管理機能がここまで充実
iPadはもはや“玩具”ではない
手当たり次第にアプリをダウンロードする従業員、デバイスの紛失、企業情報の漏えい……。iPadの企業導入につきもののこうした不安は、iPadの管理機能が解消してくれるかもしれない。
米AppleのiPadには、IT管理者がデバイスを監視したりロックしたりできる管理機能が搭載されている。必要なことは、iPadをパイロット導入するプロジェクトを立ち上げ、この人気タブレットのコアに埋め込まれた管理機能を引き出す方法を見つけるだけだ。
Appleリセラーの米Tekserveの最高技術責任者(CTO)、アーロン・ライマーク氏がインタビューに応じ、企業でのiPad導入の課題と、導入を成功させるための秘訣を明らかにした。
―― エンタープライズ環境でiOSを管理するとき、最大の課題となるのは何か?
ライマーク氏 パイロット導入がうまくいかないことが多い点だ。経験豊かな助っ人を見つけるのが難しいからだろう。われわれの顧客である米ケーブルテレビ会社のCablevision Systemsは、3000台のiPadを導入した。だがパイロット導入は失敗した。
同社はほとんど諦めかけていたが、われわれはもう一度試してみるよう説得した。こうしたケースはまれではない。何かをやろうとして失敗するケースは増えている。iPadをどのように導入したいか、どう活用したいかといったビジョンはあるのに、うまくいかない。こうした点がしっかりと議論されていないように思えるのだ。多くの会社にとって、議論は厄介だからだろう。
―― iOS端末に搭載されている管理機能とは、どのようなものか?
ライマーク氏 iOS端末は、ほとんどのユーザーや管理者が考えている以上の機能を搭載している。
iPadは小売業やコンシューマーに支持されている。「見てごらん! すごいフォトアプリだろ。Siriも搭載されたよ」といった具合だ。企業にとって、こうした機能は大して重要ではない。一方でiOSは、アップデートのたびに企業向けの新しい機能も追加される。
今日iPadでは、アプリをロックすることが可能だ。素早くデバイスの目録を作ることができる。無線でアプリをインストールすることもできる。個別にアプリをワイプできるので、デバイス全体をワイプしなくてもよい。デバイスに触れることなく、無線でIDをインストールしたり、消去したりすることが可能だ。これらの機能は全てiPadに組み込まれている。
―― 次世代のiOSデバイスには、どのような管理機能を追加してほしいと思うか? いま欠けている要素があるとすれば?
ライマーク氏 私自身、そして多くの企業が求めているのは、配備を容易にする機能だ。企業が管理するデバイスには、特定の個人が手にするものもあれば、キオスク端末として固定されるものもある。iPadを配備することは単純ではない。
企業では、誰もが同じような方法でiPadを使うわけではない。設定を固定したいと考えたり、場合によってはさまざまな制限を設けたいと考えたりするだろう。全てオープンにするとユーザーはうれしいが、ときには限定する必要もある。全てをロックしなければならないこともあるだろう。内蔵アプリを無効にする方法や、設定を隠す方法などはあるが、少し複雑だ。Appleは、こうした点で企業を手助けできるはずだ。
―― iCloudは、DropboxやMicrosoft SkyDriveのようなサービスと同じように、やはり問題が多い?
ライマーク氏 DropboxやSkyDriveと同じではない。まず、iPadに搭載された管理機能を使ってiCloudのバックアップを全て無効にしたり、アプリごとにデータのバックアップだけを禁止したりすることが可能だ(参考:iPhoneでのiCloud利用を制限、米Appleの「MDM API」)。企業が何らかのアプリを配備する場合、「このデータのバックアップはしたくない」といった選択ができる。簡単な設定で、こうした管理を実現できる。
特に厳しい規制のある業界でないかぎり、一般の企業にとってiCloudはすばらしいサービスだ。個人的には、データの持ち出しに関してはそれほど心配していない。むしろデータがバックアップされていなかったり、デバイスを紛失したりすることによるダウンタイムを懸念している。人々にバックアップの重要性を説得するのは本当に難しい。iCloudを利用すれば、バックアップが非常に簡単になる。
―― Windows 8タブレットはビジネス市場でiPadと競合すると思うか?
ライマーク氏 われわれの取引先の多くは、それぞれの業務に最適なタブレットを導入している。彼らはプロジェクトを準備してWindows 8の登場を待った。そしてWindows 8がリリースされたときの彼らの反応は「なんだこりゃ」というものだった。実際、iPadプロジェクトに青信号がともったのは、その後だ。
Windows 8がリリースされてから、むしろiPadプロジェクトは増加傾向にある。もちろん、Windows 8が適合する場所が多くあることも間違いない。IT部門はWindows 8の方を好むだろう。だがユーザーが望むもの、使いたいものは、Windows 8ではない。
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