ユーザーファーストで考える
“残念なモバイルアプリ”を生まないたった2つの鉄則
どんなによく練られたモバイルプロジェクトでも、肥大化しすぎて失敗する可能性がある。「他にも何かできないか」を考えるあまり、当初の目標からそれることのないよう、注意が必要だ。
企業にとって、モバイル化の魅力の1つは効率の向上だ。だがプロジェクトの規模をあまりに大きくしてしまうと結局、時間や会社のリソースを無駄にすることになりかねない。
プロジェクトでは、スコープ(適用範囲)を制限し、ビジネスに必須のプロセスだけをモバイル化することが重要となる。「追加でこれも」といった考えは起こさず、モバイルプロジェクトで実現したい本来の目的に集中することだ。ビジネスプロセスのモバイル化によって実現したい正当な目標を幾つか定め、それを関係者全員に伝えることも非常に重要となる。
以下、モバイルプロジェクトをコントロールするためのポイントを確認しておこう。
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潜在的ユーザーとのコミュニケーションを欠かさない
モバイルプロジェクトの最初のステップは明白だ。取り組むプロジェクトの内容を明確にすることだ。一口にモバイルプロジェクトといっても、その内容は多岐にわたる。特定のモバイルアプリを開発する場合もあれば、エンタープライズモバイル管理(EMM)プラットフォームを新たに導入する場合もある。アプリの導入とセキュリティ対策をめぐるガバナンスと規範を確立するためのプロジェクトもあれば、MBaaS(Mobile Backend as a Service)を実装するプロジェクトもある。
プロジェクトの目標を明確にするためには、従業員とコミュニケーションを取るなり、アナリティクスを活用するなりして、各人の生産性を高めるのに必要なツールを見極める必要がある。どのようなプロジェクトにせよ、そのプロジェクトの利害関係者を明確にし、各人の役割や期待を理解することが成功の鍵となる。ここでいう利害関係者には、ビジネスユーザー、開発者、アーキテクト、セキュリティ担当者、法務/コンプライアンス担当者、サプライヤー、ベンダー、サービス事業者などが含まれる。各利害関係者のニーズは時に一致することもあるが、皆のニーズに一挙に対処できない場合もある。IT部門はその事実を受け入れ、関係者にもはっきりとそう伝えるべきだ。
モバイルプロジェクトは社内のさまざまな部門の従業員に影響を及ぼす水平的な取り組みだ。プロジェクトを進めるに当たっては、全ての関係者とコミュニケーションを図ることが重要となる。そうすることで、社内での支持も得やすくなる。社内で多くの賛同を得ることは、技術的な観点からも非常に重要だ。より多くのユーザーに支持してもらえればその分、IT部門は潜在的な問題やプロジェクトを最適化するチャンスを見極めやすくなる。
ユーザーの期待をコントロールし、スコープクリープ(プロジェクトのスコープが徐々に肥大化し、当初の計画とずれてしまうこと)を回避するためにも、常に積極的なコミュニケーションを欠かさないことは賢明なやり方だ。対話を継続することによって、IT部門はプロジェクトの焦点を絞り、ユーザーにプロジェクトへの正しい期待を抱かせることができる。
ユーザーエクスペリエンスを最優先する
IT部門は恐らく認めたくないだろうが、モバイルの世界で絶対的な力を持つのはユーザーだ。新しいモバイル機能の成否を決めるのはユーザーであり、彼らは普段プライベートで使い慣れているのと同じユーザーエクスペリエンスを職場にも求める。IT部門はユーザーの要望をしっかりとくみ取る必要がある。何しろ、優れたユーザーエクスペリエンスはそのまま生産性につながる。
従来のWebアプリケーションやデスクトップアプリケーションの場合、ユーザーには選択の権利はなかった。だが企業向けモバイルの世界では、もはやそのパラダイムは通用しない。せっかくIT部門がモバイルアプリにリソースを投じても、ユーザーがそのアプリを使いたがらなければそれまでだ。あるいは、アプリを導入しても当初の予想ほど生産性が上がらず、投資利益率などの価値が損なわれる場合もある。モバイルユーザーに最適なユーザーエクスペリエンスを理解してそれを提供するためには、少し余分に時間がかかる。だが長期的には、それをするだけの価値はある。
何も、モバイルプロジェクトでは一切自分の考えを押し通そうとしてはいけないと言っているのではない。だが、無理を通した結果としてユーザーに物足りないものができるよりも、きちんと機能し、皆が賛同する成果を挙げられる方が良い。実現不可能なことに挑戦しようと思わないことだ。いったんプロジェクトが完了し、アプリケーションが稼働してからでも、分析と測定を行いながらスコープを拡大したりプロジェクトを追加したりすることできるのだから。
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