イライラを減らす開発時の工夫を伝授
「応答しないモバイルアプリ」、4つの解決策
多くのアプリと同様、モバイルアプリもパフォーマンス問題と無縁ではない。不安定な回線接続のせいで、問題は一層複雑になっている。開発者はどう対処すべきなのか?
ソフトウェア開発チームは、パフォーマンス管理のプロセスには十分な注意を払わないことが多い。実のところ、パフォーマンス管理がプロセスに含まれるとは全く思っていないだろう。速く動作するように最初からアプリケーションのアーキテクチャを構築するのではなく、パフォーマンスの目標値を念頭に置きつつ、試行錯誤しながらコーディングとテストを繰り返し、本番稼働中にソフトウェアがトラブルを起こさないことを祈っている。
そして避けられない事態、つまりパフォーマンス低下が起こったときには、システム運用管理者が駆け付け、ボトルネックを探して解消する。システム運用管理者は、さながら炎に立ち向かう消防士だ。火事を未然に防ぐ方策を取るわけではない。
パフォーマンスの問題に発生してから対処するのは、あらゆるアプリについてごく普通に行われている手順だ。だがモバイル環境の場合、問題はさらに深刻になる。ユーザーは、実に多様な回線接続環境を常に移動している。モバイルアプリのパフォーマンスが予測通りにいかないことはあまりにもよくあることで、もはやそれが常態化している。
それでも、この状況が好転する材料はあると筆者は考える。
モバイルのパフォーマンスは良いとはいえない。ソフトウェア開発チームとそのチームを支える組織は、パフォーマンスに悪影響を与える変動の激しい環境でもうまく対応するようにアプリを構築し始めるしか手はない。
モバイルチームは、ソフトウェア開発プロセスの早い段階から、パフォーマンス管理を考慮して、速度と簡便性に注意しながらモバイルアプリを設計する必要がある。モバイルアプリの開発チームは接続の制御はできないものの、最適なパフォーマンスを目指してアプリのアーキテクチャを構築し、コーディングしたりテストを実施したりすることはできる。
ソフトウェア開発チームをこうした行動に仕向けるには、何が必要だろうか。それはやはりビジネスリーダーからのプレッシャーだと、米調査会社vokeのアナリスト、テレサ・ラノウィッツ氏は言う。
米TechTargetのWebキャストの中でラノウィッツ氏が説明しているように、アプリ開発者はパフォーマンスの管理権限を持っている。モバイルアプリのパフォーマンスに対する注目度が高まる中、顧客のモバイルアプリ体験はアプリ開発メーカーの企業イメージに直接影響を及ぼしつつある。アプリ開発者は、自社製品のパフォーマンスによって、自社のブランドを確立することも破滅させることもできる。
ここで時間を有効に使い、アプリのパフォーマンスに関する専門家との最近の対話を基に、モバイルアプリのパフォーマンスの問題に対処する方法を検討することにしよう。
クラッシュの実例報告
クラッシュ(アプリ実行中の突然終了)が発生したとき、その状況に関する情報を開発者に自動的に配信するのは、いいアイデアだ。その時点のバッテリーやメモリ、CPUの状態を把握することは、クラッシュを再現するための鍵となるし、問題の再発防止にも役立つ。
だがこうしたクラッシュ報告は、問題の根本原因の解決に役立つのだろうか。確かに、モバイルアプリは時々、いや頻繁にクラッシュもするが、大抵はどうにか動いてくれる。少なくとも動作しているように見える。ただし、期待するほど役に立つわけではない。
一例を挙げよう。先日筆者がニューヨークを訪れたときのことだ。街角に立ってGoogleマップを起動し、あるレストランを探した。他の歩行者の邪魔にならない場所へ移動し、自分のiPhoneのキーボードでレストランの名前を入力。そして待った。さらに待った。アプリは動いていた。少なくともそのように見えた。だが、何の情報も返してこなかった。
待ちくたびれた筆者は、次の策「プランB」を選ぶことにした。道でたまたま出会った人に聞いてみたところ、あっさり解決した。その人は、お目当てのレストランが数ブロック先にあると教えてくれた。
ユーザーの視点からすると、アプリはクラッシュしたまま見捨てられる。開発者には、こうした事実をぜひ認識してほしいものだ。
エラーメッセージを出すべし
モバイル端末でパフォーマンスの問題が発生したとき、何が起こっているのかを単純にユーザーに通知するエラーメッセージは、ユーザーのイライラを軽減する。ソフトウェアの開発とテストの観点から見ると、「現在このサービスは利用できません」といったエラーメッセージを表示させるのは難しいことではない。
ただし、説明責任という観点に立つと、話は変わる。エラーメッセージを組み込むということは、モバイルアプリの作り手であるソフトウェア開発チームと組織にとって、パフォーマンスに問題があることを自ら認める必要がある。だが正しい方向へは確実に前進する。
データのスリム化に取り組め
モバイルアプリのパフォーマンスを改善するために、開発者とプロジェクトマネジャーが実行できる単純なことがある。それは、アプリが必要とするデータをプランニング段階で熟慮し、そのデータだけを提供することだ。パフォーマンス管理テストツールを販売する米Compuwareで技術ストラテジストを務めるスティーブン・ピアチャラ氏は、こうした取り組みを支持する。「モバイルアプリで大量のデータを処理するのは、モバイルアプリユーザーには全く不向きだ。3G回線へ接続するしかない場合もあるのだから」(同氏)
レジリエンスのあるアプリ
ピアチャラ氏からのさらなる提案は、アプリのパフォーマンスが期待ほど高くない場合に、そのモバイルアプリが依存しているサードパーティーのサービスをオフにすることだ。「フォールバック(※)状態で動作させる必要がある。アナリティクスをオフにして、広告もオフにする」。同氏はこれを「レジリエンス(運用弾力性)のあるアプリの構築」と呼ぶ。
※フォールバック:障害発生時に、機能を制限したり性能を落としたモードに切り替えたりして動作を続行させること。
こうした施策は、ソフトウェア開発チームが採用するには少しハードルが高いし、完璧な対策ではない。とはいえ、アプリの処理速度低下やアプリの停止を認めるよりはましだ。
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