次々と登場する最新技術を教育にどう活用するか。今後の教育で教員が意識していくべきこととは。教育者チーム「iTeachers」の声を基に考える。
IT活用教育を推進する教育者チーム「iTeachers」が主催した教育ITイベント「iTeachersカンファレンス 2017」の内容を基に、iTeachersメンバーのIT活用事例やお薦めのアプリケーション、IT活用の課題を紹介してきた本連載。第3回「公立校の『教員の異動』はIT活用を阻害するか? 『1人1台タブレット』の現実策は?」に続く最終回となる本稿では、最新技術が教育にもたらす可能性、今後の教育に求められる考え方について紹介する。
大阪大学全学教育推進機構 教授 岩居弘樹氏
新潟市立新潟小学校 教諭 片山敏郎氏
広尾学園中学校・高等学校 教諭 金子 暁氏
デジタルハリウッド 講師/クリエイティブセンター福岡 栗谷幸助氏
玉川大学工学部 准教授 小酒井 正和氏
国際医療福祉大学大学院 准教授/HoloEyes 杉本真樹氏
同志社中学校・高等学校 教諭 反田 任氏
千葉県立袖ヶ浦高等学校 教諭 永野 直氏
佐賀市立大和中学校 教諭 中村純一氏
教育ICTコンサルタント 小池幸司氏
「Pepper」をはじめとするロボットや小型無人飛行機「ドローン」など、コンシューマーITの世界では多様な技術や製品が生まれ、ビジネスの分野でも応用が始まっている。コンピュータによって仮想空間を描き出す仮想現実(VR: Virtual Reality)技術も、こうした技術の代表例だ。ビデオゲームや映画といったエンターテインメント分野での活用が先行していたVR技術は、マーケティングや観光などビジネスでの応用を模索する動きが活発化している。
教員機関にVR技術を生かすことができないか――。こうした考えの下、医学学習へのVR技術の可能性を模索するのが、国際医療福祉大学大学院准教授の杉本真樹氏だ。VRを使えば、実際の人体や臓器を見ることができなくても、仮想空間で効果的に学びを進められる可能性がある。
例えば医学生が臓器について学ぶ際、従来は臓器の平面図を参考にすることが一般的だった。そのため実際の現場では、学んだ知識を使う際に、頭の中で平面図から立体に置き換える作業が必要だった。だが当然ながら「立体は、立体のままの方が理解しやすい」(杉本氏)。
コンピュータ断層撮影(CT)装置を使うと、人体を輪切りにしたような画像が得られる。だが輪切り画像は要するに断面図であり、それだけを見て臓器の全体像を思い描くことは難しい。CT画像を基に3次元(3D)モデルを作成すれば、より全体像を把握しやすくなる。だがクライアントデバイスの一般的な画面に3Dモデルを表示する限り、平面画像であることには変わりがない。
そこで役立つのがVRだ。コンシューマーの分野で普及し始めたヘッドマウントディスプレイ(HMD)型VRデバイスを装着すると、3Dモデルの臓器を任意の角度や近さから確認でき、より実際の臓器に近い感覚で構造を捉えられる。
人が直接体験をするのが難しいことでも、VRの力を借りれば可能になる。杉本氏は、Microsoftの日本法人を立ち上げた古川 享氏から相談を受け、同氏が脳梗塞を発症したときに撮影した医用画像を基に、同氏の血管を3Dモデルとして再現した。VRデバイスを使えば、例えば血管内へ入り込んで探索する疑似体験ができる。ITが新たな「体験」を作り出す好例だ。
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