ビデオ会議システム紹介:沖電気工業(OKI)
Linux、異機種接続――独自路線でビデオ会議市場に切り込む「Visual Nexus」
Visual Nexusは当初から他社製品との接続性を担保しながら機能進化させてきたユニークなビデオ会議システム。競争より市場を取り込んでいくことを選んだOKI独自の路線にある狙いとは何か?
ビデオ/Web会議の中間ソリューション
これまで「ビデオ会議システム紹介」の取材で触れてきたように、ビデオ会議システム/サービスを提供する各社は、市場拡大に向けてしのぎを削っている。そのような中で、競合他社にない独自路線を歩んでいるのが沖電気工業(以下、OKI)だ。OKIのHD対応ビデオ会議システム「Visual Nexus」は、ベンチャー企業が開発した技術を事業買収する形で同社が獲得し、OKIブランドとして2007年から販売、製品をブラッシュアップしながら現在に至っている。
「Visual Nexusは、先行するメジャーなビデオ会議システム専用機と互換性があることが特徴。ハードウェアの接続を保証しながら、同時にWeb会議的なアプローチ、すなわちビデオ会議端末としてPCでの利用にも対応している点が、われわれの市場におけるポジションをユニークにしている」と語るのは、OKI 通信システム事業本部 キャリアシステム事業部 ビジュアルネクサス事業推進部 営業チームの丸田雄介氏。
Visual Nexus自体はソフトウェアだが、H.323対応の高品質な専用機に接続でき、しかも安価なPCを端末として利用できるビデオ会議システムである。いわば従来のビデオ会議システムとWeb会議システムの長所を取り込んだ、両者の中間に位置するソリューションだ。Visual Nexusをハブ的に使うことで、既存システムの有効活用が可能になる。丸田氏は「先行するビデオ会議システム市場をうまく取り込んでいけるようなモノづくりをしたいと考えていた。その際に真っ向から対抗するハードウェアを開発するのでなく、ソフトウェアという形の身軽な製品で勝負すべきだと判断した」と説明する。
このようにOKIでは、ターゲットユーザー層も他社とは大きく異なっている。例えば従来の資産(ビデオ会議システム)を活用しながら、Web会議的なソリューションを広げていこうとするユーザーが狙いなのだ。既にビデオ会議システムを導入している中堅・大企業ならば、ビジュアルコミュニケーションから得られるメリットの理解も十分に浸透している。同社はこのようなユーザーに対し、スケールダウンやコストダウンを訴求する形で、リソースの有効活用を提案するアプローチを採っているわけだ。具体的には、ユーザー企業へのシステム販売を中心に行っている。また、ASPサービスも実施しており、まだ事業規模は小さいものの、今後の市場動向を見極めながら成長させていく意向だという。
Visual Nexusは、アプライアンスサーバ「Meeting Server」(MCU:多地点接続装置)の他、クラアントとなる高性能ビデオ会議ソフト「Endpoint」およびファイアウォール/NAT越えでビデオ会議を実現する「Secure Transport」などで構成される。基本的にクライアント側のソフトは無償で、アプライアンスもオープンシステムを採用して価格を抑えている。従って、サーバ側の同時アクセス数に応じてライセンスを購入する仕組みとなる。以下、「OKIならでは」といえる同製品の特徴について紹介する。
本格的なビデオ会議を実現する4つの特徴
Visual Nexusの特徴は大きく4つある。筆頭に挙げられるのは、ビデオ会議システムの国際標準規格「H.323」に完全準拠し、拠点規模やユーザー数、スキル、予算などに応じてクライアント端末を選択できる点だ。ポリコム、タンバーグ(シスコシステムズ)、ライフサイズ・コミュニケーションズ、ソニー、NECエンジニアリングなど、本連載の中で紹介してきた代表的なビデオ会議システムや、OKIの得意分野であるSIPサーバ/IP電話などに簡単に接続できる。特にビデオ会議システムではソニー製品との親和性が良いとのことで、同社の「PCS-XG55」「PCS-G50/G70S」といった製品の取り扱いや、システムインテグレーションも行っている。
2点目は高品質であること。ハードウェア型のビデオ会議システムと同等の映像・音声クオリティを維持しながら、基本機能も充実している。「われわれのユーザーは中堅・大企業が多いため、ビデオ会議の品質を落とさずに、なるべく自然なコミュニケーションをしたいという要望も多い。PCベースのWeb会議ではどうしても品質面での妥協を強いられるが、Visual Nexusを見て、ここまでクオリティが良いのかという率直な驚きの感想をいただくこともある」と丸田氏は胸を張る。
映像面ではH.264の圧縮符号化方式を採用し、720p(1280×720ピクセル)または1080p(最大1920×1080ピクセル)までのフルHDに対応。また16:9のワイド画面での映像をサポートしている。もちろんSDでの利用も可能で、HD/SDを混在させながら、端末の種類やネットワークの帯域に応じて最適な品質を保証している。一方、音声エンジンにはフランステレコムの技術を採用しており、多地点で同時発話しても臨場感のある聞き取りやすい音声を再生する。
3点目の特徴は、アプライアンスにLinuxベースのPCサーバを採用し、システムの導入を安価に抑えることに成功している点だ。従来のビデオ会議システムで使われるサーバと比べるとコストは低くなった。とはいえ、土俵が異なるWeb会議システムと比べると、やはり割高になることは否めない。もし低価格を重視するなら、Visual Nexusの機能限定版(HD未対応)であるエントリーパック「VOCS-Lite」という選択肢もある。アプライアンス、ビデオ会議ソフト、カメラ、スピーカー/マイクをセットにし、Visual Nexusの半額程度の価格で提供している(ビデオ会議端末との接続はオプション)。
そして4点目は、小規模から大規模まで対応するスケーラビリティを有することである。1台のマスターサーバで、SD端末500台、あるいはHD端末250台までの同時接続に対応する。さらにサーバを増設することで、端末数や会議数を柔軟に拡張できる。丸田氏は「国内600拠点を接続して毎週会議を実施しているユーザー(大手の流通小売業)もいる。普段は他社製品を販売しているベンダーやSIerでも、規模が大きな案件になるとわれわれに相談いただくケースが多い。大規模で安定稼働できるビデオ会議システムというイメージがある」と説明する。
使って分かる便利な機能が満載
ここからはVisual Nexusの細かい機能について見ていく。基本画面パターンは2分割から16分割まであり(H.264利用時)、テキスト・イン・ピクチャーで映像中に参加者名などを表示することも可能。さらに発話者がオレンジ色の枠で強調表示されるなど細かい配慮もなされている。
また、発表者側は各拠点の分割画面を表示し、拠点側は発表者の単一画面を表示するというように、プレゼンテーションやディスカッションのシーンに応じて切り替えられる「レクチャーモード」も用意する。この機能は、2010年10月にバージョンアップされたばかりのVisual Nexus 4.2から採用されているものだ。
| 通信プロトコル | H.323、SIP(オプション) |
|---|---|
| 画像符号化方式 | H.261、H.263、H.264 |
| 最大有効画素数 | HDライセンス:最大1080p(1画面切り替え)/最大720p(画面分割) SDライセンス:CIF/4CIF |
| 最大表示数 | 16画面の合成映像 |
| 音声符号化方式 | G.711、G.722、G.722.1(Polycom Siren7)、G.722.1AnnexC(Polycom Siren14)、TDAC32/24、MPEG-4 AAC-LC |
| 接続可能ビデオ会議システム | ポリコム、タンバーグ、ライフサイズ・コミュニケーションズ、ソニー、NECエンジニアリングなどの各主力製品 |
| 多地点会議 | MCU(Meeting Server) |
| 最大同時接続数 | 最大250(HD:720P)/500(SD:4CIF) |
| データ共有 | H.239/アプリケーション共有/PowerPoint共有 |
| その他 | 動画ファイル配信、録画・再生機能、異速度通信機能、ゲートキーパー機能、オンライン会議予約システム、NAT/ファイアウォール越え(Secure Transport)、映像/音声の暗号化(Secure Transport)、プレゼンス機能(Endpoint)、PCクライアント対応(Endpoint):Windows XP/Vista/7 |
| 本体サイズ、重量 | 幅448×奥行き692×高さ43ミリ、重量17.92キロ(Meeting Server 「VOCS5700」) |
| ライセンス価格(税別) | SD版MCU+PCクライアント 同時10拠点構成:510万7000円 |
標準装備されているプレゼンス機能(ミーティングマネージャ)もユニファイドコミュニケーションの観点から役に立つ機能だ。ユーザーがシステムにログインすると、入室できる全てのミーティングルームと、コンタクト先として登録した相手が一覧で表示される。あらかじめ頻繁に会話をする相手を登録すれば、その人の現在のステータス(オンライン/オフライン、話し中など)をリアルタイムに把握できる。端末のプレゼンスを確認してすぐに相手を呼び出せる仕組みもVisual Nexus特有のものであり、日常業務でもフル活用できる。
Microsoft PowerPoint共有、アプリケーション共有、専用端末とのコンテンツ共有(H.239対応)、動画配信といった、ビデオ会議の際に必須となる各種共有機能も充実している。特に専用端末とのコンテンツ共有機能では、前述のようにソニーやポリコムなどのビデオ会議端末との間で資料を閲覧しながらの会議が可能だ。さらにPC側(Visual Nexus Endpoint)で閲覧する資料上で、ペンツールによる文字の書き込みも行える。こうしたミーティングの内容は、レコーディング機能により記録して各PCで再生できる。
この他、使い勝手としては、会議予約システムをサーバに標準搭載していることもチェックしておきたい。ミーティング予約画面から会議のスケジュールや件名、参加者などを決めて予約が行える。この際、予約内容を参加者に対してメールで通知したり、開催時間前に各端末を自動的に呼び出す機能もある。利用スキルが低いユーザーでも、簡単にメンバーを召集してオンラインミーティングを開催できる。
Visual Nexusでは、OKIのIP-PBXと組み合わせてビデオ会議中でも特定ユーザーの内線を呼び出して音声のみの参加が可能だ。今後の機能拡張として、これを内線だけでなく、外線にも対応させることも検討しているという。例えば、出先の営業マンの携帯電話にダイヤルして会議に参加させるというシナリオが考えられる。
FMC(Fixed Mobile Convergence)の概念では、相手側が社内にいるか、あるいは外出しているかということはあまり関係性を持たない。その意味では、固定網やモバイル網にとらわれず、いつ、どこでも会議ができる状況にしておけることが会議システムでは重要だという。同社のお家芸となるIPテレフォニ―ソリューションとの密な連携により、Visual Nexusは今後も他社にはないユニークな進化を遂げていくだろう。
ビデオ会議を体感したいときは……
東京・西新橋のOKI本社ビルでは、同社の主力製品が一堂に会したショールームが併設されている。OKIのブランドスローガン「open up your dreams」の下、最先端のビジネス環境、IPネットワーク関連のソリューション、サービス、プリンタなどを常設展示している。もちろん今回紹介したVisual Nexusも体験可能。ビデオ会議システムの導入を検討しているユーザーは、一度ショールームを訪れてみてはいかがだろうか。高品質の映像と音声を体感すれば、これまでのビデオ会議システムに対するイメージが大きく変わるかもしれない。
住所:東京都港区西新橋3-16-11 愛宕イーストビル(OKI本社ビル)2階
営業:午前9時30分~午後5時15分(土・日、祝日、同社休日は休館)
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