統合エンドポイント管理(UEM)に注目集まる
「EMM市場は衰退する」と断言するアナリスト、どの製品が生き残るか?
エンタープライズモビリティ管理(EMM)製品を購入する前には、ベンダーの持続可能性も検討しなければならない。EMMのベンダー勢力図は急速に変化していると、あるアナリストは分析する。
エンタープライズモビリティ管理(EMM)市場は、より広範なエンドユーザー向けのコンピューティングスイートにとって代わられつつある。ユーザー企業は製品を購入する前に、ベンダーの持続可能性を検討しなければならない。
EMM製品の大手ベンダーの中には、VMwareやIBMなど、多岐にわたる分野で事業を展開している大企業が含まれている。そうした企業は財務の安定度が高いので、当面事業を継続するだろうと、ユーザー企業は比較的容易に確信できる。一方、MobileIronなど、EMMに重点を置いているベンダーの場合、自社の技術が(市場で)成功するかどうかが、その企業自体の命運を左右することになる。
さらに「VMware AirWatch」や「Citrix XenMobile」のような製品を他の製品とバンドルして販売したり、自社のワークスペーススイート製品の一部として扱ったりしているベンダーも少なくない。このアプローチが可能なベンダーとそうでない企業では、競争力に差がつく状況だ。
ユーザー企業は、関心を持ったEMMテクノロジーについて「自社の利益の増大につなげるにはスタンドアロン製品を選んだ方がいいのか」または「他の製品のパッケージに同梱されるものにすべきだろうか」と検討する必要がある。また、EMM市場において、そのベンダーの長期的な見通しはどうなのかを検討する必要がある。
主要なEMM製品を発売している各社は今や、統合エンドポイント管理(UEM)というPC管理の製品も提供している。また同時に、Sophosなどのように、従来デスクトップセキュリティ製品を発売していた企業では、その製品にモビリティ管理機能を組み込むようになっている。
モバイルアナリスト企業J. Gold Associatesの創業者兼主席アナリスト、ジャック・ゴールド氏に、企業がさまざまな製品のオプションを検討することがなぜ重要なのか、話を聞いた。
――EMM市場のトレンドとは。
ジャック・ゴールド氏 市場は急激に衰退している。市場全体の傾向としては、統合ワークスペース機能への移行が進んでおり、純粋なEMMというアイデアは、そう魅力的とは言えなくなっている。ただし、EMMの機能は依然として必要だ。デバイスとアプリは管理が必要だが、その場合EMMはどのように展開すればいいのだろうか。
例えば数年前なら、車を買う場合に、FMラジオが欲しい人のために、別売りで車に搭載するカーステレオというアフターマーケットが存在した。しかし今は、そんなふうにステレオを選んだりはしない。オーディオは車に組み込まれているのが当然という風潮になったからだ。EMMもこれに似ている。UEMの「IBM MaaS360」は、IBMの広いコア機能の1つだ。AirWatchとVMwareは、他の製品にEMMを組み合わせる形で提供するという方針をとっている。だとすると、EMM単機能の製品だけを扱っている企業はどうすればいいのか。明日にも事業が成り立たなくなるとまでは言わないが、前途多難なことは確かだ。
――EMM市場の変化が企業のIT購買担当者の意思決定にどれほどの悪影響をもたらすのか。
ゴールド氏 そうしたベンダーがこの先どこまで業界にとどまることができるかが気になっている人もいるだろう。私自身は、今後5~10年ぐらいだろうと考えている。VMwareに買収されたことで、Dellとも提携しているAirWatchのような企業なら、すぐに消えるということはないだろう。
BlackBerryは、セキュリティの厳しい政府機関や多くの規制を受ける業界に膨大なインストールベースを持っている。そうした世界では、どうしても必要にならない限り、人々が行動を頻繁に変えることはない。従ってBlackBerryはニッチな市場になり得る。現在機能しているシステムをなぜ変えるのか、変化にはコストがかかるのに――ということだ。
――MobileIronが独立企業として存続する可能性は。
ゴールド氏 MobileIronは、独立企業のままで存続したいとすれば、それはいばらの道だろう。
BlackBerryがGood Technologyを買収した理由は、Good Technologyが非公開企業で、価格が手頃だったからだ。対してMobileIronは公開企業のため、買収する側は、その株式の時価評価額に多少上回る価値のあるもので買収の対価を支払わなければならない。そうなると買い手となりそうな企業は、株価の下落を待つという戦略に出る可能性もある。いずれにしても、投資であり、決断を下すまでには長い時間を要する。ある程度の大企業でなければ、買収に向けた動きは起こせない。
――UEMはベンダーとIT業界にどのような効果をもたらすのか。
ゴールド氏 ベンダーがこの方向へ進んでいるのは、ユーザー企業もIT業界も、ある作業をする際にあれこれと複数の製品を使わなければならない状況を望んでいないからだ。誰もが意外に思うだろうが、PCが消えてなくなることはない。だから企業のIT部門は、端末管理の手法の簡素化を望んでいる。ベンダーの観点からは、UEMは、企業に端末管理という行為を広く普及させるための一策だといえる。ツールで実行する作業が増えれば増えるほど、その使用をやめる可能性は低くなる。この作戦は、ある程度は成功している。ただし大半の顧客は「PCにはMicrosoftのツールを使う」と言うだろう。基本的に無償で使えるからだ。
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