Google Cloud Platformのメカニズムに学ぶ
SSDでプライベートクラウドの“迷惑な隣人”問題を解決する方法(1/2 ページ)
共有環境のクラウドではストレージのパフォーマンスが悪化する懸念がある。本稿では、プライベートクラウドでストレージ速度を保つためのノウハウとして、SSDやインメモリ技術などの活用を紹介する。
何であれ共有するというのは立派なことだが、プライベートクラウドストレージの場合、共有がパフォーマンスに悪影響を及ぼす恐れがある。必要な速度を得るには、SSDや、最新のネットワーク技術を検討する必要がある。
俊敏性、柔軟性、経費ベースの価格モデルといったメリットを提供するプライベートクラウドだが、ストレージに関連したパフォーマンスでは問題になることもある。プライベートクラウドの管理者は、その仕組みを理解し、ストレージパフォーマンスの低下を招かないようにする必要がある。
プライベートクラウドのストレージは、組織内の全てのユーザーが共有できる。これが可能なのは、ストレージがネットワークにつながっていることに加え、データセンターの構成によっては、ストレージがサーバのインスタンスから幾ばくか離れている場合があるからだ。ネットワークとプロトコルに起因する遅延(レイテンシ)は利用可能な帯域を減少させる。だが、プライベートクラウドのストレージのパフォーマンスに最も大きな影響を及ぼすのは、ストレージファームを共有するという事実だ。今日でもクラウド環境における主要なストレージ形態はHDDだ。個々のHDDのパフォーマンスは、その容量にかかわらず150 IOPS(1秒間当たりのI/O処理数)程度だ。今日、企業が導入するHDDの容量は4TB前後だ。これは、3年前と比べて1TB当たりのIOPSが4分の1になったことを意味する。言い換えれば、ストレージの速度が低下しているということだ。
関連記事
クラウドストレージのベンチマークテスト
主要クラウドパフォーマンス比較
- AWS、Azure、Google――クラウド“ビッグスリー”比較表で分かる本当の勝者
- AWS vs. Azure vs. Google、運用コストで選ぶ3大クラウドストレージ
- 【徹底比較】OpenStackで利用するストレージ、主要9製品を比べた
クラウドストレージの解説
プライベートクラウドのストレージを共有することは、パフォーマンスの変動という問題も引き起こす。I/Oは安定せず、急激な増加が発生することが多くなる。トラフィックが少なければ、I/Oが急増しても平均速度を上回るサービスを受けられるだろう。だが「迷惑な隣人」が長時間にわたってI/Oシステムを酷使すると、サーバを利用している他のユーザー全員の処理に遅延が生じたり、ジョブの実行時間が長くなったりする。
SSDはクラウドストレージのパフォーマンスを改善する
プライベートクラウドのストレージファームをチューニングする方法の1つは、大手クラウドサービスプロバイダー(CSP)の手法をまねることだ。CSP各社はコンピューティングとストレージに関してさまざまな選択肢を用意している。永続型のSSDおよびオールフラッシュキャッシュは、IOPSを向上させるのに有効なオプションだ。SSDがHDDに対抗できる価格になってきたため、向こう3年以内に永続型SSDストレージが有力な選択肢になるものと予想される。
SSDはIOPSを大幅に改善する。HDDと比べると100~1000倍ものI/Oパフォーマンスを提供するのだ。この大幅なパフォーマンス改善は共有ネットワークストレージの速度問題を解決するが、今度はネットワークとストレージアプライアンスのコントローラーがボトルネックになり、やはりトラフィックの渋滞を引き起こしたり、迷惑な隣人の影響を受けたりする。幸いにも、今日の標準である10ギガビットイーサネット(GbE)よりも高速なネットワークが市場に登場しつつある。例えば、1リンクに付き4本のレーンを使用する25GbEネットワークやバックボーンネットワークなどだ。
ネットワークの高速化はボトルネックを取り除き、クラウドストレージのパフォーマンスを改善できるが、導入には時間がかかり、迷惑な隣人問題も依然として残る。高価な永続型SSDに代わる1つの解決策が、ローカルインスタンス用SSDをサーバに置くことだ。サーバ内蔵ストレージは非永続型で、書き込みに際してネットワークレプリケーションが必要だが、ライト/リードの比率が標準的な1対8であるようなユースケースでは、サーバ内蔵ストレージによってI/O負荷が大幅に減少する。ネットワーク接続された永続ストレージに全ての書き込みデータをミラーリングするのは良い習慣だが、読み出しデータの大部分はローカルに置いて構わない。
サーバ内蔵ストレージではSSDから十分なI/Oが得られるので、迷惑な隣人の影響を受けずに済み、大幅なパフォーマンス改善をアプリケーションにもたらす。OSが非対称ミラーI/Oモードをサポートしていれば、I/Oルーティンの書き直しを回避できる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[サイボウズ株式会社] DXに必要な「Dスキル」「Xスキル」を持った人材を育成するには? -
市場調査・トレンド
[サイボウズ株式会社] データで見る、DXが「順調に進む企業」と「つまずく企業」の違い -
製品資料
[サイボウズ株式会社] 賛否が割れがちな「Notesからの移行」 新環境への移行を納得してもらうには? -
事例
[ServiceNow Japan合同会社] 農林中金に学ぶ内製開発 処理効率を約2倍に高めAI活用も加速させた方法とは? -
事例
[ServiceNow Japan合同会社] NTTグループのデジタル変革術、17万人が利用する決裁プロセス刷新の全貌
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
【基本情報技術者試験】「デュプレックスシステム」と「デュアルシステム」の違いは?
-
2
kintoneで実践 製造業のための「見積もり管理」改善のヒント
-
3
「VMware離れ」は本当か 3000社がVCF 9にかじを切った現実的な理由
-
4
MS月例パッチが1000件突破 人手不足の情シスを襲う「月1回メンテ」の崩壊
-
5
「Microsoft一択」で本当にいいのか 知らぬ間にライセンス費用が膨らむ真相
-
6
サーバ約70台をAWSへ ヤナセが移行前にやった「通信要件の可視化」
-
7
脱VMwareの真実:データセンター大手がNutanixを選んだ「コスト以上の理由」
-
8
「Microsoft 365」が乗っ取られる 跡形もなくMFAを破る手口
-
9
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
10
「AI活用」を掲げた年金刷新が炎上 英政府が大手ITアウトソースを切り捨て「内製回帰」した理由
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
生成AIのハルシネーションを防止 回答精度を高めるセマンティックレイヤーとは
-
2
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
3
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
4
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
5
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
6
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
7
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
8
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
9
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
10
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー