Microsoft Azureスマート解説【第3回】
使い勝手はどんな感じ? 「Microsoft Azure 仮想マシン」を解説
Microsoft AzureのIaaSとしてWindows ServerやLinuxサーバを運用管理する「Microsoft Azure 仮想マシン」。所要時間が10分もかからないという仮想マシンの作成手順や特有の機能を見ていこう。
「Microsoft Azure 仮想マシン」はIaaS(Infrastructure as a Service)として、Windows ServerやLinuxサーバを運用管理できるサービスである。管理ポータルでの簡単な操作によって、短時間で仮想マシンを作成できる。Webサイトやクラウドサービスと比べて自由度が高く、従来のノウハウをそのまま活用できる。
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Microsoft Azure 仮想マシンとは
Microsoft Azure 仮想マシンとは、仮想マシンの作成/利用を可能にするサービスである。「Amazon Web Services」(AWS)への見識が高い読者であれば、「Amazon Elastic Compute Cloud」(Amazon EC2)に相当するサービス、といえば理解しやすいだろう。
ユーザーは、管理ポータルでの簡単な操作によって、Microsoftがあらかじめ用意しているHyper-Vサーバ上に仮想マシンを作成することができる。作成した仮想マシンは、リモートデスクトップ接続やSSH接続を行うことで利用できる。
PaaS(Platform as a Service)と比べ、既存のスキルをそのまま活用することができるため、Microsoft Azureが提供するサービスの中では、利用のハードルが比較的低いサービスといえる。
利用可能なOS
仮想マシンのOSは、Windows系のOSだけでなく、Ubuntu ServerやopenSUSE、CentOSなどのLinux系のOSも選択することができる。また、「Oracle Database」や「Microsoft SQL Server」「Microsoft SharePoint Server」「Microsoft Visual Studio」などが既にインストールされたプラットフォームイメージも用意されているので、それらを使用することによって、開発環境や実行環境を迅速に構築することができる。Windows Serverや、SQL Server、Oracle Databaseなどは、Microsoft Azureの利用料金にライセンス料金が含まれているため、仮想マシン作成に応じてライセンスを別途購入する必要がない。煩雑なライセンス管理から解放される。
選択可能なマシンサイズ
作成できる仮想マシンのマシンサイズはあらかじめ決められている。選択可能なマシンサイズを表1に記す。仮想マシンには「基本」と「標準」の2種類のコンピューティングレベルが用意されている。「基本」は「標準」と比べると安価である。「標準」は自動スケール機能と負荷分散機能、そしてメモリ集中型インスタンスのA5、A6、A7サイズを使用することができる。
| レベル | サイズ | CPUコア数 | メモリサイズ |
|---|---|---|---|
| 基本 | A0(XS) | 共有 | 768Mバイト |
| A1(S) | 1 | 1.75Gバイト | |
| A2(M) | 2 | 3.5Gバイト | |
| A3(L) | 4 | 7Gバイト | |
| A4(XL) | 8 | 14Gバイト | |
| 標準 | A0(XS) | 共有 | 768Mバイト |
| A1(S) | 1 | 1.75Gバイト | |
| A2(M) | 2 | 3.5Gバイト | |
| A3(L) | 4 | 7Gバイト | |
| A4(XL) | 8 | 14Gバイト | |
| A5 | 2 | 14Gバイト | |
| A6 | 4 | 28Gバイト | |
| A7 | 8 | 56Gバイト |
仮想マシンの作成手順
本サービスでは、管理ポータルでの簡単な操作によって、短時間で仮想マシンを作成することができる。Ubuntu Serverの作成を例に、仮想マシン作成の流れを簡単に説明する。まず、Microsoft Azureの管理ポータルへアクセスして、画面左下の[新規]ボタンをクリックする。
[新規]ボタンをクリックすると、新規作成のメニューが表示されるため、[コンピューティング]→[仮想マシン]→[簡易作成]を選択する。選択すると、DNS名、OSイメージ、サイズ、パスワード、リージョンの入力フォームが表示されるため、各項目を入力する。
OSイメージとして“Ubuntu Server 14.04 LTS”を指定する。リージョンについては、「東日本」または「西日本」を選択すると、距離の近い日本のデータセンターに仮想マシンが配置され、低いネットワークレイテンシで快適に仮想マシンを操作することができる。それに対して、日本以外のリージョンを選択すると、多少安価になる。料金と利便性の兼ね合いで選択することをお勧めする。全項目を入力したら、[仮想マシンの作成]ボタンをクリックする。
5分程で仮想マシンの作成が完了する。仮想マシンの作成が完了したら、“[先ほど入力したDNS名].cloudapp.net”にSSH接続する。今回は、SSHクライアントとして“PuTTY”を用いる。
簡易作成によって仮想マシンを作成した場合、初期ユーザー名は“azureuser”となる。このユーザー名と、仮想マシン作成時に指定したパスワードを入力すれば、仮想マシンへSSH接続でき、操作できる。
これだけの作業で、作成したUbuntuサーバを利用できるようになる。所要時間は10分もかからない。
今回は簡易作成による仮想マシンの作成方法について紹介したが、詳細なオプションを指定して仮想マシンを作成する場合は、初期ユーザー名とパスワードの指定、また認証用のSSHキーをアップロードできる。また、エンドポイントの設定によって、オープンするポート番号と内部的に処理を行うポート番号を設定することができる。これにより、SSH用としてオープンするポート番号を22番以外にすることができ、セキュリティ性を向上させることができる。
高稼働率を実現するための仕組み
仮想マシンのOSディスクやデータディスクの実体は、VHDファイル(仮想HDD)であり、「Microsoft Azure ストレージサービス」で提供されているBLOBストレージに格納される。Microsoft Azure ストレージサービスは既定でデータが3本のディスクに複製される。そのため、ディスクが3本同時に故障しない限り、OSやデータがロストすることはない。非常に高い堅牢性を持っているといえる。
また、地理冗長機能を有効にすることで、別データセンターに存在する3本のディスクに追加して複製することができる。つまり、OSおよびデータを地理的な冗長構成で6重化して保持することができる。これによって、1つのリージョンに大きな災害が発生した場合でも、仮想マシンを継続して稼働させることができる。
データの多重化を行うことでディスクパフォーマンスが懸念されるが、本サービスでは、BLOBストレージにVHDファイルを書き込む処理にキャッシュを挟んで、読み書きを効率化する機能が備わっている。また、拠点間の複製に関しては非同期で行われている。これらの機能によって、高い堅牢性と高いディスクパフォーマンスを実現している。
仮想マシン特有の機能
1.エンドポイント
エンドポイントは、仮想マシンの通信可能なプロトコル/ポート番号を定義する機能である。仮想マシンの外部通信はこの機能を介して行う。エンドポイントは1つの仮想マシンに対して複数定義することができ、1つのエンドポイントに対してプロトコル(TCP/UDP)、パブリックポート、プライベートポートを定義する。パブリックポートは外部に公開するポート番号で、プライベートポートは仮想マシン内部で受けるポート番号である。定義したエンドポイントのポート以外の通信は行うことができないため、ファイアウォールとして活用することができる。
2.負荷分散セット
負荷分散セットは、通信のロードバランシングを実現する機能である。任意のエンドポイントへの通信を、同じクラウドサービスに属する複数の仮想マシンに負荷分散させることができる。プローブ間隔と回数を指定することができ、10秒間隔で各仮想マシンへ応答確認を行い、3回応答がなかった場合は、負荷分散のローテーションから外す、といった制御を行うことができる。負荷分散セットを活用することで、サービスの可用性を向上させることができる。
3.アクセス制御リスト
アクセス制御リストは、仮想マシンにアクセス可能なネットワークを制限する機能である。エンドポイントに対してアクセス可能なリモートサブネットを指定することができる。これにより、社内ネットワークからのみ接続を許可する、といった制御を行うことができる。
4.仮想ネットワーク
仮想ネットワークは、プライベートネットワークを作成する機能である。仮想ネットワーク上では自由にサブネットを作成することができ、仮想ネットワーク上に配置された仮想マシンは、そのプライベートネットワーク内のIPv4アドレスが割り当てられる。同一仮想ネットワークに属する仮想マシン同士は、エンドポイントが定義されていなくても通信することができる。そのため、Microsoft Azure上で稼働するサーバ間通信のために定義しているエンドポイントは不要となり、不要なエンドポイントをインターネットに対して公開する必要がなくなる。これによってセキュリティ上のリスクを回避できる。
5.可用性セット(availability set)
可用性セット(availability set)は、指定した複数の仮想マシンを別々のラックに配置させる機能である。本サービスで使用するクラスタ内の各ラックは、電源やネットワーク機器が冗長化されていて、これらの機器の障害が他のラックに影響しないように設計されている。影響範囲のくくりを障害ドメイン(fault domain)と呼ぶ。複数の仮想マシンを同一の可用性セットに設定すると、別々の障害ドメインに配置するよう制御される。これにより、もしラック内で障害が発生して仮想マシンが停止しても、同一の可用性セットに属する仮想マシンは稼働を継続することができる。こうしてサービスの稼働率向上を実現している。
日山 雅之(ひやま まさゆき)
株式会社FIXER Enterprise Cloud Unit クラウドエンジニア
学生時代に地元のITベンチャー企業にてプログラミングのアルバイトを行い、そこでプログラミングの奥深さに魅了され、スーパープログラマを目指す。大学院を卒業後、現日立システムズに入社し、App Bridgeシリーズの開発に携わる。その後、プログラミング技術をより高めるべく株式会社FIXERに入社。Microsoft Azureの虜になる。好きなサービスはクラウドサービス+キューストレージ。
【FIXER公式サイト】http://www.fixer.co.jp/
【cloud.config公式サイト】http://www.cloud-config.jp/
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