IT管理者とエンドユーザー両方に恩恵
iOS/Androidでのパスワード使い回しを防ぐ「ワンタイムパスワード認証」製品
パスワード認証とは別の認証方法をモバイルデバイスで利用すると、パスワードを盗み取るフィッシング攻撃を防ぎながら、利便性を高められる。有力な選択肢である「ワンタイムパスワード認証」を説明する。
パスワードは面倒なものだ。正しい使い方をしなかったり、エンドユーザーの教育が不十分だったりすると、ますます厄介なことになる。
従来のパスワードによる認証方式は、偽のWebサイトへの誘導でパスワードを不正に盗むフィッシング攻撃に対して脆弱(ぜいじゃく)だ。「ワンタイムパスワード認証」は、従来のパスワードに伴う複雑さや煩わしさを回避するのに役立つ。
ワンタイムパスワード認証とは
ワンタイムパスワード認証では、エンドユーザーの下に、ショートメッセージやモバイルアプリケーション通知、メールによって、短時間のみ有効な認証コード(ワンタイムパスワード)が届く。エンドユーザーはこのワンタイムパスワードを従来のパスワードの代わりに使い、アプリケーションにログインする。ワンタイムパスワード認証はクライアントアプリケーションやWebアプリケーション、モバイルサイトの認証に導入できる他、無線LAN接続やモバイルVPN接続にも使用できる。
モバイルデバイス向けのワンタイムパスワード認証としては、Yubicoなどの認証技術ベンダーによる新しいハイブリッド方式が登場している。同社が販売するセキュリティトークン(小型のハードウェアデバイス)の「YubiKey」は、モバイルデバイスで利用するWebブラウザなどのアプリケーションへのログイン認証に使用できる。セキュリティキーは単一要素認証として使うか、多要素認証の一部として使うことが可能だ。
ワンタイムパスワード認証技術は、Amazon Web ServicesやCisco Systems、Microsoftなどの大手ベンダーの他、Auth0やHYPRなどのセキュリティベンダーも提供している。Auth0は認証にショートメッセージサービス(SMS)とメールを利用する。iOSとAndroidで使えるMicrosoftのモバイルデバイス向け認証アプリケーション「Microsoft Authenticator」では、プッシュ通知を通じてMicrosoftアプリケーションへのログインを承認できる。
ワンタイムパスワード認証を導入すべき場面とは
ワンタイムパスワード認証は、エンドユーザーのモバイルデバイス利用に関わるセキュリティリスクを低減する効果があり、IT管理者にとってメリットがある。従来のパスワードによる認証はさまざまなユーザーエラーにつながりやすく、組織のセキュリティに悪影響を及ぼす可能性がある。エンドユーザーは短くて推測しやすいパスワードを使ったり、個人用パスワードと業務用パスワードを混用したり、複数のアプリケーションやシステムで同じパスワードを使い回したりする場合がある。ワンタイムパスワード認証ならこうした行為に起因する危険性を回避できる。
モバイルデバイスにワンタイムパスワード認証を導入するだけで、自動的に安全性が高まるわけではない。セキュリティを強化できるかどうかは実装方法次第だ。攻撃者がエンドユーザーのモバイルデバイスやメールアカウントに不正アクセスできるとすれば、ワンタイムパスワード認証であっても突破できてしまう。それでも大半の企業が現在利用している認証方式と比べれば、ワンタイムパスワード認証の方がより安全だと考えられる。脆弱なパスワードや共有パスワードなどを使い、無防備な状態にある企業は少なくない。
ワンタイムパスワード認証は利便性向上とセキュリティ強化の両方に役立つ。エンドユーザーのモバイルデバイスへのログイン情報を管理するのが難しい大規模な組織では、特に有用だ。エンドユーザーにとっても、面倒な手順が簡単になる利点がある。
企業がワンタイムパスワード認証の導入を検討する際は、入念な下準備が必要だ。技術的な要件と目標を確認し、その上で何社かのベンダーの製品について概念実証(PoC)を実施するとよい。ワンタイムパスワード認証を正しく導入すれば、企業のIT部門と従業員が日々直面するログインの問題を、安全に解決できるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
技術文書・技術解説
[Jamf Japan 合同会社] MDMだけでモバイルセキュリティは十分? 不足する対策を16項目でチェック -
事例
[Wrike Japan 株式会社] 世界的な家電メーカーが実践する「クリエイティブプロセス効率化」の方法とは? -
事例
[Wrike Japan 株式会社] 世界的テクノロジー企業に学ぶ、プロセス標準化とプロジェクト納品自動化の秘訣 -
事例
[Wrike Japan 株式会社] ソニー・ピクチャーズ テレビジョンに学ぶ、次世代サービスデリバリーのヒント -
事例
[Wrike Japan 株式会社] ソミック石川に学ぶ、ICT浸透後に直面した「工数管理」の課題と解決策
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
2
AI全部入り「Microsoft 365 E7」に企業が二の足を踏む訳 移行意向はわずか4%
-
3
「Microsoft 365」が乗っ取られる 跡形もなくMFAを破る手口
-
4
【基本情報技術者試験】「デュプレックスシステム」と「デュアルシステム」の違いは?
-
5
「VMware離れ」は本当か 3000社がVCF 9にかじを切った現実的な理由
-
6
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
7
「Microsoft一択」で本当にいいのか 知らぬ間にライセンス費用が膨らむ真相
-
8
エンジニアが選考を辞退する本当の理由 7割が隠す“面接の違和感”とは
-
9
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
10
なぜOpenAIやAnthropicのAIは「脱走」したのか 情シスが迫られるエージェント統制
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
生成AIのハルシネーションを防止 回答精度を高めるセマンティックレイヤーとは
-
2
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
3
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
4
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
7
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
8
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
-
9
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
10
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー