クラウドアーカイブを始める前に考えること【前編】
IT部門の救世主――データ移行先にクラウドアーカイブを検討すべき4つの理由
クラウドアーカイブはクラウドストレージの中核を担うと考えられている。だが、クラウドアーカイブを使い始める前に考えておきたいことがある。クラウドでアーカイブすべき理由とは何だろうか。
パブリッククラウドストレージ最大の利点の1つに、大容量のデータを手軽に保存できることがある。パブリッククラウドストレージを使用すれば、ストレージをサポートするインフラの管理に悩まされることはない。ほとんどの企業では、データの量が爆発的に増加し続けている。そのため、ストレージを管理する作業は大仕事になり、データの増加とインフラの更新にも対応しなければならない。クラウドストレージは、単調なインフラ管理をやめて、データに集中しようとするIT部門の救世主となる可能性を秘めている。だが、クラウドアーカイブは本当に唯一無二のサービスだろうか。また、クラウドアーカイブを利用するために必要な労力が、得られるメリットを上回ることはないのだろうか。
アーカイブすべき理由
クラウドベースのアーカイブの技術的な側面を見る前に、そもそもデータのアーカイブが必要な理由について考察したい。最も明確な理由は、コストだ。生産性向上システム(データベース、ファイル、非構造化データ)は、非アクティブでめったにアクセスされないデータで構成されている。にもかかわらず、その全てのデータは高価なプライマリストレージに居座っている。企業は、そのコンテンツからいくらかの将来的な価値が得られると予測している。その前提で、データを永久に(または少なくとも長期にわたって)保存しようと考えている。幾つか例を挙げると、法規制によってデータを10年単位という長期間で保持しておく必要がある。また、医療記録の管理では、最低でも患者が生存している間はデータを保持しておかなければならない。それから、運用環境からデータを移動すると、他の運用コストに大きく影響する可能性がある。例えば、データベースのライセンスを削減したり、データの容量に基づいてライセンスが決まる仮想マシンや物理ホストの数を削減できる。
プライマリシステムに大容量のデータを保存すると、運用面でも影響がある。システムが大きくなるほど、バックアップ/復元処理や復旧処理にかかる時間は長くなり、バックアップの規模も拡大する。プライマリシステムからデータを取り出して、別の方法で保存して保護できるなら、変化しないデータを頻繁にバックアップするメリットは全くない。さらに、運用システムのパフォーマンスにも影響があるだろう。例えば、1億行ものレコードを含むデータベースにアクセスしてデータを保存する際のオーバーヘッドは、レコードが50万行のときに比べてはるかに高くなる。
クラウドアーカイブを検討すべき理由
ここまででアーカイブの必要性は明らかになっただろう。だが、なぜデータの移行先としてクラウドを選ぶのだろうか。クラウドサービスを使って得られる運用上のメリットは多数ある。このようなメリットが、クラウドをデータのアーカイブ先として魅力的な選択肢にしている。幾つか例を紹介しよう。
- 弾力性:クラウドストレージプロバイダーは、常に需要を満たせるアーカイブ容量を確保する責任を担い、それに付随する心配事も引き受けてくれる。顧客は容量が無限に利用できるという前提でリソースを消費すればよい。データセンターの空間、消費電力、冷房といった物理的な面を気にする必要は全くない
- 抽象化:顧客は、クラウドでデータがどのように保管されているかを把握したり、データの保管方法について悩む必要はない。ただ、保管サービスが契約した一定のサービスレベルでクラウドプロバイダーから提供されていることを分かっていれば良い。つまり、データはディスク、テープ、光学ドライブ、またはそれらの組み合わせを使用して保存されている可能性がある。クラウドベンダーには、ストレージメディアとそれに付随するインフラを管理する責任がある。それから、経年劣化によりテクノロジーの入れ替えが必要になったときには、テクノロジーを更新する責任もある
- 持続性:プライマリストレージの復元性は、可用性(システムのアップタイム)によって評価される。一般的に、”99.999%以上のアップタイム”など、9が5~7個並んだ数値が見られる。アーカイブ業界では、より低いレベルの可用性加え、持続性をベースに基準が作られている。なぜなら、データへのアクセス頻度はプライマリストレージよりも低いが、データを5~50年保管する必要があると見なされているためだ。例えば、Amazonの「Amazon S3」プランは、99.999999999%または“イレブンナイン”の持続性レベルを売りにしている
- コスト:クラウドストレージのコストは、アクセスプロファイルと保存されるデータの容量に基づいている。そのためコストは予想可能で、自動課金や見積もりがしやすい
この状況を踏まえると、クラウドアーカイブは合理的に思える。だが、IT運用チームにとっては、運用上の要件を満たしながら、どのようにデータを出し入れするのかという問題がある。後編では、クラウドアーカイブの懸念事項について解説する。
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