実店舗に行かなくても試着や内見が可能に
「VR」「AR」はもはや“おもちゃ”ではない 仕事で使えるこれだけの用途
かつてはゲームでの利用が目立った仮想現実(VR)/拡張現実(AR)技術を、ビジネスの場で利用する動きが広がっている。具体的な用途を紹介する。
企業で仮想現実(VR)技術や拡張現実(AR)技術の利用が進んでいる。かつてはゲームで広く使われていたこれらの技術が、現在は企業と顧客のコミュニケーション方法を変えつつある。
ゲーム業界とVR/AR開発者は、これまで玩具として提供してきたVR/ARデバイスを高度に進化させ、低コストのハードウェアとして企業に提供し始めた。ビジネスの場では、VR/AR技術は主にプレゼンテーションとコミュニケーションの改善に生かされており、顧客関係管理(CRM)と顧客体験(CX)で理想的な役割を得つつある。
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VR、ARの利用は広がっているのか
顧客体験の拡張
CRMにおけるVR/AR技術の影響を議論するには、まず両者の違いを理解する必要がある。VR技術はゲームへの利用でみられるように、完全なデジタル環境で利用される。AR技術は、現実世界の画像や映像にデジタル要素を追加する。
住宅業界を例に挙げてみよう。VR技術は、新しく建築中の建物や改装中のフロアなど、まだ存在していない建物や空間の視覚化を可能にする。顧客は物件の購入を検討する際、建物が完成する前に、仮想空間内を移動しながら完成した物件のイメージを確認できる。一方AR技術であれば、実際のリビングルームに椅子やランプなど家具のデジタル画像を重ね合わせて表示できる。
AR技術は小売業界での利用例が目立つ。店舗では、鏡に画像の投影やインターネット接続機能を搭載し、AR機能を持たせたモノのインターネット(IoT)デバイス「スマートミラー」の導入が進みつつある。顧客をスマートミラーに映し出し、購入検討中の衣装や新しいヘアスタイル、化粧品、アクセサリーを重ねたイメージを確認できる。
Zion Market Researchによると、世界のVR/AR市場は2025年までに8000億ドルを超える見込みだという。
さまざまな応用領域
VR/ARがCRMのどのような領域で利用されているかを見てみよう。急速に応用が進みつつある領域は幾つかある。
商品販売や仮想店舗の構築
BRP Consultingの調査報告書「2018 Digital Commerce Survey」(2018年デジタル商取引調査)によれば、調査対象の消費者の48%が、AR技術を利用している小売業者を好ましいと考えている可能性が高いと回答している。スマートミラーなどのARデバイスは、顧客に魅力的な体験をもたらす手段の一つだ。例えば百貨店チェーンのMacy'sは、店舗内の多くの場所にVRツールを設置することにより、顧客がこれを利用して家具などの商品の購入を決定することができるようにした。
VR/AR技術を活用して、仮想店舗を開店する小売業者もある。顧客は自宅にいながら仮想店舗の通路を歩いて、商品の詳細をチェックすることができる。BRP Consultingは、32%の小売業者が3年以内にVR/AR技術を導入する計画を立てていると報告している。
マーケティング
企業は顧客の嗜好(しこう)性やブランドへのロイヤリティーに関する情報を取得する手段として、ソーシャルメディアへの依存度を高めている。ソーシャルメディアが提供するVR機能は、モバイルデバイスでウェビナー(Webセミナー)に参加したり、友人とチャットしたりする機能のほか、VR空間でアバターとしてイベントに仮想的に参加し、他の参加者と音声で対話する機能もある。
現在、消費者はEコマースで製品を購入する場合、製品のWebページを閲覧し、コメントを投稿して他の買い物客と情報共有することで、購入するかどうか判断している。仮想空間の展示会は、さらに実店舗に近い行動を可能にする。消費者はブースを訪問してデモを見たり、さらには製品に触れて確かめたりすることが可能になる。
AR技術はプロモーションにも利用できる。例えば靴の小売チェーンFoot Lockerは、スニーカーのプロモーションのために位置情報とAR技術を用いたスマートフォンゲームを公開した。
作業効率向上
VR/ARは効率向上にも大きな効果がある。例えば商品発送業務でのピッキングと発送処理作業では、バーコードやモバイルデバイスを使用する代わりに、AR技術を実装したゴーグルを使って、作業者に注文の詳細を伝えることができる。これは、Amazon.comをはじめとするEコマースのような、スピード対応が必要なサービスに最適だ。
Microsoftをはじめとする主要な技術ベンダーは、すでにCRMアプリケーションにVR/AR機能を盛り込み始めている。CRMアプリケーションとの連携が容易なARアプリケーションを開発するベンダーもある。
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