SSO製品紹介【第2回】日本ヒューレット・パッカード編
トヨタも利用、クラウド認証無料のSSO製品「HP IceWall SSO」
国内のシステム開発プロジェクトから登場した、国産のシングルサインオン製品である日本HPの「HP IceWall SSO」。導入や管理の支援機能をはじめ、同製品の特徴を紹介する。
シングルサインオン(SSO)製品の老舗ベンダーの1つが、日本ヒューレット・パッカード(以下、日本HP)である。外資系企業であるにもかかわらず、日本HPのSSO製品は実は“国産”。導入面や性能面でもさまざまな工夫を凝らす。日本HPのSSO製品について、同社でSSO製品を担当する小早川 直樹氏に話を聞いた。
連載:シングルサインオン(SSO)製品紹介
製品の概要
日本HPが提供するSSO製品は、Webアクセスマネジメント(WAM)製品の「HP IceWall SSO」と、IDフェデレーション製品の「HP IceWall Federation」である(WAM製品とIDフェデレーション製品の違いは「【製品動向】『付せんでID管理』を一掃するシングルサインオン(SSO)」を参照)。以下、それぞれの概要を説明する。
HP IceWall SSO:WAMデファクトの国産製品
HP IceWall SSOは前述の通り、外資系ベンダーの製品としては珍しく、日本法人が開発したWAM製品だ。「国内における金融系企業のプロジェクトから商品化し、現在は世界で販売している」と小早川氏は説明する。
HP IceWall SSOは、リバースプロキシ型を主体としたWAM製品だが、エージェント型としても利用可能だ(リバースプロキシ型とエージェント型の違いは「【製品動向】『付せんでID管理』を一掃するシングルサインオン(SSO)」を参照)。
HP IceWall SSOの構成例を図1に示す。
エージェント型のWAM製品は、エージェントをWebアプリケーションに組み込む必要がある。導入時にWebアプリケーションの認証を無効にしたり、OSなどのバージョン合わせを行うといった各種カスタマイズが必要で、多大な改修コストが掛かることが多い。
エージェント型が持つこうした課題を踏まえ、リバースプロキシ型の利用を推奨する小早川氏。ただし、「既にエージェント型で運用していたり、一部Webサーバだけ別会社で運用しているといった環境は少なくない」ことから、双方の方式で運用可能にしたという。
利便性向上の点として、HP IceWall SSOはAPIや画面テンプレート、DBレコードなど、カスタマイズに必要な要素を幅広く公開。製品に深く手を入れることなくカスタマイズ可能にした。例えば、認証サーバや認証データベースが複数あったり、パスワードに独自の暗号方式を採用していたりと、「複雑な事情を抱える企業は多い」と小早川氏は指摘。そうした事情に対処するために製品自体の改修をした場合、バージョンアップで機能が使えなくなることもある。APIなど、あらかじめ用意された要素を利用してカスタマイズすることで、バージョンアップ時も大きな影響なく運用できるという。
ポータル機能である「HP IceWall SSOダイナミックメニューポータル」も用意した。従業員がポータルサイトにログインすると、利用権限があるアプリケーションの一覧を確認する。従業員の混乱を防ぐため、利用できないアプリケーションはあらかじめ非表示にしている。
HP IceWall SSOでSSOの対象にできるのは、他の一般的なWAM製品と同様、Webアプリケーションのみである(参考:【製品動向】「付せんでID管理」を一掃するシングルサインオン(SSO))。クライアント/サーバ型アプリケーションのSSOを実現したいユーザー企業に対して、日本HPは、認証製品専業ベンダーのディー・ディー・エス(DDS)が提供する「ID Manager for HP IceWall」を組み合わせて提案している。クライアントPCにインストールするID Manager for HP IceWallのエージェントが、ログイン画面を監視。ID/パスワードを代行入力することでSSOを実現する。
HP IceWall Federation:WAMの導入で無償利用可能
もう一方のHP IceWall Federationは、SAML準拠のクラウドサービスとの認証連携を可能にするIDフェデレーション製品だ。Google AppsやSalesforce CRM、Windows Azureなど、主要なクラウドサービスとの認証連携の検証を済ませている(SAMLを利用した認証連携の例については「クラウド活用時に考慮すべき7つの課題とその対策~認証・暗号化編~」も参照)。WebアプリケーションがSAMLに準拠していない場合でも、専用エージェント「HP IceWall Federation Agent」がインストールできれば、SAMLベースの認証連携が可能になる(図2)。
HP IceWall Federationは、HP IceWall SSOを購入すると無償で利用できる。「SAML準拠のクラウドサービスは、まだ少ない。まずはIDフェデレーション製品を普及させることでユーザーの認識や意識が高め、SAML準拠のサービスを増やしていきたい」。小早川氏は、HP IceWall Federationを無償提供する背景をこう明かす。
他社製品に対する特徴:容易な連携と高速処理で運用をサポート
HP IceWall SSOの特徴は、導入の容易さとパフォーマンスだ。
1つ目の導入の容易さを実現するのは、Webアプリケーションサーバに自動でフォームデータを送信する「自動フォーム認証機能」である。フォーム認証を採用するWebアプリケーションのSSOを実現するには、認証用のフォームを無効にするといったカスタマイズをWebアプリケーションに施さなければならないことが多い。自動フォーム認証機能を使うと、HTTP/HTTPS通信ができる一般的なWebアプリケーションであれば、カスタマイズ不要でSSOが可能になるという。
2つ目のパフォーマンスを確保する手段として、一度認証したユーザー情報を認証サーバ内にキャッシュしておくといった工夫を凝らす。それに加え、HP IceWall SSOのバージョン10.0からは、認証サーバの負荷分散機能を有償オプションとして用意。認証リクエストを複数の認証サーバで分散処理できるようになった。「アクセス先のアプリケーションが多かったり、アクセス数も膨大な場合でも、SSO製品がトラフィックのボトルネックにならないよう配慮した」
製品面の特徴に加えて小早川氏は、日本HPがサーバなどのインフラ構築も手掛けるシステムインテグレーターであることを差異化要因として挙げる。「HP IceWall SSOの導入と同時に、インフラの仮想化に踏み切りたいという事例が増えてきた。こうした点で、インフラ構築からSSO製品導入まで一貫して手掛けられる強みは大きい」。
また小早川氏は、「構築を終えたシステムにSSOを後付けすると、構築の困難さが増したり、カスタマイズが増加したりする。システムの新規構築時や刷新時には、SSOを踏まえたインフラ構築を進めるのが理想的だ」と指摘する。
事例:トヨタ自動車、住友商事などへの導入実績あり
「セキュリティ製品の導入は、一時急激に伸びてから落ち着く傾向があるが、HP IceWall SSOの場合、右肩上がりの状態が堅調に続いている」。小早川氏は、HP IceWall SSOの販売動向をこう話す。HP IceWall SSOは、公開されているだけでもトヨタ自動車や住友商事、NTTドコモなど、大手企業を中心に導入事例がある。
製品価格:大規模向けと中規模向けを用意
数千~1000万ユーザーが利用する大規模システム向けの「HP IceWall SSO Enterprise Edition」、数百~数千ユーザーが利用する中規模システム向けの「HP IceWall SSO Standard Edition」という2つのエディションを用意した。参考価格は、Standard Editionの場合、100ユーザー157万5000円。Enterprise Editionの場合、認証サーバ用ライセンスは1万ユーザー1680万円から。認証サーバの台数分必要なフォワーダ用ライセンスは、1台210万円から。
HP IceWall Federationは、前述の通り、HP IceWall SSOを購入すると無償で利用できる。HP IceWall Federationを単体で購入する場合、認証連携の対象サービス1種につき126万円から。
連載:シングルサインオン(SSO)製品紹介
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シングルサインオン(SSO)製品紹介
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