最重要ITプロジェクトは?
何はともあれ「セキュリティ」、2016年のIT投資調査が“やっぱり”な結果に(1/2 ページ)
米TechTargetが実施した年次調査の結果から、CIOと上級IT幹部がシャドーITとどのように折り合いを付けているのかが明らかになった。
米TechTargetは、上級IT幹部(最高情報責任者(CIO)、最高技術責任者(CTO)、最高情報セキュリティ責任者(CISO)、IT部門の統括責任者/部長)240人を対象に年次調査「2015 Annual Salary and Careers Survey」を実施した。同調査によって、CIOと上級IT幹部にとって2016年の最重要ITプロジェクトはセキュリティであることが明らかになった。30個の選択肢の中から2016年に優先的に取り組むITプロジェクトを3つ選ぶように求めたところ、回答者の27%がセキュリティを挙げる結果となった。そして、アプリケーション開発(24%)、クラウドコンピューティング(19%)、ビジネスインテリジェンス/ビッグデータ(18%)が後に続いた。
この調査結果から、今後IT部門の優先事項がどのように変わって行くのかが見えてくる。また、本稿執筆のために調査の回答者を対象に実施したインタビューによれば、この調査結果はITセキュリティに関する議論がどのような形で発展していくかを示しているという。
IT幹部は、セキュリティを単独のプロジェクトではなく、IT業務全般に欠かせないプロジェクトとして考えるようになっている。例えば、米カリフォルニア州のフォンタナ市のCIOを務めるデニス・バラシッチ氏は、セキュリティに言及することなくクラウドコンピューティングを語ることはできないと話す。
「クラウドコンピューティングにおける真の課題は、技術的なものではなく、手続きや法規制に関するものだ。SaaSのベンダーが各部署に掛け合い、担当者をそそのかしてサービスを契約させようとする事態が発生している。IT部門は仲介していない。例えば、この状況はサイロが増える一因になる。だが、他にも多数の問題が存在する。その原因は市の職員がクラウドコンピューティングに関連して生じる一部のセキュリティや接続の問題を考慮していないことにある」(バラシッチ氏)
セキュリティを重視しているのはグレゴリー・ターナー氏も同様だ。同氏は、医療関係の非営利団体(NPO)である米Millennium Collaborative Careで最高執行責任者(COO)とIT部門の責任者を兼任している。2015年のCIOと上級IT幹部にとっての優先度の高いITプロジェクトの階層構造において、アプリケーションの開発と設計はやや低い位置に付けていた。だが、ターナー氏はアプリケーションの開発と設計を2016年における優先度の高いプロジェクトの1つに挙げている。ただし、2016年のアプリケーション開発計画について論じるときには、セキュリティの優先順位が高いことを同氏は強調している。
人気の衰えないプロジェクト
調査の回答者によって、セキュリティは3年連続で最重要プロジェクトに選ばれている。そのため、ITプロジェクトの中でさらに重要な役割を果たすようになると考えられる。TechTargetが2013年と2014年に実施した調査の結果では、21%の上級IT幹部がセキュリティを優先度の高いプロジェクトに選んでいる。そして2015年、その割合は調査対象者の3分の1に迫る勢いだ。
セキュリティへの関心が高まっている状況は驚くことではないと専門家はいう。「最近発生している事象の性質によって、誰もがセキュリティ問題に関心を寄せている」とターナー氏は指摘する。同氏の勤めるMillennium Collaborative Careは、米ニューヨーク西部にあり、Medicaid(米国の低額所得者のための国民医療保障制度)の利用者と医療供給者をより適切に結び付けることを目指している。2015年も、カナダAshley Madison、米CVS、米連邦人事管理局といった企業や機関で情報漏えいが発生して注目を浴びた。その影響から、CEOと取締役会のどちらの脳裏にもセキュリティの脅威が真っ先に浮かぶようになっている。そして、CIOと上級IT幹部に注目が向けられている。
セキュリティとクラウドコンピューティングは優先度の高いITプロジェクトの上位に2年連続でランクインしている。バラシッチ氏は、この2つは切り離して考えることができないと考えている。その原因の一端は、組織の方針を無視してITを利用する者にある。SaaSベースのソリューションによってサービスは簡単に契約できるようになっている。だが、市の職員は微妙な違いを必ず考慮するわけではない。例えば、オープンAPI、統合ID管理、出口対策のようなことなどだ。出口対策とは、契約が終わったときに誰がデータを所有しているかを決めるものである。
2016年に定年退職を控えているバラシッチ氏は、新しい機能を求める部門にとってIT部門が障害であって欲しくないと考えている。障害になるのではなく、市が投資するサービスが、市全体にとって理にかなったものであることがIT部門によって保証されるのが望ましい。人事部がオンライン応募者の追跡システムを必要としていたとき、バルシッチ氏は、人事部にとって都合が良く、市の規制基準を満たすソリューションを調査して見つけ出す業務に1人のアナリストを任命した。「現在、そのシステムはオンプレミスのシステムであるかのようにIT部門がサポートしている。IT部門が提供しているのはサーバではなく、サポート、トレーニング、バックエンドの技術スタッフだ」(バラシッチ氏)
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