ユーザー視点での説明が大事
“スカッとさわやか”ではなかったCoca-ColaのBIシステム統合
米Coca-Colaでは、全米のボトラー各社に分散していたアナリティクスシステムを単一プラットフォームに統合した。これにより、売り上げ報告書の作成や生産高の管理などの業務を迅速化した。
74個にも及ぶデータベースからデータを取り出し、統合する作業を想像してみてほしい。さらに、各データの格納と分析には、それぞれ独自のソフトウェアが使われているとしよう。内製による寄せ集めの小規模アナリティクスシステムを単一プラットフォームに統合することによって、全米規模の大手メーカーでは、売り上げ報告書の作成や生産高の管理、小売店への在庫補充時期の特定といった業務を迅速化しようというわけだ。これは実際、清涼飲料大手の米Coca-Colaが2010年に直面した課題だ。
ボトラー各社のデータを統合してアナリティクスに活用
全米各地の店舗に並ぶ米Coca-Colaの各種清涼飲料は、全米74社のボトラーネットワークによって製造されており、ボトラーはそれぞれの担当地域で独占販売権を持つ。ボトラーの中には非常に小規模な業者もあり、極めてシンプルなシステムを使って業務分析を行っているところも少なくなかった。Microsoft Excelのスプレッドシートしか使っていないケースもあったほどだ。一方では、アナリティクスシステムを自社開発し、使用しているボトラーもあった。だが、そうしたシステムで作成される報告書は書式が統一されておらず、Coca-Colaの社内システムと連携できなかった。
Coca-Colaのボトラーである米Coca-Cola Refreshmentsに2003年から2013年春まで勤務したジャスティン・ホナマン氏は、先頃サンディエゴで開催された「2013 TDWI BI Executive Summit」で講演し、当時の経験を次のように振り返った。
「最大の課題は、異種のデータベースやソフトウェアシステムに起因する難題を解決することだった」と、顧客インテリジェンス担当副社長兼ディレクターを務めていたホナマン氏は語る。Coca-Cola社内のアナリストは、ボトラー各社が保管しているデータを合わせれば相当のデータ量となり、ビジネスインテリジェンス(BI)を活用する上でのチャンスであることは承知していた。だが、そうしたデータを全て集めてアナリティクスに活用するのはほぼ不可能だったという。
「答えを引き出すためには、全てのデータを1つにまとめる必要がある」とホナマン氏は語る。同氏は現在、米データウェアハウスソフトウェアベンダーTeradataで米国消費財コンサルティング担当の責任者を務めている。
組織的な課題が明確に
ホナマン氏によれば、データソースがさまざまに異なることから、Coca-Colaの販売チームにIT部門からアナリティクスリポートが届くまで長い時間がかかっていたという。またそのせいで、Coca-Colaは大量のデータを分析するすべがなく、社内のITシステムはまとまりなく分散していた。これらの問題を解決すべく、Coca-Colaでは全てのボトラーの飲料製造拠点からレガシーソフトウェアを排除し、新しいBIシステムに統一することを決定した。米MicroStrategyと米MicrosoftのBI製品を組み合わせたシステムだ。
これは技術的な大仕事に聞こえるかもしれない。だがホナマン氏によれば、実際のところ、難題は技術的というより組織的なものだったという。当初、ユーザーは新しいツールに慣れるのに苦労し、効果的に使いこなせずにいた。
「ボトラー各社に、Gartnerが提供するBI Magic Quadrantリポートのような立派なシステムを提供できると考えていた。だが実際には、社員はみんな、従来のシステムを懐かしがった」とホナマン氏は語る。ユーザーはとりわけ、MicroStrategyのソフトウェアにオプションが多過ぎる点に不満を抱き、このソフトウェアを持て余していたという。
重要なのは利用部門の関与
IT部門やBIチームの多くは、ユーザーが「長年使っているエンタープライズシステムの変更」に抵抗を示すことには慣れている。使い慣れたアプリケーションの変更を望まないのは、当然のことだ。だがホナマン氏によれば、新しいBI&アナリティクスシステムの配備をよりスムーズに行うための注意点があるという。
「例えば、オペレーションやマーケティング、販売部門などの責任者、つまりこれから新しいBIシステムの主たる利用者になるであろう人たちに、最初の段階からもっと関与してもらうべきだった」とホナマン氏は語る。ユーザーが異議を唱えたのは、主に「報告書の体裁」と「システムの操作方法」に対してだった。これらはいずれも、プロジェクトの早期段階であれば変更できていたかもしれない要素だ。IT部門は単に、実務に携わるユーザーの希望を把握できていなかったということだ。
さらにIT部門とBI担当の責任者は、日常業務で使っている言葉でアナリティクスシステムのメリットを語れるようにする必要がある。実際、ホナマン氏がCoca-Colaの最高マーケティング責任者(CMO)をはじめとするマーケティングチームのメンバーに対し、データベースとファイルシステムについて語ろうとすると、途端に注意を払ってもらえなくなったという。「だが、顧客感情やクリックストリーム(サイト内での訪問者の動き)、ソーシャルメディアによるブランドエンゲージメント(ブランドサイトへの誘導)などを追跡する上で、統合プラットフォームがいかに役立つかを具体的な言葉で説明したときには、いつも熱心に耳を傾けてくれた」とホナマン氏は語る。
「これはわれわれ皆にとってのチャンスだ。だから、専門的な言い回しは避けるべきだ」(同氏)
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