Windowsとクラウドの新時代【前編】
誰もが悩む、Windowsをクラウドで動かすにはどのプラットフォームがベストか?(2/2 ページ)
クラウドでWindowsを動かす場合、Azureのアドバンテージは?
AzureでWindowsのワークロードを動作させるのは、他のパブリッククラウドと比べて機能面でさまざまな違いがある。最大の違いの1つは、「Active Directory」のサポートだ。Active Directoryは、Windowsのリソースおよびこれらのリソースへのユーザーアクセスを管理するMicrosoftのディレクトリサービスだ。
「MicrosoftがWindows帝国を築き上げた基盤がActive Directoryといっても過言ではない。MicrosoftはActive Directoryの機能を深いレベルで提供できるが、他のクラウドプロバイダではそういうわけにはいかない」と451 Researchのブルックス氏は説明する。
Azureのユーザーは「Azure Active Directory Connect」というツールを使って、「Windows Server Active Directory」などのオンプレミスディレクトリ/認証管理システムを「Azure Active Directory」サービスに連係できる。加えて、Azure Active Directoryは、「Office 365」や「Microsoft Dynamics CRM」などのMicrosoftアプリや「Dropbox」などのサードパーティー製アプリへのシングルサインオンを可能にする。
だが、Azureの競合製品もActive Directoryとの連係を重視している。AWSは2015年12月、Windows利用企業を自社のクラウドに引き付けるべく、「AD Connector」や「Simple AD Service」などを含む従来からある自社のディレクトリサービスを強化し、Microsoft Active Directory(Enterprise Edition)用の「AWS Directory Service」を導入した。この新サービスは、大規模なActive Directory(5000ユーザー以上)をオンプレミスあるいはクラウドに配備している企業を対象とする。
AWSを利用しているネットオークション企業のPropertyRoom.comで最高技術責任者(CTO)を務めるケビン・フェリコ氏は、AWSの新しいADサービスの利用を検討している。同社では以前、AWSでActive Directoryを使って問題が起きたからだ。
フェリコ氏によると、この問題はディスク容量の不足が原因で、PropertyRoom.comが社内Active DirectoryサーバをAWSに移行したときに顕在化したという。同社がActive Directory用の仮想マシンの1つをAWSにインポートしたときに、ディスク容量不足の問題が発生した。「Amazonの説明によると、EC2インスタンスが時間調整を行っていたために、オンプレミスサービスとの同期に問題が起きたという。これは既知の問題だが、文書化していないそうだ」(フェリコ氏)。
このEC2インスタンスが応答しないことがあったため、PropertyRoom.comは結局、ディスク容量不足と同期問題を解決するためにサーバを最初から構築し直した。「問題解決に長い時間はかからなかったが、こうしたことで心配したり、誰かに処理を依頼したりするというのは、できればやりたくない」とフェリコ氏は話す。
AWSは新しいActive Directoryサービスを1時間当たり0.4ドルで提供している。同社のAD ConnectorとSimple AD Serviceの価格は、構成に基づいて1時間当たり0.05ドルと0.15ドルに設定している。一方、MicrosoftのAzure Active Directoryサービスでは、「Free」「Basic」「Premium」という価格が異なる3つのエディションを用意する。Basicエディションは企業のエンタープライズ契約に基づいてユーザー単位で課金する。Premiumエディションは1ユーザー当たり月額6ドルだ。
フェリコ氏によると、Active Directoryのサポートに加え、AWSの新しいサービスにはWindowsベースでないものがあるため、オンプレミスのWindows環境を一部のAWS製品と組み合わせるのがさらに難しくなる可能性もあるという。例えば、「AWS Lambda」サービスはC#によるプログラミングをサポートしていないため、PropertyRoom.comがC#で書いた既存サービスをAWS Lambdaに移植するには、全面的な書き直しが必要になる。
「素晴らしいAWSサービスが登場したが、自社のプラットフォーム専用の環境でこれらのサービスが使えるとは限らない」とフェリコ氏は語る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
技術文書・技術解説
[ネットアップ合同会社] 金融庁ガイドラインから読み解く、「次世代データレジリエンス」の在り方 -
製品資料
[ネットアップ合同会社] 製造DXでデータ活用ニーズが拡大 分散データ活用とAI活用をどう実践する? -
製品レビュー
[ネットアップ合同会社] AIで使いたいデータが内外に点在、研究におけるAI活用を阻む“真の課題”とは -
製品資料
[株式会社kickflow] 稟議・承認作業の「脱オンプレ・脱Excel・ペーパーレス化」を一気に進める方法 -
製品レビュー
[株式会社kickflow] ワークフローシステムのクラウド化 “みんなが不幸になる”事態を避けるには?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ人はいるのにDXが進まない? ライオンも直面した“老害”レガシーシステム
-
2
「エージェントを作るな、スキルを作れ?」 Anthropicが提唱するAI運用の勘所
-
3
障害対応に「余裕なし」が9割超 運用担当316人調査で見えた「運用赤字」
-
4
シャトレーゼを悩ませる偽メール 混乱なしでBIMI導入とDMARC強化を実現した方法
-
5
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
6
いまIBM iエンジニアが直面する「5つの技術的課題」とその解決策
-
7
Microsoft月例パッチ1400件超で過去最多 「限界点」を迎えたパッチ管理
-
8
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
9
「年1回の外部診断」が限界に 大手小売が脆弱性管理を内製化・一元化した方法
-
10
みずほ証券が「液冷サーバ」を採用 1日3.6億件の計算を支えるための要件
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
10G回線の真価をフルに享受するには? 導入前にチェックしたいポイント
-
7
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
-
10
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー