投資を抑えられる
CTやMRIのような高額医療機器の検査結果も情報共有できます。無駄な投資を抑えることができ、診療所の運営において、費用対投資の観点からも良い効果を生みます。従来行われていた紙媒体ベースの情報伝達フローは、このような情報をリアルタイムで入手することが困難でした。地域連携ネットワークを利用して問題を解決できれば、リアルタイムで診療所と病院との情報共有が可能になるでしょう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
【連載コラム】医療ITの現場から
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」攻略ガイド:効率的に落札するためのポイントを徹底解説 -
製品資料
[株式会社うるる] 入札情報に特化した「販路拡大」「効率化」のためのサポートツールとは? -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] 公共入札に成功する企業と失敗する企業の「5つの違い」 -
製品資料
[日本ビジネスシステムズ株式会社] 専門家が教える、Microsoft 365の「テナント統合/分離」を成功に導く秘訣 -
製品資料
[rakumo株式会社] Microsoft 365での情報埋没を防ぐ、社内ナレッジを資産化する情報ポータル活用
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
2
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
3
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
4
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
5
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
6
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
7
「テザリング依存」に潜む落とし穴 “遅いVPN”を解消するネット構築術
-
8
積水化学工業が「SAP S/4HANA Cloud」の“全グループ導入”に踏み切った訳
-
9
データセンター事業者が「脱VMware」をした“例のライセンス問題”じゃない理由
-
10
OpenAIやAnthropicでさえ制御不能 2026年夏「3大サイバー攻撃」の衝撃
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
8
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
9
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
10
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー