ベンダー各社はMDM機能の差別化に注力
これからのモバイルを安全にする“3種の神器”とは
米国の調査によると、46%の企業がモバイル端末管理(MDM)を導入済みで、84%が2014年末までに導入を予定しているという。ベンダー各社はMDM機能の差別化に力を入れている。
企業のITセキュリティプロフェッショナルなら、モバイル端末が投げ掛ける新たな課題について認識していることは間違いない。モバイル端末の役割や多様性、個別の要件が社内で重視されるようになる中で、そうした端末からアクセスするデータのセキュリティ対策の重要性も高まっている。
セキュリティ管理者が会社の情報のセキュリティを守るためには、急速に変化している従業員の働き方や端末の好みについて、正確かつ包括的に把握する必要がある。こうした好みは、私物端末の業務利用(BYOD)やアプリ中心のコンテンツ利用、タブレットの採用、ワイヤレスのみで仕事をこなす従業員などのトレンドを通じ、従来のIT資産を公共の領域へと移行させている。モバイルで仕事を進める従業員が増える中、従業員が使用する会社のデータの安全性を確保するため、情報セキュリティのプロフェッショナルを頼みとするIT組織が増えている。そうした組織の大部分は、IDベースの利用ポリシーにサポートする各種の技術を通じてデータの安全性を確保している。
組織内で増えているコンシューマー中心型モバイル端末のセキュリティ対策技術としては、依然としてソフトウェアによるモバイル端末管理(SMDM)が主流だ。米調査会社Nemertes Research Groupによると、46%の企業がエンタープライズ向けのモバイル端末管理(MDM)を導入済みで、84%は2014年末までに導入を予定している。モバイル端末への集中(コンバージェンス)のトレンドからは、それが決して時期尚早ではないことがうかがえる。従業員の4分の1(25%)は2014年末までに業務用の補完的な端末としてタブレットを使うようになると予想。社内で既にノートPCをタブレットに入れ替えたという従業員は少数(10%)ながらも増えている。
必然的に、ベンダー各社はそれぞれの製品でMDM機能の差別化に力を入れている。多くはネイティブのコンテナベース、さらには仮想デスクトップインフラ(VDI)を使った端末管理を採用し、全社ではないにしても、ほとんどが以下のような技術を搭載している。
- モバイルアプリケーション管理(MAM)やエンタープライズアプリケーションストア
- 文書、アプリ、個人情報管理データ用のセキュアなコンテナやワークスペース
- オンデバイスやクラウドサービス/パートナーシップのセキュアドキュメント共有(SDS)機能、Microsoft SharePoint、Dropbox、Google Driveといった人気プラットフォームと連携させるためのAPI
- 無線LANの統合、NMDM(ネットワークベースMDM)機能
- ジオフェンシング(Geofencing)、アプリラッピング、認証局の統合、電子メールの情報消失・流出防止といった先端機能
以上のMDM機能の中で、企業の29%が現在利用している「モバイルアプリケーション管理(MAM)」は最も普及が進んでおり、重要性も高い。コンシューマー向けやアプリ中心型の端末がエンタープライズモバイル端末管理技術の採用を加速させているのと同様に、企業によるアプリ開発プロジェクトの拡大に伴い、MAMやエンタープライズアプリストアを通じた管理が必要になる。MAMでは会社のアプリ用に、従業員が使い慣れたアプリストアのインタフェースを提供できる。ライセンスや配信、更新に関するポリシーは、Active DirectoryやApple Open Directoryなどのディレクトリサービスを通じてIT部門が管理できる。
モバイル端末向けのセキュアドキュメント共有(SDS)は、ノートPCなどのより強力に管理されたエンドポイントとは異なる。これはモバイルOSには企業に適したネイティブの管理オプションがあまり存在しないことによる。モバイルを従来型のエンドポイントに匹敵させるため、MDMプロバイダーは、企業で普及している文書共有システムや電子メール/アプリ添付コントロール用のAPIを提供している。ほとんどのMDMはまた、オンデバイスのセキュアな文書ロッカー、クラウドSDSの統合、VDIに対応した文書へのリモートアクセスなどを組み合わせて提供している。
MDMは勢いも増している。現時点でこの技術を採用している企業は11%のみだが、Nemertes Researchによれば、企業での採用は拡大中だ。NMDMが企業にとって魅力的なのは、大部分が標準的なネットワークプロトコルを使ってネットワーク管理ソフトウェア経由で端末の主要な機能を特定し、ポリシーを適用できるためだ。NMDM機能のほとんどは特定企業の独自技術を使っていないことから、NMDNと組み合わせて使うにしても、スタンドアロン製品として使うにしても、新しいネットワーキングハードウェアなどに投資しなくても機能する。デバイスフィンガープリント処理、セキュリティ態勢リポートの作成、モバイルアプリのQoS(Quality of Service)、アプリレベルの仮想プライベートネットワークといった機能は、クライアントをエンドポイントにインストールしなくても活用できる。NMDMでは基本的に、端末とアプリ上で発生するネットワークトラフィックを遮断したりリダイレクトしたり優先順位を付けたりするためのツールが提供され、特にBYOD環境に適している。
MDMの進化がモバイルセキュリティポリシーに与える影響
変わり続けるMDM機能に追い付いていくのは、どれほど熱心なITセキュリティ専門家であっても難しい。だが、上記のような機能を踏まえ、企業はモバイルセキュリティポリシーの策定や改定に当たって、以下のような点を考慮する必要がある。
- 自分がサポートしているモバイルプロビジョニングポリシーを見直し、BYODがどの程度使われているかをチェックする。上記のような機能では、多様なモバイルアプリケーションや、もっと柔軟性の高い利用ケースを活用して、従業員の生産性を向上させられるかもしれない
- 同様に、現在および近い将来に予想されるモバイル端末(携帯電話とタブレット)の台数を把握し、それらのデフォルト設定およびセキュリティ設定を評価する
- 組織内の従業員の私物端末のうち、IT部門が把握または管理しているものと、そうでない端末の台数を調べる。そして、
・BYODのヘビーユーザーが存在する場合(例えば従業員が持ち込む端末から、電子メールやカレンダー、さらには会社の機密データなどへのアクセスが、さまざまなレベルで要求されるような場合)、NMDMの導入を検討する。ポリシーではセキュリティと使い勝手を考慮し、両方のバランスに気を配る
・セキュリティおよびコンプライアンス規定に従ってユーザーを教育し、私物端末を職場に持ち込まないか、MDMシステムのオンボーディングプロセス(一般的には特定のURLかポータル)を使って確実にプロビジョニングするかのいずれかを選択するよう、ポリシーで規定する
最後に、MDM(SMDMまたはNMDM)、MAM、SDSは、モバイル端末のセキュリティ対策のための主要ツールとしなければならない。もし現時点でこの3つがそろっていない場合は、情報提供依頼書(RFI)、提案依頼書(RFP)およびパイロット使用を通じて製品を評価する。問い掛けるべき主な事項は以下の通り。
- 導入するのはカスタム版の社内アプリか、それとも外部で開発されたアプリか。外部開発アプリの場合、パブリックアプリの遮断と優先順位決定およびそうしたアプリのセキュリティ対策のため、MAMを検討する
- 現在導入されているSDS機能の見直しを行う。モバイル端末にとって十分といえるのか、それともデスクトップ向けSDSより遅れているのか。全てのエンドポイントに適用できる一貫したポリシーをサポートするという目標に従って、適切なクラウド、オンデバイス、インテグレーション、エンタープライズモバイル端末管理製品を評価する。
本稿筆者のフィリップ・クラーク氏は、 米調査会社The Nemertes Research Groupのリサーチアナリスト。ワイヤレス、モビリティ調査部門の共同リーダーとして、クライアント向けのワイヤレス関連の提言、主要トレンドやリーダーシップ関連の報告書の作成、統計分析の実施、調査報告書の作成などを手掛ける。
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