「自己満足と革新の欠如が広がる」PCメーカー
iPhoneでもWindows 8でもない、PC不況“真の戦犯”
スマートデバイスの攻勢を前に、クライアントPCの存在感は薄まる一方だ。こうした状況を招いた原因をひも解いていくと、クライアントPCメーカー自身の落ち度が見えてくる。
ほんの6年前の2007年であれば、Wintel(Windowsと米Intel)陣営とクライアントPCメーカーの長期にわたる成功を疑問視するのは、ばかげたことに思えたはずだ。
その年に米Appleの「iPhone」がリリースされ、それを機に独創的で新しいコンピューティング技術が次々と登場し始めた。既存のクライアントPCメーカーは、その流れには乗らず、ほとんどは従来のやり方から離れようとしなかった。変化に適応しようとようやく動き出したときには、既に移行は予想よりはるかに難しくなっていた。
責任の大半は米Microsoftにある。だが、責められるべきはMicrosoftだけではない。既存の大手クライアントPCメーカー各社も失敗を犯した。
「この5年間、OEMベンダーをはじめ、クライアントPCのエコシステムを構成する各企業の間には、自己満足とイノベーションの欠如が広がっていた」。米IDCは、2013年1月のプレスリリースでこう指摘している。
クライアントPC製造大手の米Dellは、サーバや仮想化、さらにはクラウドといった新規分野への参入を迫る声に応えるべく、何件か高値での企業買収を余儀なくされた。同社CEOのマイケル・デル氏は、投資会社とMicrosoftから協力を得て、2013年初頭にDellの株式非公開化を行っている。
米Hewlett-Packard(HP)は2012年、同年から2014年にかけて従業員2万9000人をレイオフする計画を発表した。専門家の中には、2002年に同業大手の米Compaqと合併したことが、現在HPが置かれている苦境の元凶だと考える向きもある。
クライアントPCとスマートフォン、タブレットを合わせたエンドポイント端末市場におけるクライアントPCのシェアは縮小の一途をたどっている。IDCによれば、シェアは2012年の31%から、2016年には24%へ縮小する見通しという。
こうした中、Microsoftは反撃に必死だ。同社は新OSの「Windows 8」と「Windows RT」によって、クライアントPCとタブレットの良いところを1つの端末でユーザーに提供しようとした。だが2種類のインタフェースの存在は混乱を招く。
また、同社初となる自社ブランドのWindows搭載端末「Surface」も含め、ハードウェアパートナー各社からあまりにも多くの端末が投入されたことも響き、Windows 8/RTはコンシューマーからも企業ユーザーからもほとんど見向きをされていない。「Windows Phone 8」も、同様に市場で結果を出せていないままだ。
コンシューマライゼーションに関連して、Microsoftやその他のクライアントPCメーカー各社に何か良いニュースがあるとすれば、それは「モバイル市場における技術革新が、かつての猛烈な勢いを失っていること」だろう。画面サイズが大きくなったiPhoneや小さくなったiPadは出ている。だがこうした端末を動かしているOSは、ここ数年ほとんど変わっていない。
そしてある意味、モバイル市場の主力端末は非常に似通っている。販売台数でAppleを唯一上回るスマートフォンメーカーである韓国Samsung Electronicsが2012年、注目の裁判において「Appleの特許を侵害した」との判決を下されたのは、その良い例だ。
つまり市場には、また別の勢力が新たに出現し、何か独自の製品を提供して利益を得る余地が残されているということだ。いずれはそうなるはずだ。それがIT業界の常である。そしてユーザーのクライアントPC離れがますます進み、IT部門にはさらなる混乱が広がることになるだろう。
「デスクトップPCはもう終わったのだろうか」――米ソリューションプロバイダーIntraSystemsの副社長、ポール・クンゼ氏はそう自問し、次のように続けている。「もちろん今はまだ終わっていない。だが、この先ますます重要性が薄れていくのは間違いない」(同氏)
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