厳格さと柔軟さのバランスが大事
“私物解禁”に本気なら実践すべき「BYOD成功の10カ条」
BYODの本格採用で直面するリスクとは何か。どういった対処方法があるのか。これらを理解しないままBYODの本格採用を進めるのは危険だ。確認すべきポイントをまとめた。
私物端末の業務利用(BYOD)は定着するだろう。だが成功までの道のりには、多くの障害がある。
英調査会社Ovumによると、従業員の私物端末持ち込みを認めている企業は75%強に上る。米Gartnerの予想では、雇用主の半数が2017年までにBYODを義務付ける見通しだ。
BYOD制度が試験的導入の段階から本格展開へと急速に移行する中で、リスクも高まっている。かつては取るに足りなかった問題が、重大なセキュリティ問題と化し、コストに影響を及ぼすようになるのだ。企業にとって、BYODの危険を認識して避けることが重要になる。
ポイント1:BYODを禁止しようと思わない
BYODという“馬”は、既に厩舎の外に出ただけでなく、IT部門がその前に立ちはだかろうとすれば踏みつけるだろう。専用のモバイル医療端末や、極秘情報を保存したウルトラブックなど、BYODに適さないケースもあるかもしれない。だが私物の携帯電話やタブレットを使っている従業員は、ほぼどこの企業にもいる。厳格に禁止すれば、ユーザーは抜け道を探す。それよりも、定められた条件の下で、安全かつ監視の行き届いた利用を認めた方が好ましい結果が出る公算が大きい。
ポイント2:ポリシー策定を怠らない
実験的なBYODが普及しているにもかかわらず、多くの雇用主が具体的なBYODポリシーを策定していない――。こうした実態はさまざまな調査から明らかだ。例えば、米Microsoftの同期技術「Exchange ActiveSync」が利用可能な端末や米Apple端末の持ち込みは認める一方、Android端末は認めない企業が、そのことをBYODポリシーとして明記していなかったりする。
また可視化やセキュリティに関する深刻な抜け穴が放置されていれば、容易に情報流出やLANへの不正侵入を招きかねない。BYODポリシーには、私物端末の使用を認める対象者、許容される使用法、使用に当たっての条件を明記しなければならない。さらに、手順や権利、責任を定義し、雇用主と従業員との間で合意書を作成する必要がある。
ポイント3:私物端末を会社の端末と同様に扱わない
IT部門が業務用に調達したiPhoneと、従業員が仕事と私用に使っている私物端末は根本的に異なる。確かに端末の機能や利用可能な管理機能は同じだが、違いはその使われ方にある。従業員が紛失した私物端末の所在を会社が突き止めて遠隔操作でデータを消去することは、所有権とプライバシーの困難が付きまとう。十分に練られたポリシーがあれば、IT部門が会社の資産を守るために取るべき行動について相互理解と法的基盤が確立され、こうした場面で助けになる。
ポイント4:BYODと「何でも持ち込み可」は同じではない
前述した通り、優れたBYODポリシーは、許容する利用方法のルールを定めたものであり、持ち込みを許可する端末に関する最低基準も含まれる。モバイル端末は、機種やモデル、OS/バージョンそれぞれに利点と欠点があり、業務で利用する個別のケースについて基準を定めなければならない。
基準に達しない私物端末については、ゲスト用のインターネット接続のみ許可するか、LANから完全に締め出す必要がある。最良の結果を出すためには、許容基準をビジネスリスクと結び付けて、特定の端末が特定の業務に利用できない理由を従業員に理解させ、許容される私物端末を購入しやすくすることだ。
ポイント5:BYODポリシーは特定のモバイルOSのみを基準としない
現時点で最も注目されている端末と、その端末に搭載されているOSを利用したい誘惑に駆られることもあるかもしれない。だがBYODの世界は常に変化している。Androidの売り上げがiPhoneをしのぐなど、数年前に誰が予想できただろうか? 2011年の時点で、タッチスクリーン型タブレットがこれほど急速にノートPCの売り上げに食い込むと予想した人がいただろうか?
2013年はタブレットが小型化し、「ファブレット」へと姿を変えつつある。モバイル端末を使った生産性の向上については、市場の変化に対応できる機動的なBYOD戦略を採用した企業が最も大きな成功を収めるだろう。
ポイント6:端末への過度のフォーカスを避ける
BYODプロジェクトを成功させるためには、ある程度のモバイルデバイス管理(MDM)は不可欠だ。だが雇用主が真に目標とすべきは、端末を管理することではなく、端末を安全に利用できるようにすることだ。
その目的を達成するため、従業員に個人のデータやアプリケーションを自由に使わせる一方で、会社のデータやアプリケーションへのアクセスやストレージについては制限するという選択肢もある。例えば、個人的な利用には影響を与えずに、自己認証型の暗号化されたビジネスアプリケーションをインストールし、そのアプリケーションやデータの設定と監視、削除が簡単にできる方がいいと考えるユーザーもいるだろう。
ポイント7:非現実的なコントロールを強制しない
必要があるかどうかを事前に判断することなく、あるいは生産性に与える影響を考慮することなく、可能な限りのセキュリティ設定をかけた多くの雇用主は、その苦い経験を通じて、「非現実的なコントロールを強制すべきではない」という教訓を学んでいる。例えば、利用できなくなるまでのタイムアウト時間を非常に短く設定したり、複雑なパスワードを義務付けたりすれば、イライラの原因となって失敗するのは必至であり、従わない者が続出してヘルプデスクに電話が殺到する。
むしろ、適度な暗証番号の設定のみを義務付け、ビジネスアプリケーションの二次的な認証でバックアップを取ることを考える方が望ましい。各利用ケースについて、生産性とリスクの間で積極的にバランスを取り、実地試験を行うことだ。
ポイント8:従業員のプライバシーを侵害しない
従業員の私物端末にGPSを利用した追跡機能が付いているからといって、年中無休で所在を記録すべき理由にはならない。取得するのは業務上のニーズを満たすために必要な情報にとどめ、会社がアクセスしたり保存したりする内容はポリシーに明記し、BYODを認める条件として従業員にポリシーへの同意を求める。収集する情報を最小限に抑えれば、従業員がポリシーを受け入れやすくなる、国の情報プライバシー保護法を順守しやすくなる、ユーザーの個人情報を手違いで侵害したり削除したりする危険が低くなる、などのメリットがある。
ポイント9:BYODセキュリティにとどまらない対応
BYODに対する不安は、企業情報の流出や会社のアプリケーションへの不正アクセス、モバイルマルウェア、フィッシングといったリスク管理に集中しがちだ。こうしたリスクを避けることは明らかに重要だが、私物端末を生産性の高いビジネスツールとするためには、それだけでは不十分だ。BYOD制度をさらに前進させて、業務用アプリケーションの推薦や購入、従業員が仕事をこなすために必要なエンタープライズアプリケーションやドキュメントの導入/設定のために、モバイルアプリケーション管理(MAM)やモバイルコンテンツ管理(MCM)を活用する必要がある。
ポイント10:BYODから目を離さない
堅実なポリシーとモバイル管理インフラを導入したとしても、コンシューマー端末は本質的に、完全には予想がつかないものだ。職場での私物端末利用についての意識を保つために、発見技術と指紋技術を利用したい。
アプリケーションレイヤートラフィック監視/管理機能を利用すれば、オフィス内でどのユーザーが自分の端末を使って何をしているかを把握でき、ネットワークのパフォーマンスや可用性に与える影響もチェックできる。またMDMを利用してBYODポリシーの順守状況を調べ、ポリシーを徹底させることが可能だ。BYOD需要が増大する中で、自動化できる部分が増えるほど、状況は改善する。
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