言うほど簡単ではないビッグデータ計画
ビッグデータ活用、インフラ選択前の5つの検討課題
ビッグデータ計画を実行に移すためには、まずビッグデータを理解することから始めなければならない。ビッグデータインフラを選択する前に検討すべき5つの課題を挙げる。
今や“ビッグデータ”は、ビジネスインテリジェンス(BI)、アナリティクス、データマネジメント市場の流行語であり、ここにきて最も注目されるトレンドの1つとなった。BIやアナリティクスベンダーに、ビッグデータ環境のビジネス問題を相談する企業や組織も急速に増えている。しかし残念なことに、ビッグデータの大海に視界を確保することは、言うほど簡単なことではない。ビッグデータアナリティクスプロジェクトに対応するためにベンダーは幅広い技術製品を提供しているが、企業が自社のニーズに最適なパートナーを見つけ出すことは容易ではない。
それはともかく、そもそもビッグデータとは何か? IT専門誌『eWeek』の最近の記事では、米調査会社Gartnerの定義をベースに「ビッグデータとは、ネットワークを通してプロセッサやストレージに送り込まれる構造化および非構造化データの量、多様性、速度を指すとともに、それらのデータを企業に対するビジネス上の助言に変換したもの」としている。
この定義は、データマネジメントや分析技術という意味においては当たっているが、ビッグデータを取り巻く経営課題の根本的な側面を見逃している。それは複雑性だ。例えば、ビッグデータインストレーションは、しばしばSNS、電子メール、Webアクティビティログ、その他のデータソースの情報を含むが、これらは伝統的なデータウェアハウス(DWH)システムに容易にはフィットしない。
また多くの場合、そうした多様なデータが、より幅広いレベルで意味を成すためには、統合される必要がある。そこには、ビジネスルール、テーブル結合、その他のビッグデータアナリティクスシステムがからんでくる。ビッグデータの複雑性は、ストレージやクエリ管理などの局面で、従来型データのそれとは大きく異なる。それこそが、ビッグデータに取り組む企業を助けるために、アナリティカルデータベースやアナリティクスソフトウェアベンダーがビジネスをステップアップしなければならなかった主な理由だ。
企業が技術ニーズを検討し、ビッグデータ計画を実行に移すためには、最初のステップとして、まずビッグデータを理解することから始めなければならない。その次は、膨大で多様なデータセットからビジネス価値、競争優位性を見いだそうとする企業をとりまく市場と最新トレンドを理解することだ。
ビッグデータアナリティクスプロジェクトのビッグアジェンダ
もちろん、これまでも企業の多くは巨大なデータセットと向き合ってきた。しかし今日さらに多くの企業が、Tバイト、さらにはP(ペタ)バイトレベルの情報を抱えつつある。加えて、企業は日常的に何回も、あるいはリアルタイムで、それらの中から重要なデータを引き出す必要性を感じている。それは、週ベースや月ベースでヒストリカルデータを分析する従来型のBIプロセスから大きく踏み出さなければならないチャレンジだ。
ビッグデータアナリティクス戦略において、テクノロジーベンダーらはそうしたニーズにさまざまな手法で立ち向かっている。多くのデータベース、DWHベンダーが、大規模で複雑なデータをタイムリーに処理できる能力にフォーカスしている。
例えば、インメモリアナリティクスツールは、ディスクドライブからのデータ転送を少なくし、分析プロセスのスピードアップに役立つだろう(関連記事:インメモリデータベースで高速処理化が進む最新OLAP分析ツール)。またデータ仮想化ソフトウェアやその他のリアルタイムデータ統合技術は、多様なデータソースから情報を瞬時に集めるために利用できる。日常的にビッグデータを処理する電気通信、金融サービス、オンラインゲーム産業などの垂直市場向けに、さまざまなレディーメイドのアナリティクスアプリケーションが開発されている。データ可視化ツールを利用すれば、ビッグデータアナリティクスクエリの結果を、企業の幹部に分かりやすく提示することが可能になる。
これらの技術が自社のデータ、アナリティクスニーズに適合する企業は、実装計画の立案やビッグデータインフラを選択する前に、以下の課題から検討を始めるべきだろう。
- データに求められるタイムリー性。全てのデータベースがリアルタイムでデータを提供できるわけではない
- データの相互関連性とビジネスルールの複雑性。さまざまなデータソースをリンクして、業績、販売機会、顧客動向、リスク、その他のビジネス要因を概観するときに必要となる
- 分析に用いられるヒストリカルデータの量。データソースが2年分の情報しか持っていないのに、5年分の情報を要求することはできるだろうか?
- 自社の産業分野においてビッグデータアナリティクスに経験のあるテクノロジーベンダーはどこか? 彼らの業績は?
- 多様なデータエンティティに責任を持つのは誰で、どのようにビッグデータアナリティクスイニシアチブに関与させるか?(関連記事:ビッグデータ活用の成功を左右するのは「人」──米調査会社)
こうした検討課題は、必ずしも詳細な要求仕様を構成するものではない。だが、ビッグデータアナリティクスシステムの導入、そのための最適な技術の選択に向けてステップを踏み出すとき、必ず役に立つだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
急増する「AIはこう言ってる」マン 判断を狂わせる「AI忖度」を防ぐには?
-
2
取手市がVDIと決別した理由 更改費用「4倍超」を約1.7倍に圧縮
-
3
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
4
自宅のWi-Fiが「遅い」「途切れる」本当の原因は? Dellが推奨する鉄則
-
5
本当に安いPCで十分か? “すぐ重くなる”を防ぐノートPC選びの絶対条件
-
6
Claudeの不可視透かしに批判殺到 著作権消失や誤判定に潜む企業リスク
-
7
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
8
221人調査で分かった「情シス最大のストレス」は?
-
9
LLMの「過学習」、正しく説明している文章はどれ?
-
10
レガシー基幹システムをSAPに統合 山善が突き止めた「標準化と個別最適」の境界線
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
年収2000万「クラウドセキュリティのプロ」になれる資格とは
-
2
セキュリティソフトをすり抜ける標的型攻撃メール、不審メールの見破り方とは?
-
3
Windows Updateの通信集中で回線が逼迫、ネットワーク刷新事例に学ぶ解決策
-
4
財務を戦略的組織へ進化させるAI活用術、4つの主要な障壁と解消方法
-
5
「NAS」「SAN」「DAS」は何が違う? いまさら聞けないストレージの基礎
-
6
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
7
標的型攻撃メールを見破るには? サンプル文面を例に傾向を解説
-
8
商用利用の安全性を確保し大量のコンテンツを高速で生成する、AI活用の秘訣
-
9
マンガで解説、1日で生成AI環境を構築できるワークショップの中身とは?
-
10
Dark AIが台頭する時代の新発想、「より高度なAIで対抗する」具体的方法とは?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー