モジュールと標準を採用
IoT開発の面倒事を一掃する「プラットフォーム」の底力(1/2 ページ)
複雑なIoT関連のシステム開発を容易にして、かつ安全性も担保しやすくする。そんな理想的な開発手段となり得るのが「プラットフォーム」を利用した開発だ。
モジュール化と標準化は、どちらも複雑さに対処する手法だといえる。そのことを理解する上での好例が、あらゆるモノ同士がネットワークを介してつながる「モノのインターネット(IoT)」だ。IoTは多様かつ複雑だが、一方でIoTを理解しやすくするモジュール化や標準化が進みつつある。モジュール化や標準化によって、IoTのシステムそのものや、システムを管理するソフトウェアの開発も大幅に容易になる。
IoTは、幾つかの主要コンポーネントから構成される。デバイス側から順に
- センサー/アクチュエータ(駆動装置)
- ゲートウェイ(エッジルーター)
- インターネット
- クラウドサービス
の4つだ。これらのコンポーネントが相互作用する実際の方法と、それぞれに必要なソフトウェアは、アプリケーションのニーズに大きく左右される。
センサー/アクチュエータとゲートウェイは、データの収集と実際の制御をするポイントになる。最終的には、全てインターネットやクラウドへ接続することになる。システムのエッジにある1台のマシン内に複数のセンサーやアクチュエータを配置し、ネットワーク経由でこれらにアクセスしたり、マシン内部のソフトウェアで制御したりできる。このマシン自体はゲートウェイへ接続する。
インターネット接続型組み込みデバイスが複雑になるのは、不思議なことではない。そのためモジュール化と標準化が欠かせない。
IoTシステムの開発プロセスでは、各作業をモジュールに分けて取り組むことが重要になる。モジュールに分割した開発作業の1つ1つを、プロジェクトに携わるチームや個人に割り当てる。各チームや個人は、自身のチームや共同作業をする他チームのメンバーとコミュニケーションを取り、あらかじめ定義した他のコンポーネントとのインタフェース仕様を考慮しながら、割り当てられたコンポーネントの開発に取り組むことになる。
こうした開発方式は、「プラットフォーム」で進める開発のごく初期の段階に適用することができる。
プラットフォームは難解なものではなく、既製のコンポーネントから構成される。通常、組み込みデバイス用プラットフォームは、マイクロコントローラーまたはマイクロプロセッサとOSから構成することになる。
OSは、周辺機器向けに必要な機能や通信プロトコル、ドライバの利用を可能にする役割を担う。このOSのハードウェア/ソフトウェアインタフェースは、既知の標準に完全に準拠する必要がある。開発者はこのプラットフォームで、必要なOSモジュールや通信プロトコル、周辺機器とそのドライバを追加しながら、さまざまな機能面での価値を加えることができる。
重要なのは選択するOSの特性だ。そのOSが、POSIX(UNIXの共通仕様を定めたAPI規格)など既知のAPIと連携する場合は、大きなメリットになる。理由は2つある。まずPOSIXのAPIはLinuxと同様、多くの開発者が精通していること。次に開発対象のシステムのニーズを満たす、POSIX準拠のサードパーティー製オープンソースソフトウェア(OSS)を数多く利用できることだ。
組み込みデバイスでは、OSにリアルタイムOS(RTOS:命令した動作をタイミングのばらつきがなく処理できるOS)を採用することが多い。RTOSを選定する際は、適切なプロセッサ(MCU、MPU)で稼働するかどうかが重要になる。他のプロジェクトで既に採用済みのプロセッサで稼働可能なRTOSを採用すれば、既存資産を有効活用できる。
もう1つの問題は、RTOSにはさまざまなアプリケーションのニーズに適したソフトウェアコンポーネントが無数に存在するのに、特定のプロジェクトで選択するのは多くの場合、その中のごく一部にすぎないことだ。こうしたソフトウェアコンポーネントには、通信プロトコル、ストレージシステム、浮動小数点演算、ビデオモジュールのような機能モジュールがある。
選択するRTOSには、プロジェクトに必要なコンポーネントが全てそろっているだろうか。そろっていないとしたら、そのRTOSのカーネルと連携するコンポーネントが見つかるだろうか。独自に作成する場合も含め、こうしたコンポーネントはテストが必要だが、その費用と時間はどの程度かかるだろうか――。こうしたことを検討する必要がある。
RTOSに付属するモジュールが事前にテスト済みで、ドキュメントがしっかりしているほど、テストや条件の確認なしでコンポーネントを使用できる信頼性が上がり、時間や費用が大幅に削減されることになる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣 -
製品資料
[サイボウズ株式会社] AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
4
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
5
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
-
6
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
7
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
8
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
9
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
10
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー