仮想デスクトップで遭遇
モバイルユーザーが知りたい「外出先からのリモート接続はなぜ切れるのか」
仮想デスクトップを使って仕事に必要なデータにアクセスしているモバイルワーカーは、リモート接続に関連して何かしらの問題に遭遇する場合がある。だが、そうした問題は解決が可能だ。
出張で各地を飛び回るモバイルワーカーは、日常業務の多くをオフィス以外のリモート環境でこなしている。一度でもリモート環境で仕事をしたことがある人なら誰でも、世界のどこか遠くから社内ネットワークへのアクセスを確立することがかなり大変だということを理解している。海外でデバイスからデータを盗まれる心配も考慮に入れると、こうした状況においては、仮想デスクトップインフラ(VDI)が現実的な解決策ということになる。
ただし、VDIにはリモート接続の問題が全くないわけではない。皆さんも「ネットワークの問題が発生したため、リモートセッションは切断されました」といういら立たしいエラーメッセージを受け取ったことがあるのでないだろうか? 私にもそうした経験はある。以下でリモート接続に関する最も一般的な問題とその解決法を確認しよう。
VPNがブロックされたら?
仮想デスクトップを使用する場合、モバイルワーカーは外部から社内のネットワークに接続する必要がある。だが国やホテルによっては、証明書による認証を使用した仮想プライベートネットワーク(VPN)をブロックしているところもある。そのような場合、L2TP(Layer 2 Tunneling Protocol)などの接続を使っているモバイルワーカーは仮想デスクトップに接続できない。
こうした理由から、多くの企業はVPNシステムへの接続方法として、証明書を使った方法と使わない方法の両方を用意し、緊急の場合はユーザー名とパスワードだけで認証が可能なようにしている。ユーザー名とパスワードだけの認証は証明書を使う方法と比べてセキュリティ面で劣るので、IT部門はこの方法を標準の選択肢にすべきではないが、万一の場合に備えて選択肢を用意しておくことは有用だ。
低速接続
文字入力の観点からは、VDIのデメリットの1つに「物理システムよりも反応が遅い」という点がある。コールセンター担当者など、仮想デスクトップを頻繁に利用する職種の人たちにとって、こうした反応の遅さはいら立ちのもとだ。低速(高遅延)接続は、この問題をさらに大幅に悪化させかねない。そうなるとシステムにデータを入力しても10~15秒ほど待たなければ画面に文字が表示されない。これでは、平均的な入力速度のユーザーでも修正のために何度も前にさかのぼって入力し直さなければならず、入力の速いユーザーであれば、システムが追い付くまでの間、文が丸ごと表示されないことになってしまう。これがどれだけイライラさせられる状況かは想像に難くない。
この問題を解消するには、導入検討の段階で対処するのが一番だ。まずネットワーク評価を実施し、さまざまなシナリオでユーザーの待ち時間を徹底的にテストする。そうしないと、後になってネットワークルーティングテーブルを再構成したり、ネットワーク回線をリプレースしたりする羽目に陥りかねない。インフラ担当者であれば、それがどれほど骨の折れる仕事かを理解しているはずだ。
接続の中断
さらにリモート接続には接続が途切れる問題もある。これは発展途上国でよく発生する問題であり、ユーザーは通常、アプリケーションをはじかれる形でこの問題に遭遇する。対処法としてはVDIのステート保存とアプリケーション自動復旧の2つがある。
2つのうち、ここ数年はVDIのステート保存機能の人気が高まっている。この機能はもともと、アイドル状態の仮想デスクトップがリソースを無駄に消費する問題を解消するためのものだったが、接続の中断に備える方法としても活用できる。ベンダーに確認すれば、設定方法やニーズに合わせた調整方法を教えてもらえるはずだ。
もう1つの解決法であるアプリケーション自動復旧機能を用いれば、接続の中断にアプリケーションレベルで対処できる。この機能はオフィスアプリケーションやWebアプリケーションで使うのがより有効だが、主要なERP製品でも提供されている。アプリケーション自動復旧は基本的には、「ユーザーがセッション中に入力したデータを保存すること」によって、接続が途切れても中断時点のデータに復帰できるようにするための機能だ。何かの注文手続きを進めていたのに、最後のクリックの段になってエラーが発生し、再び最初からやり直す羽目に陥ったことがある人なら、自動復旧がどれほど有用な機能かを理解できるだろう。
以上は、VDIの導入や利用を検討する際に考慮すべき点の一部にすぎない。お分かりのように、リモート接続の一般的な問題に対する解決策の多くはネットワークインフラとアーキテクチャに依存している。従ってVDI環境のサイロ化は避けるべきだ。VDI環境において、ネットワークは最大の資産にも最大の負債にもなり得る。VDIのプランニングには必ずネットワーク専門家を参加させ、導入前にリソースやサイジングの評価を手伝ってもらうことだ。ユーザーコミュニティーと協力し、ユーザーがいつ、どのように仮想デスクトップを使うかを把握することも重要だ。状況はそれぞれ少しずつ異なるので、絶対確実な方法は提示できないが、最初から協力体制を整えておけば、後々の厄介な問題やユーザーからの苦情の多くを回避できるはずだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
技術文書・技術解説
[Jamf Japan 合同会社] MDMだけでモバイルセキュリティは十分? 不足する対策を16項目でチェック -
事例
[Wrike Japan 株式会社] 世界的な家電メーカーが実践する「クリエイティブプロセス効率化」の方法とは? -
事例
[Wrike Japan 株式会社] 世界的テクノロジー企業に学ぶ、プロセス標準化とプロジェクト納品自動化の秘訣 -
事例
[Wrike Japan 株式会社] ソニー・ピクチャーズ テレビジョンに学ぶ、次世代サービスデリバリーのヒント -
事例
[Wrike Japan 株式会社] ソミック石川に学ぶ、ICT浸透後に直面した「工数管理」の課題と解決策
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「Copilot」はなぜ放置される? “議事録要約止まり”を脱する処方箋
-
2
脱VMwareの前提が崩れる BroadcomのVDDK公開停止で確認すべき点
-
3
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
4
なぜOpenAIやAnthropicのAIは「脱走」したのか 情シスが迫られるエージェント統制
-
5
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
6
Oracle巨大ITプロジェクトはなぜつまずいたのか 8年で導入1割、追加で170億ドル
-
7
「Microsoft一択」で本当にいいのか 知らぬ間にライセンス費用が膨らむ真相
-
8
ANAが専用回線から移行した「NaaS」の全貌 ネットワーク準備が数カ月から数週間に
-
9
Microsoft製品でここまで自動化できる 情シスがやめられる手作業10選
-
10
「プログラマー不要論」にThe Linux Foundationが示した答え
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
2
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
3
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
4
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
5
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
6
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
7
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
8
ドラマで分かる、標的型攻撃メールの被害を受ける企業と回避できる企業の分岐点
-
9
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
10
少額減価償却資産が40万円未満へ拡大、令和8年度税制改正で押さえるべき変更点
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー