慢性的な医師不足や医療過誤訴訟の増大、病院経営の悪化など日本の地域医療分野を取り巻く現状は非常に厳しい。その解決策として地域医療再編の動きが始まっている。
日本政府は2010年10月、5.1兆円の経済対策を盛り込んだ2010年度補正予算を閣議決定した。厚生労働省によると、医療・介護関連分野には1兆2225億円が計上され、その内の2100億円を「地域医療再生臨時特例交付金」に充てるという。
この臨時特例交付金は、2009年度から各都道府県が2つずつ策定している「地域医療再生計画」の事業支援を目的として設置された「地域医療再生金」を拡充するものだ。地域医療再生計画では、二次医療圏を単位として地域全体が抱える医療問題を解決する取り組みが進められてきた。その事業内容は、地域の医師確保や救急・周産期・小児科などの医療体制の強化、在宅医療の推進、ITを活用とした地域医療連携ネットワークの構築など、さまざまだ。
現在、慢性的な医師不足や過度な医療期待による医療過誤訴訟の増大、経営の悪化による病院閉鎖など、地域医療を取り巻く環境は非常に厳しいといえる。今回の拡充によって、そうした地域医療の再生事業のさらなる推進が期待される。
また、現場の医療従事者同士が連携して地域医療の再生を目指す活動も始まった。2011年1月、全国各地で地域医療情報連携を推進している団体を中心とする「地域医療福祉連携協議会」が設立された。この協議会は会員や学会、医療業界団体、行政などを含めて、地域の医療・福祉における情報連携のより良い実現形態のための意見や情報交換の場として発足した。協議会の会長を日本版EHR研究班リーダーである、東京医科歯科大学大学院 生命情報科学教育部教授 田中 博氏が務めている。
1月28日に開催された発足記念シンポジウムでは、厚生労働省 大臣官房審議官 唐澤 剛氏が「地域医療再生基金の執行と2100億円の拡充について」と題した講演を行った。講演に先立ち、唐澤氏は「講演内容はあくまで私見であり、厚生労働省の公式見解ではない」と説明しているが、地域医療再生の方向性などが示されていた。本稿ではその講演を踏まえ、地域医療再生計画の概要と今後目指すべき地域医療提供体制のイメージなどを紹介する。
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