2013年の重要な出来事を振り返る
変化する製造ITの現場、その5大トレンドとは
2013年、多くの製造現場ではモバイル端末と3Dプリンタが必須のアイテムとなった。製造業におけるIT活用の現場で何が起きているのか。重要トレンドを紹介する。
2013年は製造業のIT分野で、技術の進歩と先進的な思考が大きく飛躍した年として歴史に記録されるだろう。多くの製造現場では、モバイル端末と3Dプリンタが“what-if”(何ができるか)という段階から “must-have”(必須)のアイテムへと進化する一方で、メーカーは即日出荷を実現する方法や、若い従業員を雇い入れるための方法を見つけ出そうとしている。こういった状況を見れば、「製造業界はIT分野で時代に遅れている」などという主張は的外れだといわざるを得ない。製造業のIT分野にとって当たり年となった2013年の重要な出来事を振り返ってみよう。
巨人Amazonに対抗
製造業界は米Amazonの即日出荷モデルという現実に目をつぶることはできない。ユーザーは以前では考えられなかったようなスピードで商品を受け取るのに慣れてしまったため、製造業界もこのスピードに付いていく必要があるのだ。2013年には、多くの企業がそれを実現するための斬新な手法を見つけ出した。
米自動車部品メーカーSpecialty Productsなどの企業は、Amazonと部分的に提携する一方で、自社独自のECサイトから直接発送することによって迅速な出荷を実現している。また、車いすなどを製造する米Braunのように、物流施設の大規模化と拠点数拡大を通じて注文処理の高速化と効率化を達成した企業もある。こうした取り組みの結果、小規模なメーカーも、商品をすぐに手に入れたいというユーザーのニーズに応えることで、Amazonが君臨する世界で競争できるようになった。
モバイル端末の普及――だが危険も潜む
製造業界は2013年、やや性急とも思えるほどモバイルコンピューティングの導入に熱心だった。米TechTargetによる「Annual IT Priorities」調査によると、メーカーの40%近くがモバイル端末を業務に導入する取り組み(あるいは計画)を進めているが、モバイル端末管理(MDM)やモバイルセキュリティ対策を真剣に検討している企業は約30%にすぎなかった。
セキュリティ対策の不備をめぐる懸念をさらに高めているのが、BYOD(私物端末の業務利用)の普及拡大だ。BYODは、従業員が個人のスマートフォンやタブレットを使って会社のデータやアプリにアクセスするのを許可するというもの。短期的には経費節減になるかもしれないが、「長期的に見れば、企業がセキュリティ問題に直面し、IT部門は複数のOSと端末機種の管理で苦労する可能性がある」と専門家らは指摘する。将来的な懸念を払拭し、深刻なデータ流出のリスクを避けるためには、しっかりとしたモバイルセキュリティ計画を作成・実施する必要がある。
新次元を切り開いた3Dプリンタ
2013年に人々の心をとらえた(そして展示会で注目の的になった)技術を1つ挙げるとしたら、それは3Dプリンティング技術だ。宝飾デザインから人工骨、さらには武器や食品に至るまで、その用途は無限とも思え、製造業界は3Dプリンティングを次世代の重要な製造技術として注目し始めた。
3Dプリンティングが製造業にもたらす最大の変化の1つは、大量受注・大量生産から少量生産(場合によってはオーダーメードによる単品生産)への移行だ。専門家によると、こうした注文生産は業界を変革する可能性があるものの、当面は現実的な視点で見ることが重要だという。標準的な3Dプリンタはまだ数千ドルという価格であり、これは一般消費者のみならず中堅・中小企業にとっても高根の花だ。とはいえ3Dプリンティングが一時的なブームで終わるとは思えず、2014年もその動向が大いに注目される。
若年求職者の獲得に向けた努力
景気の弱含み状態が続く中、2013年には数十万人の新規雇用が何とか確保されたが、製造業界を次のキャリアステップと考えた人は多くないようだ。米ThomasNetの「Industry Market Barometer」リポートによると、ベビーブーム世代の大量退職が近づいており、製造業界がこの危機を乗り切るためには、業界の全面的なイメージチェンジが必要だという。
さらに同リポートは「製造業界は、父母や祖父母の世代にあったような古臭い製造ラインの仕事が全てではないことを若い求職者に知ってもらう必要がある」と指摘する。事実、今日の製造現場はIT化が進んでおり、IT知識の豊富な人材が求められている。これは、ジェネレーションY(Y世代:米国で1980年~1990年ごろに生まれた世代)が最も得意とするスキルだ。この事実を就職説明会やインターンシッププログラムで宣伝すれば、製造業界が今後長きにわたって繁栄するのに必要な若い血を確保できそうだ。
InforがSyteLineをメジャーアップグレード
ベンダー関連の動きとして2013年に注目されたのが、米InforのERPプラットフォームのメジャーアップグレードとなる「SyteLine 9.00」の発表だ。このリリースでは、クラウドの配備・開発機能の改善、シングルインスタンス型とマルチサイト型のデータベースモデル、支払い方法の多様化、環境・安全性関連標準のサポート強化といった改良が盛り込まれた。
「SyteLineのアップグレードにより、Inforは独SAPや米OracleといったERP分野の巨人に対する有力なライバルになる」と専門家らは指摘する。だがSyteLine 9.00の実力が宣伝文句にたがわないものであるのか、また一連の改善点が長期的にユーザーにどんな影響を与えるかについては、まだ何とも言えないとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[LRM株式会社] 「標的型攻撃メール」事例・サンプル集 -
製品資料
[LRM株式会社] セキュリティ教育はなぜ「年間計画」を立てる必要があるのか? -
製品資料
[LRM株式会社] セキュリティの重要性が伝わらない…… 効果がない社員教育から脱却する方法 -
製品資料
[LRM株式会社] 「標的型攻撃メール訓練」導入ガイド 社員の意識を確実に高める仕組みの作り方 -
事例
[株式会社マクニカ] アイカ工業に学ぶ脆弱性対策 情シスが把握できずにいたアセットも正確に把握
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「VMware離れ」は本当か 3000社がVCF 9にかじを切った現実的な理由
-
2
「Microsoft 365」が乗っ取られる 跡形もなくMFAを破る手口
-
3
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
4
AI全部入り「Microsoft 365 E7」に企業が二の足を踏む訳 移行意向はわずか4%
-
5
エンジニアが選考を辞退する本当の理由 7割が隠す“面接の違和感”とは
-
6
ISMSの“コンサル丸投げ”が招く数千万円の無駄 NTTドコモビジネスの脱出劇
-
7
Oracle巨大ITプロジェクトはなぜつまずいたのか 8年で導入1割、追加で170億ドル
-
8
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
9
Netflixのバックエンドは「ほぼJava」 3000超のアプリを支える開発基盤の裏側
-
10
GitHubが指摘 AIが書いた「おそらく動くコード」が招くシステム崩壊
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
2
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
3
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
4
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
7
PostgreSQLの「機能」「性能」「運用」「拡張性」に関する悩みの解消法
-
8
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
9
Macの安全神話は崩壊? 最新の脅威動向から見えた攻撃のトレンドと有効な対策
-
10
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー