信頼性もセキュリティも向上
「Chromebox for meetings」で急加速、Googleのビデオ会議への本気度は高まる一方
Googleのビデオ会議システムやUCツールでは、企業にアピールする目的で新技術や既存技術に対してどのようなイノベーションが行われているのか。同社幹部へのインタビューから探ってみよう。
多くの企業にとって、ビデオ会議の導入は“言うはやすく、行うは難し”だ。高額なコストや統合の問題などの障害に直面し、「Skype」のような一般向けツールを業務に利用している企業もある。米Googleはビデオ会議に関しては、以前は主に一般消費者をターゲットにしていたが、クラウドベースの統合メッセージングサービス「ハングアウト」と最近リリースしたビデオ会議システム「Chromebox for meetings」の機能強化により、自社のソリューションをエンタープライズグレードの選択肢として推進しようとしている。Chromebox for meetingsは、ハングアウトセッションの品質を高める4つの物理アプライアンスおよびアクセサリからなる。
ハングアウトやChromebox for meetingsなどGoogleのビデオ会議ツールの進化について、また、一般消費者に軸足を置いていたクラウドベースサービスを企業にとってより魅力的なものにするために、Googleが何を行っているかについて、同社のエンタープライズ事業部門のプロダクト管理ディレクターを務めるラジェン・シェス氏に話を聞いた。
99.9%の稼働率保証
――一般消費者は、クラウドサービススイートの「Google Apps」に含まれるハングアウトのようなサービスを既に受け入れていますが、企業の関心度はいかがですか?
シェス氏 ハングアウトには企業から大きな関心が寄せられています。ハングアウトは、ビデオコミュニケーションができる非常に簡単な方法です。われわれはこのサービスパッケージの使い勝手を高めるChromebox for meetingsを2014年の早い時期に投入しました。ユーザーはChromebox for meetingsが設置された部屋はもとより、別の場所でもノートPCなどからそのシステムに接続することでハングアウト会議に参加できます。このソリューションにより、ビデオ機器が設置されていない多くの部屋で、非常に手ごろな方法でビデオ会議が利用できるのです。
Google Appsは全体的に急速に普及が進んでいます。1人か2人で切り盛りしている会社から非常に大きな会社まで、会社の規模を問わず、ビジネスに使われるようになってきました。「Gmail」や「カレンダー」に加えてハングアウト、「Google+」「ドライブ」など、さまざまなGoogle Appsツールが広く使われています。人々の仕事のやり方が変わってきているのが分かります。企業は、われわれのコラボレーションツールによって社員の生産性が向上していくことに気付いています。
――Googleは、ハングアウトによるビデオ会議の信頼性がエンタープライズグレードであることを企業顧客に納得させ、安心させるためにどのような策を講じていますか?
シェス氏 われわれは企業向けのGoogle Appsである「Google Apps for Work」(旧称Google Apps for Business)では、99.9%の稼働率を保証するSLA(サービスレベル契約)を最初から提供してきました。これは、このサービススイートを普及させる原動力の1つになりました。われわれは最近、このGoogle Apps SLAの適用対象にハングアウトを加え、このサービスの信頼性向上を発表しました。Google Apps for Workに含まれるGmailやドライブのようなサービスと同じ利用規約がハングアウトにも適用されることになったわけです。
これに伴い、ハングアウトでは現在、Google Apps向けの24時間365日の電話サポートや99.9%の稼働率保証が提供されている他、さまざまな第三者機関による認証を取得したセキュリティ対策が講じられています。これらは、企業がクラウドベースサービスを使用するかどうかの検討に当たって注目する重要なポイントです。
セキュリティ対策は?
――クラウドベースツールを導入する多くの企業にとって、セキュリティも信頼性と同様に大きな問題です。ハングアウトとChromebox for meetingsによるビデオセッションでは、どのような安全対策が取られていますか?
シェス氏 セキュリティは、われわれがハングアウトで力を入れた点です。例えば、われわれのサーバとエンドポイント間のトラフィックは全て暗号化されます。Chromebox for meetingsも、安全性の高い「Chrome」アーキテクチャをベースにしています。また、われわれは新しい制御機能を多数追加して、多くの企業に必要なセキュリティをサポートする監視や管理の仕組みを実現しています。
――ビジネスユーザーのビデオコラボレーションを容易にするという観点では、Googleは統合や提携に関してどのような取り組みを行っていますか?
