予算縮小に立ち向かう
安価に仮想ホストのリソースを拡張する10の方法
サーバ仮想化のコストパフォーマンスを上げるためには、仮想ホストのリソースを効率よく活用することが肝心だ。本稿では、手軽に実践できる10の方法を紹介する。
ITに対する要求は増える一方で、コストは抑制される。そんな予算の厳しい現在では、仮想ホストのリソースを効率よく活用することが、唯一の解になるのかもしれない。幸い、既存のインフラストラクチャに仮想マシン(VM)をさらに詰め込む方法は多数ある。
そこで本稿では、経済的に仮想ホストリソースを拡張する10個の方法を紹介する。
「仮想マシンの集約率をいかに最適化するか」に関する記事
1.VMを整理する
インベントリを実施し、VMのスプロール(乱立)を解消する。「このチームには、これほど多くのテスト用VMが本当に必要か?」「環境内に管理者不明のVMはないか?」「他製品にインポートできないデータがあるレガシーVMはないか?」を確認しよう。
一度展開したVMを撤廃するのは、特にチャージバックモデルを導入していない場合、簡単ではない。展開されているVMは、それぞれに仮想ホストの各種リソースを使うため、VMごとに関連コストが発生する。少なくとも、チャージバックまたはショーバックモデルを導入している場合は、各VMのコストを把握でき、会社のコスト削減目標に協力的なスタッフが誰かを上層部に報告できる。どちらのモデルも導入していない場合は、上層部から大々的に指導をしてもらう必要があるかもしれない。
2.VMをシャットダウンする
テスト/開発環境のVMは、次のテストサイクルが始まるまで、何日間、何週間、または何カ月間も使われずにいることが多い。このようなテストサイクルの切れ目にはVMをシャットダウンしておくことで、仮想ホストリソースの消費を大幅に削減できる。これは、複数のグループのさまざまなテストサイクルを自然と淘汰または入れ替えることにもなるだろう。
また、テスト用VMは常時必要というわけではないので、うまく管理すれば、ホストやリソースを追加することなく、さらにVMをプロビジョニングできる可能性がある。もう一歩踏み込んで、セルフサービスポリシーを作成したり、1ユーザーまたは1グループが一度に実行できるVMの台数を制限するのもよいだろう。
3.ハードウェアの入れ替えを延期する
通常のサーバの入れ替えサイクルが3~5年であれば、仮想ホストの寿命は後1、2年は十分に残っているかもしれない。このようなホストに配置できるVMの台数は、VMリソースの自然な増加によって、年々縮小する可能性がある。しかし、ある程度はハードウェアの新規購入を先に延ばせるかもしれない。
本番ワークロードを処理できる新しい仮想ホストを購入できる予算があったとしても、景況を踏まえて、テスト/開発環境では古いホストを何年か使ってもよいだろう。本番ワークロードを最高のパフォーマンスで処理できなくても、テスト環境では十分利用できる。
4、サポート契約を延長して、ハードウェアをリサイクルする
標準の入れ替えサイクルを過ぎて、メーカーのサポート期間が終了しているハードウェアの“延命”を図るのは、十分乗り回して元を取れている車に問題が起きてお金が掛かることがないことを祈るようなものだ。資本予算は限られていても、運営予算は十分な場合があるので、それを利用できないか検討してみよう。
運営費として使える資金があれば、古い仮想インフラストラクチャのサポート契約を更新して、問題の修正やリスクを軽減でき、結果として、通常のハードウェア入れ替えサイクルを延期できる可能性がある。
5.使用ポリシーを適用する
VMの使用ポリシーを作成して適用することで、ホストリソースの無駄な消費を省き、ハードウェアを買い足さなくてもすむかもしれない。ただしこれは、複数のチームにわたり現行のプロセスや対応を変える必要があるため、既存の仮想ホストリソースの有効活用を図るアプローチとして採用されることは最も少ない。
誰も変化は望まないため、まず抵抗に遭うのがおちだ。このようなポリシーの変更が、部下や同僚から提案されたら、あからさまな抵抗に遭うか、徹底して妨害されるだろう。上層部の支援を取り付けておく必要がある。
6.新しいハイパーバイザーベンダーを採用する
新規購入を先延ばしにする以外の手を使える場合もある。賢い買い物をして、仮想環境の投資効果を引き出すことを考えてもよいだろう。
VMのOSの種類によって、最適なハイパーバイザーは変わる。既存のハードウェアとハイパーバイザーのライセンスオプションを確認しよう。特に長期にわたり予算制限が見込まれる市場では、仮想プラットフォームを変更した方がよいケースが見つかるかもしれない。
ただし、ハイパーバイザーを変更する場合は、技術スタッフに影響があるので、チームと経営陣の賛同を得ることが、非常に重要だ。
7.メモリを追加する
メモリは、仮想ホストで最初に不足するリソースの1つだ。わずかの支出でメモリを増設するだけで、さらに多くのVMをプロビジョニングでき、新しいマシンを購入せずに済む可能性がある。
8.既存の機能を使う
Hyper-VのダイナミックメモリやVMware vSphereのメモリオーバーコミットなどの機能を使うと、既存のホストにプロビジョニングするVMの台数を増やすことができる。これらのテクノロジは、事前に仮想ホストのメモリを割り当てるのではなく、各VMが必要とする分量のメモリだけを動的にVMに割り当てる。
これらの機能を利用していない場合は、メモリが無駄に消費されている。この種類の機能に適さないVMワークロードもあるが、各VMのメモリの使用状況を調べることで、仮想ホストのリソースを効率よく管理し、1台のホストに配置できるVMの数を増やせる可能性がある。
9.仮想ディスクの種類を変える
ほとんどの環境では、パフォーマンスを確保するために、容量固定の(シック)仮想ディスク(VHD)が採用されている。本番ワークロードには、やはり容量固定のVHDを採用するのが最適だ。しかし、テスト/開発環境であれば、容量可変の(シンプロビジョニング)VHDを使用できないか検討しよう。
最近はどのハイパーバイザーベンダーも、容量固定VHDを容量可変VHDに変換する手段を用意している。可変VHDに変換することで、貴重な物理スペースが解放され、物理ストレージの容量はそのままで、さらに多くのVMをプロビジョニングできる。これで、追加のストレージリソースの購入をする必要がなくなるか、遅らせることができる。
10.ハイパーバイザーを最新版にアップグレードする
ハイパーバイザーの新機能を使うことで、仮想環境の効率を向上できることが多い。例えば、Windows Server 2008 R2 SP1で導入されたHyper-Vのダイナミックメモリは、新しいハードウェアを追加しなくてもホスト1台当たりのVM数を増加できるようにした。アップグレードのために多少のハードウェア投資が必要になったとしても、総合的にメリットが見込めるかどうかを検討したい。
つまるところ、データセンターの拡大ペースは衰えないが、予算は縮小している。であれば、仮想環境の構成に工夫をしなければ、要件を満たすことはできない。ただし、上記のヒントを実践して、既存の仮想ホストリソースの有効活用を図ったとしても、いずれは頭打ちになる。限界を超えないように注意してほしい。
厳しい予算の中では、仮想ホストをいかに無駄なく使い、多くのVMを展開していけるかが、最大のポイントになる。慎重に綱をわたってほしい。
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