拡張現実(AR)と仮想現実(VR)は消費者市場から企業市場に進出しようとしている。実際に導入する際、最高情報責任者(CIO)は何に気を付けるべきなのかを紹介する。
拡張現実(AR)と仮想現実(VR)テクノロジーはゲーム好きだけのものではない。これらのテクノロジーは、没入感の高い体験を生み出し、ユーザーがコンテンツを操作する方法に変化をもたらしている。そのため、企業でもARとVRの利用が広がるとコンサルティング会社Deloitte Digitalの専門家は考えている。それも遠い話ではない。
「これまでに起こった革命とは異なり、VRやARの導入コストは非常に低い。その結果、過去の革命よりもずっと速いペースで導入が進んでいる」とスティーブ・ソーキティッグ氏は2015年2月に配信したWebキャストで語った。同氏が率いるチームは、Deloitte Digitalの顧客向けにデジタル体験を開発している。
ARは携帯デバイスやヘッドセットを使用してコンテキスト情報を物理的な環境の上に重ねるものだ。一方、VRはヘッドセットを仕様してユーザーに別の環境を実体験のように感じさせるもので、人工的な環境の中に入り込ませることもある。この2つのテクノロジーは主に消費者向けの製品で使用されているが、ビジネス向けのユースケースも存在する。これらのテクノロジーに企業が精通するに従って、そのようなユースケースは増えていくとDeloitte Digitalの専門家は予測している。
Deloitte Digitalの専門家によると、実際のところARテクノロジーとVRテクノロジーは消費者市場よりも企業向けの可能性があるという。例えば、Googleの「Google Glass」はARテクノロジーだが、プライバシーに関する懸念で怒りを買った。だが企業はどうだろう。従業員はARテクノロジーとVRテクノロジーを利用して、簡易版の仮想プロトタイプを構築したり、素材をテストしたり、新入社員のトレーニングを実施することもできる。こうしたことは全て企業の生産性の向上につながる。
「コラボレーションを考えて採用される場合が最も多い」とソーキティッグ氏は話す。VRやARを活用することで、同じ物理環境にいない複数のチームが、仮想環境に入って情報やアイデアを交換することができる。それは、2次元のビデオ会議はもちろんのこと、Linden Labの企業向け仮想空間サービス「Second Life Enterprise」さえも凌ぐものだ。Deloitte Digitalでデザイン担当ディレクターを務めるネルソン・クンケル氏が仮想化環境におけるコラボレーションを「共感体験」として表した後、ソーキティッグ氏が次のように語った。「このテクノロジーを採用すれば、アイデアや意見を交換して共有する方法を全く新しいレベルに引き上げることができる」
一部の企業は、その新しいレベルが標準的な業務手順になっている。Ford Motor Companyでは何年も前から社内でVRを採用しており、同社の「Immersion Lab」で車両設計のモックアップを作成してから、製造を開始している。他にもIKEAのように顧客向けのARサービスを実現している企業もある。IKEA International Groupのカタログとカタログアプリを使用すると、顧客は自宅のベッドルームやキッチンに仮想家具を配置して写真を撮影でき、自宅の部屋に家具を配置したときに、どのように見えるのかが分かる。また、VRヘッドセットを顧客に提供してサービスを提供している企業もある。例えば、Audiは車のカスタマイズを視覚的に選べるようにしたり、Marriott Internationalは海外旅行を疑似体験できるようにしたりしている。
ベンダーもARとVRはチャンスだと考えている。例えば、下記の製品をベンダーは開発している。
HoloLensはARとVRのどちらでもなく、周囲の世界とのつながりを強化しながらデジタルライフを楽しめる複合現実だと同社のWebサイトで説明している。この3社の製品はいずれも企業に目を向けている。
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