運用自動化製品紹介【第2回】
構成情報に基づいて自動運用を最適化する「Systemwalker Runbook Automation」
本連載では、ニーズが高まっている運用自動化機能にフォーカスし、国内でシェア上位を占める統合運用管理製品ベンダー7社を取材。今回は富士通の運用自動化製品「Systemwalker Runbook Automation」を紹介する。
富士通の「Systemwalker」は、国内では日立製作所の「JP1」に次いで大きなシェアを誇る統合運用管理製品。運用自動化製品「Systemwalker Runbook Automation V15」は、2012年5月に発表されたプライベートクラウド環境構築を支援する製品群「プライベートクラウドミドルウェア V15.1」シリーズの1つで、2010年から提供してきたSystemwalker Runbook Automationの最新版となる。
CMDBでシステム構成を正確に把握 “統制の取れた”自動運用を実現
同製品は運用管理スタッフが運用手順書を見ながら行っていた作業を自動化することで、運用コストの削減と運用品質の向上を支援。OSやミドルウェアに対する操作だけではなく、人が行う確認・判断作業も含めた運用フローを定義、自動化することで、運用管理業務の標準化も図ることができる。
「近年は仮想化、クラウドの浸透が進み、物理と仮想、オンプレミスとパブリッククラウドが混在した複雑な環境になっている。効率化の一環としてシステムの統合が進んだことで、管理対象となるIT資産も増えた。こうした中、IT部門はITサービスの提供や障害対応などを迅速・確実に行うことが求められている。コスト削減によりオペレータも減らされている今、これにどう対応するか――富士通では自社内のシステム運用ノウハウを生かし、効率的かつ統制の取れた自動運用を目指した」(富士通 ミドルウェア事業本部 サービスマネジメント・ミドルウェア事業部 第三開発部 マネージャーの桝野 弥千雄氏)
以上の考えに基づき、富士通ではSystemwalker Runbook Automationに大きく2つの特徴を持たせた。1つは自動化する運用プロセスの簡単・確実な実装だ。人の作業とITシステムの操作をまとめた一連の作業手順を、専用のGUIツール「自動運用プロセス開発画面」でシンプルに定義できる。
ポイントは「仮想サーバを起動」「関係者にメールを送信」といった「運用操作部品」をあらかじめ用意していること。ユーザーはカテゴリ別に整理された運用操作部品の中から最適なものを選んで、ドラッグ&ドロップ操作で画面上に配置。線でつなげていくだけで自動運用のプロセスを定義できる。これにより、例えば仮想サーバのプロビジョニングなど、複数の管理ツールを使って複数のステップを踏んでいた作業も容易に自動化できる。
運用操作部品は、2012年11月現在で106種類。「ユーザー企業にとって扱いやすい粒度が大きめの部品を用意しているが、ニーズに応じて必要な部品を開発することもできる。今後もユーザー企業の要望を聞きながら、随時増やしていく予定だ」という(桝野氏)。
2つ目の特徴は、運用自動化機能と、システム構成/稼働情報の可視化機能との連携だ。具体的には、自動運用する物理/仮想サーバやそのOS、ミドルウェアなどの情報を、構成管理データベース(以下、CMDB)で管理。Systemwalker Runbook Automation がCMDBで“現在のシステム構成”を参照しながら、自動運用プロセスを実行する。仮想サーバに割り当てるリソースの容量など人が行う判断や承認作業については、担当者に作業を促すメールを自動送信し、管理画面上での判断・承認作業を促す。これにより、システム構成が柔軟に変化する仮想環境でも常に適切な自動運用が行える。
「仮想化を導入していれば、ビジネスの状況に応じて仮想サーバの台数が増減する。このため運用管理スタッフは常に現在のシステム構成を把握する必要があった。しかしCMDBと連携した運用プロセスの自動実行により、運用管理スタッフは物理/仮想サーバの増減を意識することなく、人が判断すべきプロセスのみ担当すれば済む。この点でシステム運用の大幅な効率化、確実化が図れる」(桝野氏)
富士通によると、Systemwalker Runbook Automation とCMDBの連携により、オペレーターが実施していた3000の作業を10分の1に削減したデータセンターの事例もあるという。また、自動運用プロセスの進行状況や実行履歴、関連ドキュメントなども管理するため、「いつ、誰が、何を行ったか」といった情報も追跡できる。こうした自動運用プロセスの可視化により、運用プロセスを確実に統制・改善できる点もポイントだという。
定型業務の安定稼働を支援する、充実した監視機能
一方、日々行う定型業務の自動化を支援する製品としては、ジョブスケジューラ「Systemwalker Operation Manager」を用意している。あらかじめ設定したタイムスケジュールに沿って、サーバ電源の投入/切断やファイル転送、バッチジョブのキュー管理などを自動的に行う。
特徴は大きく2つ。1つはMicrosoft Excelベースの専用管理ツール「Job Designer」を使って大量のジョブネットを効率良く定義できること。具体的には、Job Designerの入力シートに各ジョブの内容、処理順序などを入力した上で、「ジョブフロー生成ボタン」を押せば、管理画面上にジョブネットフローがビジュアルに表現される。設定パラメータや処理順序の矛盾のチェック、印刷機能などにより、大量のジョブネットをより確実に定義、管理できる点もポイントだ。また、システムの自動運用スケジュールを1台のサーバに定義すれば、その定義情報をポリシーとして他のサーバに配布するだけで、複数サーバの業務運用を一括して定義することもできる。
2つ目の特徴は、スケジューリングした業務の稼働状況や実行結果をリアムタイムで監視できること。「正常終了」「実行中」「停止中」など、各業務の状態を色分けして監視画面に表示する他、複数サーバにおける業務の実行状況を1つの管理画面で表示するため、一目で進捗状況を把握できる。
この他、Systemwalker Operation Managerの管理画面を社外からでもインターネット経由で閲覧・操作できる「Webコンソール」や、業務の異常終了など何らかのイベントが発生した際に、自動的に関係者にメッセージを通知する機能なども装備。遅延しているジョブについて「打ち切り、完了待ち、翌日予定のジョブと並列走行、オペレーター対処」といった対処方法を事前に定義できる機能なども搭載している。
富士通の運用ノウハウとCMDBが強み
なお、Systemwalker Runbook Automation、Systemwalker Operation Managerの両製品を、システムの稼働状態を監視する統合管理製品「Systemwalker Centric Manager」や、キャパシティー管理製品「Systemwalker Service Quality Coordinator」と連携させることで、自動運用を高度化することも可能だ。例えば、サーバの追加に合わせて負荷分散対象サーバを動的に追加することでバッチジョブの処理性能向上を図ったり、サーバが故障した際に代替サーバに自動的に切り変えたりすることもできる。
桝野氏は「Systemwalkerシリーズは、ITサービスの監視・最適化、ITシステムの構成管理、システム全体の安定稼働という3つを軸に、運用管理製品群をラインアップしている。Systemwalker Runbook Automationについては、富士通館林データセンターで蓄積した運用ノウハウを、運用操作部品の開発に反映している点が大きな強み。シリーズ製品を組み合わせることで、仮想化、クラウドの利用で複雑化したITインフラを、ビジネスの状況に応じて、迅速かつ無駄なく使い、“統制の取れた統合管理”を実現できる」と解説する。
特に、仮想サーバの増減など、システム構成が状況に応じて変化する仮想化・クラウド環境では、システムの構成情報を正確に把握することが、運用管理の効率化やコスト最適化を図る上で大きなポイントになる。その点、「CMDB製品を単独で提供している外資系ベンダーもあるが、Systemwalkerシリーズと連携できる自社開発のCMDBを持っている点も大きな差別化ポイントの1つだ」と話している。
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