会社を元気にする次世代アプリケーション【第2回】
「SuccessFactors」が実現する日本企業に最適なタレントマネジメント
グローバル展開する企業が多くなり、タレントマネジメントが日本であらためて注目されている。SuccessFactorsのタレントマネジメントソリューションは国内で既に25社が利用している。
「SaaSでは世界最大規模のユーザー数を抱える企業だ」。人材管理ソリューションをSaaSで提供するSuccessFactorsの日本法人、サクセスファクターズジャパンの取締役社長 木下雄介氏は、自社のサービス提供規模をこう説明する。同社は業務アプリケーションの中でも人材管理に特化し急成長してきた企業だ。伊藤忠商事やNECなどグローバル企業を中心に日本でも導入が増えてきた。「会社を元気にする次世代アプリケーション」第2回では、「戦略的人事にフォーカスする」(木下氏)という同社ソリューションを紹介する(第1回記事「マーク・ベニオフ氏が出資、経費精算を極めた「Concur」の機能を見る」)。
戦略と実行のギャップを埋める
ビジネスでは通常、ゴールとなる目標があり、その目標を達成するための戦略、そして実行のフェーズがある。しかし、多くの企業では「実行のミスで多くの価値を失っている」と木下氏はいう。実行フェーズでは全社目標が小さな粒度の目標に分解されて部門やチーム、そして個人に割り当てられる。それらの小さな目標を達成すれば、部門や全社など大きな目標の達成が見えてくるという仕組みだ。しかし、多くの企業でこの部門やチーム、個人の目標と実行が適切に管理されていないと木下氏は指摘する。「SuccessFactorsはこの戦略と実行の間のギャップを克服する19のモジュールを持つ」(木下氏)
このように各社員の目標と実行、パフォーマンスを管理する考え方は、「タレントマネジメント」と呼ばれる。ERPパッケージなどの人材管理ソリューションは、給与計算や勤怠管理の機能が中心だが、SuccessFactorsは各社員のパフォーマンスを最大限活用し、社内にいかに適切に配置するかにフォーカスしている。
19あるモジュールの中でベースとなるのが「社員プロファイル」だ。各社員の経歴や資格、異動歴、評価などが一目で分かる機能で、社内で必要な人を見つけやすくする社員データベースといえる。木下氏は「全社的な人材の適材適所を実現する」と説明する。伊藤忠商事はこの機能を使ってグローバルで担当役員や部門長、課長職以上の社員約2700人の情報を管理している。
タレントマネジメントについての記事
社員プロファイルと連携するモジュールとして「後継者計画」がある。これは社内の組織図をビジュアルに表示し、どの組織にどのような人材が必要かを明示する機能だ。社員プロファイルから求める人材の候補者を探し出して分析、比較することができる。日本企業ではある社員が異動すると玉突きで他の人が異動して、その人の穴を埋めるような人事が行われることがある。後継者計画モジュールでは、玉突き人事ではなく、目標を達成するために必要なスキルを持つ人を適切に探して、後継者として指名できる。木下氏は「最近は日本でも後継者計画モジュールが売れている」と話す。
SuccessFactorsのもう1つの核になるモジュールが「目標管理」「目標実行」だ。冒頭に述べたように全社目標からブレークダウンした部門やチームの目標を設定し、その目標達成のために各社員が担うべき目標とその進捗を可視化する。目標設定は多くの企業で行われているバランススコアカード形式を採用し、目標と達成のためのアクションを管理する。各社員の目標が部門やチームの目標と整合性が取れているかどうかを確認する機能や、目標に対するアクションの進捗状況を分かりやすく表示する機能などがある。目標設定と実行に関するワークフロー機能もあり、目標が予定通りに進捗していない場合は、上司が社員にリポートを求めることができる。
「パフォーマンス管理」モジュールは上司が各社員を評価する際に利用する機能だ。業績に基づく定量的な評価の他に、「緊張感を持っているか」などの定性的な評価項目に対して、チーム内の他の社員と比較した相対的な評価を付けることができる。また人事評価を効率化するためのワークフロー機能も備えている。例えば評価結果に応じたリポートのサンプルが用意されていて、評価結果に合致した内容のリポートを効率的に書くことができる。上司からの評価だけではなく、同僚などからも評価を受ける360度評価の機能もある。
SuccessFactorsで最も利用されるのは説明した社員プロファイルや目標管理、パフォーマンス管理だが、最近では社員間の共同作業やコミュニケーションを効率化する「Jamコラボレーション」、社内の人材活用を分析できるBI(ビジネスインテリジェンス)機能なども関心を持たれているという。
国内25社が導入し活用
SuccessFactorsはSaaSで提供されるソリューションだが、ツールによって設定変更が可能で、柔軟性は高い。企業独自のテンプレートなども設定可能だ。データセンターは北米2カ所、欧州に2カ所あり、大規模な利用にも耐える。ドイツのシーメンスではグローバルで42万人の社員が利用している。社員プロファイルやパフォーマンス管理は全社員が利用するケースが多く、利用ユーザー数が多い。それでもハードウェアやソフトウェアを自前で用意する必要がないSaaSのため、導入期間は通常の人材管理ソリューションと比べると短期間で済む。「シーメンスでは6カ月で最初の17万ユーザーに展開した」(木下氏)
利用料金はモジュールごとに異なるが、例えば1000ユーザーが3モジュールを使う場合、1ユーザー当たり年間1万円程度の課金になるという。「オンプレミスの人材管理ソリューションと比較すると、3~5年でコストは3分の1から5分の1になる計算だ」
国内企業は25社がSuccessFactorsを利用している。外資系企業の日本法人での利用を合わせると200社以上。25社は前述の伊藤忠商事やNEC、メガバンクなどで、業種を問わず利用されている。25社のうち、半数の企業は全社員を対象に導入。グローバルで一括導入している企業も25社のうちの半数に及ぶ。
サクセスファクターズジャパンの営業本部 第二営業部 部長の森 太郎氏は「2010年ごろから日本企業の間でもグローバル人事への要求が高まってきた。海外の売上比率を上げていく中で現地採用も含めたグローバルな人事管理をやらざるを得なくなっている」と説明する。日本ではこれまでタレントマネジメントの必要性が指摘されながら、本格的に導入する企業が増えてこなかった。しかし、グローバル人事の必要性が高まり、注目が集まるのは必至だ。木下氏は「われわれはタレントマネジメントのデファクトスタンダードを持っている」と自信を見せる。
ERPの海外展開についての記事
SAPが34億ドルで買収
2011年12月、SAPはSuccessFactorsを34億ドルで買収すると発表した。SuccessFactorsは買収後も独立した企業として運営される予定で、日本法人もこれまで同様のビジネスを行う。SuccessFactorsの買収は同社のこれまでのSaaS、クラウドビジネスが評価された結果といえるだろう。同社CEOのLars Dalgaard氏は買収後、同社CEOと、SAPのクラウドビジネスの責任者を兼務するという。
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