当面はなくならないクライアントPC
タブレット信者も諦める「会社ではPCを使った方がいい10の理由」
タブレットやスマートフォンの業務利用が活発だが、これまで使ってきたクライアントPCはどうなるのか。実は安易にクライアントPCをタブレットなどの置き換えない方がいい理由がある。
PCの販売が低迷していることは否定できないが、企業向けクライアントPCは少なくとも現時点において生き永らえている。たとえどうあろうと、当面はPCの利用が続くと考えられる10の理由がある。
1. 企業向けクライアントPCは低価格
企業向けクライアントPCが今後も存在し続ける最大の理由の1つは、PCが安価であることだ。PCのハードウェア価格はここ数年どんどん下落しており、市場の低迷にあえぐPCメーカーはさらに激しい価格競争を続けざるを得ない状況にある。それに対して、仮想デスクトップインフラストラクチャ(VDI)などの新技術の導入には、それなりに大きなコストが要求される。
2. 総入れ替えはコスト効率が悪い
さらにコスト面で考えれば、企業向けクライアントPCが有利なのは、総入れ替えにはコストが掛かるという単純な事実だ。クライアントPCを利用し、問題なく業務処理を行っているのに、それらを他のデバイスに置き換えるというのは、ビジネス上の視点から見て必ずしも意味のあるケースばかりではない。デスクトップ仮想化などでは、既存のPCを当面のVDIクライアントとして利用することも可能だ。
3. アプリケーションによってはPCが最適
場合によってはPCの利用を続けざるを得ないケースがある。特定のアプリケーションはPCで実行することが最適という場合もあるからだ。特にCPUやメモリを大量消費するアプリケーション、レイテンシの影響を受けやすいアプリケーションがそうだ。例えば、音声認識ソフトウェアを利用してこの記事を書くとしよう。だが、もしかするとそのソフトウェアは、VDI環境ではうまく動かない可能性がある。
4. 変化は居心地が悪い
ときには人的要因がPC利用継続の意思決定に重要な役割を果たすことがある。どの組織にも変化に拒否反応を示す人々はいる。この30年間、当たり前に存在したクライアントPCをお払い箱にして、仮想デスクトップや個人所有のモバイルデバイスに移行することは一部の人々にとっては居心地の悪い変化になるかもしれない。
5. 特別なハードウェア要求
ハードウェア上の要求からPCの利用を継続しなければならない場合もある。仮想デスクトップやモバイルデバイスでは代替できない特別なハードウェアの利用だ。例えば、高性能スキャナの中にはPCでしか利用できないものもある。
6. ほとんどのセキュリティインフラがPCベース
クライアントPCがもうしばらく命脈を保つと考えられる最も重要な理由の1つは、多くの企業における既存のセキュリティインフラがPCの利用を前提としていることである。管理者はグループポリシーの設定をよく利用するが、それは基本的にPCの管理を目的としている。もちろん設定は仮想PCにも適用できるが、物理環境と仮想環境の差異を埋めるために特別な作業が要求される。
しかし、もっと重要なのは、グループポリシーは「Active Directory」ドメインに属しているデバイスだけに適用されることだ。仮想PCをActive Directoryドメインに加えることは可能だが、モバイルデバイスは、Windowsを実行していない限り、グループポリシーの適用は通常は不可能だ。米Microsoftは近いうちにワークプレース(社内)参加機能で非Windowsデバイスを保護できるようにする予定だが、そのソリューションはまだ実稼働向けにリリースされていない。
7. 企業向けクライアントPCはシンプル
PCがもうしばらく生き延びると考えられるもう1つの大きな理由は、PCが比較的シンプルであることだ。もしVDI環境で何か問題が発生したら、そのトラブルシューティングは過酷を極める。それとは対照的に、PC関連の問題であれば、通常は特定のマシンを切り分け、簡単に解決することが可能だ。
8. VDIには信頼性を懸念する声も
VDIは、クラスタ化や他の冗長性メカニズムを用いて耐障害性を実現する。しかし、もしVDIレベルで問題が発生したら、サーバレベルの問題と異なり、その組織の全てのユーザーに障害が及ぶ可能性がある。それに対してPCに問題が発生したとしても、そのPC1台のユーザーに影響があるだけだ。
9. PCは高度なカスタマイズが可能
特定の状況で、PCがいまだにベストの選択肢であるもう1つの理由は、PCが高度にカスタマイズ可能であることだ。仮想デスクトップのカスタマイズも一定のレベルでは可能だが、PCほど自由にカスタマイズできない。例えば、PC、仮想PCとも、メモリや処理能力の追加は比較的簡単だ。しかし、ユーザーが動画編集や3次元CADなどのタスクを実行する場合、高性能のビデオカードが必要になる。そういったものは、仮想PC環境には追加できない。
10. PCで十分
企業向けクライアントPCがもうしばらく存在すると考えられる最後の理由は、いま十分に機能しているものをリプレースする必要があるのか、ということである。Windows XPでなんの問題もなく仕事が回っているのに、なぜリプレースするのか? 考えてもみよ。Windows XPやWindows 2000などの古いOSを利用している組織は、いまだに数多く存在する。そうした組織にしてみれば、新しいOSにアップグレードする理由など、何もないのだ。そうした組織では、恐らく当面の間、クライアントPCがなくなることはないだろう。
このように、クライアントPCがまだ絶滅しない理由は幾つもある。しかし、だからといってPCが永遠に存在するというわけではない。ただ、少なくとも当面はまだまだ多くの組織において、PCはデバイスの選択肢の1つとしてあり続けるだろう。
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