複雑さ、コスト、パフォーマンスの壁
こんなはずじゃなかった仮想デスクトップ、失敗企業が見落とした3つの課題(1/2 ページ)
IT部門がVDI(仮想デスクトップインフラ)の実装計画を実行する際には、複雑さ、コスト、パフォーマンスに関する問題に留意しなければならない。
幾つかのIT導入プロジェクトはベンダーが言うように簡単に構築・運用できる。だがVDI(仮想デスクトップインフラ)の実装となると別次元の話になる。複雑さ、コスト、パフォーマンスに関する問題により、多くの企業はVDI導入プロジェクトの規模を縮小したり、中止したりしているのが実情だ。
併せて読みたいお薦めの記事
VDI課題とその解決策
Windowsライセンス課題からの脱却
予想外の複雑さ
VDIが保証するメリットの1つに、デスクトップの管理簡略化が挙げられる。管理者はVDIによって比較的少数のイメージを一元管理し、ソフトウェア更新やセキュリティパッチ適用などの作業を簡単化できる。そのため複数の独立した物理デスクトップに対処する必要がなくなる。
VDIの管理は、デスクトップイメージの管理にとどまらない。管理者は、サーバ、ハイパーバイザー、ストレージ、ネットワーク、ソフトウェアなどにも配慮する必要がある。物理クライアントシステムにも依然として対処しなければならない。それからシンクライアントとモバイルデバイスの管理も必要だ。
VDIの管理者が各種コンポーネントの稼働状態を維持して、高いパフォーマンスと安定性を実現するには、さまざまなスキルセットが必要になる。VDIの管理者は、仮想デスクトップをサポートするポート、サブネット、プロトコル、VLANについて、注意深くバランスを取りながら制御しなければならない。また多くのVDIの管理者は、アプリケーションの階層化についても対処する必要がある。これは基本イメージの数の削減を目的としているが、実際には全体の複雑さが増す結果となっている。それからVDIには、サーバ、ストレージ、ネットワークインフラの単一障害点を回避するためにフォールトトレラントなシステムが必要だ。
VDIの管理者は、特定の種類のソフトウェアを仮想化したときに発生する問題についても取り組まなければならない。Microsoftの「Microsoft Office」などの知名度が高いアプリケーションは仮想環境で機能する。だが旧式のアプリケーションや特殊なアプリケーションが仮想デスクトップの要件を満たすには、手厚い支援が必要になることが多い。
セキュリティについても特別な注意が必要になる。VDIを導入することで、データの一元管理と保護は簡略化される。だがVDIのセールスポイントの1つは、ユーザーがいる場所や使用しているデバイスに関係なく、各自のデスクトップにアクセスできることである。このセールスポイントによって攻撃対象の領域が増えるため、ネットワークと基盤となるシステムを保護する作業が複雑になっている。またウイルス対策ソフトウェアの実行も今より困難になる。ウイルス対策ソフトウェアが同時にスキャンする仮想デスクトップの数が多過ぎると、システムに過剰な負荷が掛かるからだ。
VDIには関係者が多いことも事態を深刻にしている。1つのミスによって何百や何千もの仮想デスクトップが一度にダウンする可能性がある。
不十分なパフォーマンス
不満を持ったユーザーの数が多いと、VDIプロジェクトは打ち切られることになる。エンドユーザーと管理者にとって、お粗末なVDIのパフォーマンスは不倶戴天の敵である。VDIはパフォーマンスの問題について大きな進歩を遂げてきた。だがパフォーマンスの問題は今もなお存在し、その問題を解決するにはコストが掛かる。
問題の主な原因は、ストレージインフラにあることが多い。VDI導入による節約を実現するべく、ITチームはできる限り少ない容量のストレージにできる限り多くの仮想デスクトップを詰め込もうとすることが多い。だがその結果として入出力の待ち時間と競合の問題が生じている。
標準的なVDIのストレージシステムは、ブートストーム、ウイルススキャン、ソフトウェアのアップデート、システムのバックアップ、予測不可能なユーザーワークフローを監視できなければならない。
ストレージの密度が高くなると、必要な電力と冷却リソースも多くなる。その結果、ストレージシステムの入出力トラフィックをフィルター処理するときにネットワークに負荷が掛かる。企業がデータセンターを少数の地域のロケーションに統合すると、それらの近接状況によっては、ユーザー側で発生する待ち時間がさらに長くなる可能性がある。
全てのデスクトップデータは、データセンターとクライアントとの間でやりとりされるため、VDIがネットワークリソースに負荷を掛けることもある。さらに事態を複雑にしている要因は、VDIが誕生する前に導入されたネットワークインフラを多くの企業が採用していることにある。このようなネットワークを増強することはできる。だが基本アーキテクチャではVDIが考慮されていない。他のハードウェアコンポーネントも、パフォーマンスの低下を引き起こす原因となり得る。具体的には処理の要求を満たしていないサーバが設置されていることなどが、これに該当する。
ネットワークの待ち時間が、パフォーマンスの問題を引き起こす原因になることもある。特に巨大なサイズのファイルを操作するときには、マルチメディアアプリが使用できないも同然の状態になる。このような問題に対処するため、ベンダーは複雑な回避策を導入している。例えばクライアントにビデオストリームを配信するときにリモートプロトコルを回避するなどだ。ただしこの回避策により、ビデオプレーヤーはクライアント側で実行され、デスクトップ仮想化の価値を低下させることになる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[オーティファイ株式会社] AIでコーディングは加速したのにテストはそのまま? いまQAに必要な進化とは -
事例
[オーティファイ株式会社] QAで開発サイクルを遅延させない 8社の事例に学ぶ「テスト工程」の課題解決策 -
製品資料
[株式会社ガラパゴス] 「AIっぽい広告」の山に埋もれさせない AIマーケで着実に成果をだす秘訣とは? -
製品資料
[株式会社ガラパゴス] 「広告投資」調査レポート2026:勝ち組企業は何に投資しているのか? -
製品資料
[株式会社Helpfeel] 「問い合わせの渋滞」を解消、情シスの負担を軽減する“次世代型AI”活用方法
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Copilot」はなぜ放置される? “議事録要約止まり”を脱する処方箋
-
2
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
3
膨らむAIコストに歯止め GitHubのマルチモデルルーターは何が違うのか
-
4
マンガで解説:採択率は3割台? デジタル化・AI導入補助金申請の落とし穴
-
5
9割が頓挫する「AI内製化」 差がついたのはツールより設計力
-
6
覇権争いは終了? SnowflakeやSAPが「Apache Iceberg」の採用を急ぐ理由
-
7
「コンテナ型データセンターの検討状況と課題」に関するアンケート
-
8
多要素認証導入済みでもランサムウェア被害に 復旧費用は平均2億7000万円
-
9
「ネットワークインフラの現状と課題」に関するアンケート
-
10
社内開発×ノーコードで検証速度を4倍にしたエアトリのWebサイト改善術
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
2
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
3
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
4
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
5
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
6
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
7
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
8
ドラマで分かる、標的型攻撃メールの被害を受ける企業と回避できる企業の分岐点
-
9
少額減価償却資産が40万円未満へ拡大、令和8年度税制改正で押さえるべき変更点
-
10
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー