「インダストリー4.0」の要
「デジタルマニュファクチャリング」の3大用途とは? 製造工程をIT化
製造工程をIT化する「デジタルマニュファクチャリング」は、製造業にさまざまなメリットをもたらす可能性がある。特に大きな効果を発揮する3つの用途を紹介する。
製造業をITで革新する「インダストリー4.0」では「接続性」が大きな意味を持つ。接続性を実現する重要な鍵は、製造工程をIT化する「デジタルマニュファクチャリング」だ。
デジタルマニュファクチャリングは、コンピュータを利用してさまざまな生産工程のデータを連携させる。例えば3次元(3D)モデリング、シミュレーション、分析などのデジタル技術を利用することによって、生産やサプライチェーンなどの製造関連業務を効率化し、コストを削減して、市場への浸透といった目標を実現しやすくする。
本稿は、デジタルマニュファクチャリングの効果的な用途を3つ紹介する。
用途1.製品の設計
エンジニアがプロトタイプを作成する際、発泡体や金属などの素材を使った物理的な模型の代わりに、デジタルマニュファクチャリングソフトウェアで仮想的なプロトタイプ「デジタルツイン」を作成できる。このデジタルツインを調べれば、実際の条件が設計の変更案にどう影響するか確認したり、潜在的な欠陥を発見したりするのに役立つ。
例えば自動車のエンジンのデジタルツインで、部品ごとの劣化速度の違いを示すことが可能だ。エンジニアはこうしたデジタルツインを調べて、問題の解決策を探すことができる。
用途2.工場の最適化
デジタルマニュファクチャリングの用途の一つに、工場の設計の最適化がある。デジタルマニュファクチャリングソフトウェアを使用することで、工場のフロアレイアウトを仮想的に作成して生産プロセスのシミュレーションができる。工場を建設する前に潜在的なボトルネックを調べ、無駄やダウンタイムの原因を見つけるのに役立つ。これにより実際に工場を稼働するとき、効率的な運用が可能になる。こうした仮想的なイメージを利用すれば、新しいインフラや設備を導入するコストをかけずに、多様な生産方法を試すことができる。
例えば工場で現在使用している機械よりも、効率の高い機械の話を聞いたとする。そこで工場の仮想イメージを作成し、古い機械を新しい機械に置き換えてみる。それからシミュレーションを実行して、新しい機械が生産に及ぼす影響を調べる。そうすれば新しい機械でコストが高くならないかどうか、危険がないかどうか、時間がかからないかどうか、といったことを事前に知ることができる。そのために実際にコストをかけたり、従業員を危険な目に遭わせたり、生産スケジュールを変更したりする必要はない。
用途3.スマートファクトリーの構築
デジタルマニュファクチャリングは、インダストリー4.0と密接に関連する「スマートファクトリー」の主要な構成要素だ。スマートファクトリーは、AI(人工知能)技術、ロボット工学、分析技術、ビッグデータ、IoT(モノのインターネット)を活用した工場であり、その大部分が自律的に稼働する。問題が発生したら自己修復し、人に知らせることができる。スマートファクトリーは人の介在する余地を最小限にするため、従業員を面倒な反復作業から解放し、重要で意義のある仕事に専念できるようにするのも潜在的な利点だ。
スマートファクトリーの完成形では、デジタルネットワークで他の施設ともリンクし、
- サプライチェーン管理のサポート
- 別の施設の活動やニーズのモニタリング
- 複数の施設間の通信やコラボレーション
を実現すると考えられる。各施設を社内の全ての部署やサプライヤー、顧客とも連携させることにより、エラーのリスクを減らすだけではなく、発生したエラーに対して担当者による検知や修正を容易にする。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社キーエンス] なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは -
製品資料
[株式会社セールスフォース・ジャパン] 「CRMは設計と無関係」は本当か? PLMとの融合で実現する高速開発 -
事例
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] AIエージェントの時代にどう備える? 「新たな働き手」を支える3要素とは -
製品資料
[日本ヒューレット・パッカード合同会社] “横並びの自動化”から脱却、AI活用で生産性と競争力を高める秘訣 -
製品資料
[サイボウズ株式会社] AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
2
法務と開発者で「言葉が通じない」問題 トヨタやソニーが語るOSS管理の真実
-
3
ChatGPTは“検索しまくり”でGeminiは“淡泊”? データが明かすAIの裏側
-
4
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
5
「中堅・中小企業のネットワーク・セキュリティ運用実態」に関するアンケート
-
6
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
7
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
8
情報漏えいはなぜ繰り返されるのか 今すぐ見直すべき「境界」
-
9
情シスの約8割が転職や退職を意識 調査で分かった“辞めたくなる最大の理由”
-
10
【漫画付き】ひとり情シス協会が明かす、RAG導入でしくじる企業「2つの共通点」
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
家庭用Wi-Fiルーターの業務利用は危険? 避けるべき理由と具体的な対策
-
3
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
4
財務部門がAIを最大限に活用する方法 無駄のない戦略的リーダーシップへの道
-
5
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
6
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
7
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
-
8
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
9
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー