端末のアクセス管理にも有効
iPhoneの印刷トラブルに効く「Bonjourゲートウェイ」
iOS端末からプリンタなどの機器を利用する際に役立つ「Bonjour」だが、iOS端末と機器が同一LANにないとうまく機能しないという制限がある。この制限を取り払う方法とは?
BYOD(私物端末の業務利用)の採用が進んだこともあり、企業で使われる米Apple製品が増えている。だがLANに接続するiOS端末をファイルサーバやプレゼンテーションモニター、プリンタと接続するのは難しいことがある。
このため、一部の企業は、Appleの「Bonjour」というプロトコルを利用している。Bonjourは従来、iOS端末が同じ家庭内のLANにあるApple製品やサービスを見つけるのに利用され、コンシューマーにメリットを提供してきた。一方でBonjourは、企業で利用するには難点がある。Bonjourは、同一LAN内のApple機器を検出するように設計されており、複数のLANを持つ企業では、使い勝手が悪い場合があるのだ。
iOS端末の業務利用拡大という大きなトレンドへの対処を進める米Cisco Systemsや米Aerohive Networksといった無線ベンダーは、上述の問題を踏まえ、ユーザー企業が複雑なLANでBonjourを容易に利用できるように支援するため、「Bonjourゲートウェイ」を開発した。
「従業員がiPhoneやiPadを社内に持ち込むときにまず知りたいことは、他の機器とどうやってつなぐかだ。だがこの質問は、Bonjourの設計上の制限もあり、IT部門にとって答えるのが難しかった」と、Aerohiveのプロダクトマーケティングディレクター、ジョエル・ビンセント氏は語る。
Aerohiveが開発したBonjourゲートウェイは、あるネットワークにあるiOS端末から、別の複数のネットワークにあるApple機器やサービスへの同時接続を可能にする。「Bonjourゲートウェイがなければ、Bonjourを使ってサービスや機器を全て検出できるようにする場合、IT部門はコアルータに複雑な設定を施さなければならないだろう」とビンセント氏。「だが今では、どんなサービスや機器が使えるのかを従業員が知りたければ、Bonjourゲートウェイが教えてくれる」
モビリティと柔軟性を提供するBonjourゲートウェイ
ノースカロライナ州のローワンソールズベリー学区(学校数35校、生徒数2万人)は、2012年春にリリースされたAerohiveのソフトウェアに含まれるBonjourゲートウェイを導入した。
同学区で生徒と教師が使っているiOS端末は、合計7500台以上に上る。端末の種類は「Apple TV」から「iPod」までさまざまであり、その数は増える一方だと、同学区の技術担当エグゼクティブディレクター、フィル・ハーディン氏は語る。
生徒と教師は、Bonjourをベースとした「AirPrint」と「AirPlay」という機能を使っている。AirPrintは、iOS端末をプリンタにワイヤレスでつなぐ機能。AirPlayは、iOS端末からApple TVへ、映像や音楽、写真をワイヤレスでストリーミングする機能だ。
「AirPrintとAirPlayをBonjourゲートウェイ経由で利用している。そのおかげで、学区内の各学校で運用しているネットワークインフラ全体にわたって端末を管理できるようになった」(ハーディン氏)
Bonjourゲートウェイによるモバイル端末管理
Bonjourゲートウェイは、モバイル端末管理(MDM)システムの代替にはならないかもしれない。ただし、端末がどう接続され、どこにアクセスするかをきめ細かく管理することは可能だ。Bonjourで検出する端末の条件も設定できる。例えば、ローワンソールズベリー学区の一部の学校は、特定の廊下に面した部屋にあるiOS端末だけを検出できるようにしている。
さらに、同学区では2012年、4つの学校の生徒全員にiOS端末を支給することになっている。Bonjourゲートウェイを利用し、生徒と異なるネットワークアクセス手段を教師に許可できる。
必需品というわけではない
教育やヘルスケアといった業種では、LANへ接続するiOS端末の増加を容認している。ただし、全ての企業がBonjourのサポートを急いでいるわけではない。
「学生や生徒がiPadやiPhoneを持ち込むことが多い教育機関は、Bonjourゲートウェイの導入に積極的だ。特に顕著なのが大学である」と、米調査会社Forrester Researchのシニアアナリスト、アンドレー・カインドネス氏は述べる。
Appleのプリンタなどの機器は、主にコンシューマー向けに設計されており、企業には必ずしも適さない。こうしたコンシューマー向けの機器を使っていなければ、Bonjourゲートウェイは不要だろう。
「Appleは、iOS端末同士がBonjourでお互いを簡単に見つけられるという、素晴らしい方法を生み出した」とカインドネス氏は語る。教育をはじめとする特定業種の顧客を抱える無線ベンダーは、Bonjourの使い勝手を改善しなければならないと指摘する。
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