2021年のDXトレンド予測【中編】
DXの加速に「ノーコード/ローコード開発」と「マルチクラウド」が不可欠な理由
システムを最新化し、ビジネスの変革を加速させる上で重要な意味を持つトレンドは幾つかある。その中から「ノーコード/ローコード開発」「マルチクラウド」を解説する。
2020年は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的流行)によって、ビジネスの「デジタル化」は死活問題になった。前編「アジャイルが『DX』に貢献する理由 もう単なるソフトウェア開発手法ではない?」は、デジタルトランスフォーメーション(DX)に関して2021年に動きが活発化すると考えられる5大トレンドのうち「アジャイル」を紹介した。本稿は残る4つのトレンドの中から「ノーコード/ローコード開発」と「マルチクラウド」を解説する。
トレンド2.ノーコード/ローコード開発:顧客満足や従業員エクスペリエンスに照準
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テレワークを考慮したワークフローツールやシステム連携ルールは、従業員自身とその家族の健康と安全に関するニーズに沿った支援を提供し、テレワークを推進する助けになった。業務自動化ツールはビジネスプロセスのギャップを埋め、組織のコスト削減の一助となった。これらのツールなどを手早く開発したい組織にとって、2020年は最小限のコーディングでアプリケーションを開発できるノーコード/ローコード開発ツールが必需品となった。
何十年も前からノーコード/ローコード開発ツールは存在していた。近ごろのノーコード/ローコード開発ツールは、ビジネスを変革したいと考える最高情報責任者(CIO)やIT部門のリーダー(以下、ITリーダー)、事業部門のリーダーにとって、戦略性を盛り込む余地が大幅に増した。2021年はDXを推進するリーダーが、ノーコード/ローコード開発ツールや業務自動化ツール、システム連携ツールを組み合わせ、より多くのビジネス分野で、今まで以上に大きな規模で顧客と従業員のエクスペリエンスを向上させるだろう。
ノーコード/ローコード開発ツールは、レガシーアプリケーションをモダナイズしてクラウドサービスへの移行をしやすくするのに役立つだけではない。ソフトウェア開発やクラウド、DevOps(開発と運用の融合)などの、いまだに見つけるのが困難な領域のIT人材が限られる企業でも、プロジェクトを達成させるために役立つ。
トレンド3.マルチクラウド:クラウドベンダーが本腰
「クラウド移行」は企業にとって、実質的に「ハイブリッドクラウド」の構築を意味していた。つまり従来型のオンプレミスのデータセンターに加え、プライベートクラウドやパブリッククラウドといった異なるインフラでアプリケーションを運用する状態だ。
企業は、主にパブリッククラウドを中心としたクラウドサービスでアーキテクチャやサービスを成熟させてきた。その過程で「複数のクラウドサービスを横断して運用しなければならない」、つまりマルチクラウドが必要だと認識するようになった。それは以下のような理由による。
- ベンダーロックイン(囲い込み)の回避
- 料金やサービスレベルの交渉促進
- 新興サービスのイノベーション実現
- データ連携規制の順守
- 企業合併の支援
マルチクラウドの運用管理は簡単ではない。クラウドベンダーは大手のユーザー企業を獲得する上で、マルチクラウドの管理やサポートの実現が不可欠だと認識している。Googleの「Anthos」やMicrosoftの「Azure Arc」のように、複数のクラウドサービスを横断するシステムリソースやコンテナオーケストレーションツール「Kubernetes」のクラスタ管理を支援するサービスは存在する。
クラウドベンダーはエッジコンピューティングの役割も認識している。エッジコンピューティングは、セキュリティや遅延の低さといったパフォーマンスを確保するために、データソースの近くに分析ツールを置きたいというニーズに応える。エッジコンピューティングを実現する手段には「Azure Stack Edge」「AWS Outposts」などがある。
戦略的に必要なシステムを、その業務に適したクラウドサービスに移行させて成熟させたい企業にとって、マルチクラウド管理ツールの選択肢が増えることは朗報だ。
後編は残る2つのトレンドとして「リアルタイムデータ処理」「MLOps」を解説する。
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