シェス氏 われわれは、ユーザーがハングアウトを簡単に利用できるようにすることを目指してきました。現在ではGoogleアカウントについては、Google+プロフィールがなくてもサポートしています。これはユーザーがGmailアカウントなどを持ってさえいれば、ハングアウトに参加できるということです。
われわれはハングアウトの重要な使用例の1つとして、ユーザーが顧客やパートナーなど社外の人とやりとりすることを想定しました。今述べたGoogleアカウントのサポートにより、こうしたやりとりが格段にしやすくなっています。相手がGoogleアカウントを持っていれば、タブレットや他のChromebox for meetingsなどからハングアウトの会議に参加できるからです。また、われわれは、Google Appsのオプションサービスである「Vault」とハングアウトの統合も進めています。これは2014年内に実現されるでしょう。
同様に、われわれはより幅広いユーザーがハングアウト会議に簡単にアクセスできるようにしたいと考え、さまざまな提携を通じてこの目標に取り組んできました。最初にぶつかった問題は、どうやってハングアウトを既存のビデオ会議システムに対応させるかでした。われわれは最近発表したように、米Blue Jeansとの提携により、従来のH.323やSIPベースのビデオ会議システムのユーザーがハングアウト会議に参加できるようにしています。また、米InterCallとの提携では、ハングアウト会議へ音声で参加可能にしました。InterCallの電話会議サービスのユーザーは、このサービスをハングアウトと簡単に連係させて、ハングアウト会議に電話で参加できます。
われわれとしては、ハングアウトと企業の既存インフラの相互接続を可能にすることで、企業がこれまでに投資したユニファイドコミュニケーション(UC)技術をより有効に活用できるようになれば理想的です。この相互接続により、従来であればUCツールにアクセスしていなかった多くのユーザーに、UCの恩恵が及ぶことになると考えています。
大企業でも中堅・中小企業でも使える
――Chromebox for meetingsにより、企業にとってビデオ会議はどのように利用しやすくなりますか?
シェス氏 Chromebox for meetingsを最初にリリースしたとき、われわれは主に6~8人用の会議室向けと位置付けていました。こうした会議室は市場で大きな割合を占めますが、既存のビデオ会議ベンダーはカバーしていないからです。
Chromebox for meetingsをさらに多くの部屋に導入できるようにするため、われわれは幾つかの手を打ってきました。デュアルディスプレーを可能にしたことがその1つです。そのおかげで12~15人用の会議室でもかなり快適に使えるようになりました。また、Chromeboxをデスクに置いて、1対1のビデオ会議をデュアルディスプレーで便利に行うこともできます。
さらに、われわれはChromebox for meetingsを個人のGoogleカレンダーと連係できるようにしました。IT部門がビデオ会議をリモート管理するためのさまざまな機能も追加しています。こうした管理は多くの企業、とりわけ大企業にとって重要です。また、われわれは最近、Chromebox for meetingsの提供地域の拡大を発表しました。現在では北米のほか英国や日本、オーストラリア、ニュージーランドといった国で提供されています。台湾ASUSに続いて米Dellも9月から販売しています。
――ハングアウトはもともと個人ユーザー向けにリリースされたツールですが、これをChromebox for meetingsと組み合わせたソリューションが、ビデオ会議の企業への普及を促進する起爆剤になると考えているのですか?
シェス氏 われわれはこのソリューションが、ビデオ会議の導入企業の裾野を大きく広げると考えています。既に2つのユーザー層から高い関心が寄せられています。その1つは、これまでビデオ会議を大規模に利用したいと考えていたものの予算を確保できず、幾つかの役員会議室で利用するにとどまっていた大企業です。Chromebox for meetingsは1000ドルを切る価格なので、こうしたユーザーはもっと多くの会議室に導入できます。
また、SMB(中堅・中小企業)からの関心も非常に高まっています。例えば、従業員100人くらいの企業が幾つかの会議室用にChromebox for meetingsを室数分購入したり、その他にもオフィスのあちこちに設置したり、社員が自宅からビデオ会議に参加できるようにしたりしているようです。ビデオ会議が行われる場は大企業の役員会議室以外にもさまざまに広がっているのです。
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