ビジネスへの活用がイメージしづらいAR/VR技術だが、顧客の購買体験の向上や、現場作業の業務改善につながる製品が充実しつつある。今回は、こうした製品の動向を紹介する。
前編「社員研修や人材採用に『VR』(仮想現実)をどう生かせるのか?」では、具体的な製品を基に、仮想現実(VR)技術を生かし、従業員研修や採用活動を支援するベンダーの動きを紹介した。後編では顧客のユーザーエクスペリエンス(UX:ユーザー経験価値)向上にAR/VR技術を活用する製品や、AR/VR映像を表示するヘッドマウントディスプレイ(HMD)などの専用端末を業務改善に生かすこうした製品の動向を紹介する。
Eコマース(電子商取引)へのAR/VR技術の応用が進んでいる。ユーザー企業にとっては、顧客に実店舗で買い物をしているような感覚を味わってもらったり、製品の購入前に購入後の利用シーンを明確にイメージしてもらったりする効果があるという。こうした工夫を通じて、顧客のUX向上につなげることができる。
Eコマースの購買体験を向上させるために、VR技術を生かす動きがある。「法人VRソリューション」を展開するNECは、VR空間内での仮想的な店舗の構築を提案する。顧客はHMDとVR用コントローラーを利用して仮想店舗(画面2-1)内を移動し、製品を手に取ったり、購入したりできる。Eコマースでも品物をさまざまな角度から確かめられるなど、臨場感のある買い物体験を実現できることが特徴だ。
VR映像だけでなく、AR映像をEコマース向けの販促に利用する試みも見られる。アビームコンサルティングは、家電量販店のEコマースサイト向けのARアプリケーションを開発した。Eコマースサイトの顧客が居住形態や欲しい機能などのチェック項目を入力すると、お薦めの家電を提案する。家電はAR映像として表示でき、顧客は自分の部屋にAR映像を重ね合わせることで、購入した後の設置イメージを確認できる(画面2-2)。
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